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「創業家一族」有森 隆

本のソムリエ 2021/10/18メルマガ登録
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「創業家一族」有森 隆


【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー

 日本の同族企業、オーナー企業44社の歴史をまとめた一冊です。一社一社の歴史も面白いのですが、44社を並べてみると共通点が浮かび上がってきて面白い。まず、創業者の人間力がすごい。業界ルールを破壊して,業界ナンバー1に昇りつめた人が多い印象でした。


 例えば、ユニクロの柳井正は、ただの服屋から製造から小売まで一気通貫のSAPを作ってしまった。ヤマダ電機の山田昇は定価販売を目指すメーカーを無視して、安売り販売で勝ち残ってきた。


 こうした業界ルールを破った人が伸びているということは、そのルールはお客様のためではなかったのでしょう。創業者はお客様のために業界ルールを破壊してきたのです。


・(ヤマダ電機の)山田昇は業界の風雲児である・・・「業界の嫌われ者」「ルール破りの常連」と,評判は芳しくない・・・「彼の辞書には,弱気はない。とにかく強気。(p48)


 そして次は、どこでも後継者の育成が問題になっているということです。


 「大塚家具」では、娘が会社を乗っ取って富裕層向け会員制という強みを破壊し、業績悪化で、ヤマダ電機に吸収されてしまった。大王製紙では創業家3代目がカジノで会社の金100億円を散財して、創業家の保有する株式を手放すことになってしまった。息子や娘が優秀である保証はどこにもありませんので、世襲がうまくいくこともありますが、リスクがあるように感じました。


 このように、変わり者の辣腕創業者が老いると,主導権争いが起こり,業績が低迷してしまう会社のいかに多いことか。世襲したとしても業績低迷の例も多く、創業者が築き上げた帝国を維持するのは,並大抵のことではないのです。後継者育成は非常に難しいのです。


 こうした混乱の中でも会社の経営は続けていく必要があるわけで、50年、100年続いてきた企業の偉大さを実感しました。


 後継者問題をもう少し勉強してみます。有森さん、良い本をありがとうございました。



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この本で私が共感した名言

・(ユニクロの)柳井正は変人である。高校時代についたあだ名は「山川」。人が山といえば,川と答えたからだ(p20)


・井川一族が完全支配する"大王製紙王国"・・・ある総務部長が(井川)高雄に背後から声をかけた。「なぜ,後ろからじゃ!ワシに対して言葉をかけるときは前に出てくるのが普通だろう!」と高雄は激怒。総務部長は即刻クビになったという(p80)


・LIXILグループの定時株主総会は2019年・・・旧トステム創業家出身の潮田洋一郎によって解任された元最高経営責任者(CEO)の瀬戸欣哉ら株主側が提案した取締役候補は8人全員が選任され・・・瀬戸はCEOに返り咲いた・・・瀬戸の賛成率は53.71%。薄氷を踏む勝利だった(p147)


・大塚家具の特徴は,会員に家具の「まとめ買い」をうながすところにある・・・「他社より絶対に安い」というセールストークを駆使して売り込むのだ。最盛期には一人当たりの客単価が30万円を超えていた(p94)


・敗戦後,不動産の値段が下がり,土地を手放す人が多かった。(森)泰吉郎が父親に進言して土地を買わせた。それも地元の港区に絞ったことが,「港区の大家」の出発点となった(p195)


・吉本興行・・・非上場のため決算書を開示していないが,2015年3月期は官報に決算公告を載せた。125億円の資本金を1億円に減資したためだ・・・2018年3月期にも資本準備金20億円の減少公告を出した。利益剰余金は116億円のマイナス(p433)


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▼引用は、この本からです
「創業家一族」有森 隆
有森 隆 、エムディエヌコーポレーション


【私の評価】★★★★☆(83点)



目次

第1章 「終身社長型」の創業家
第2章 「男子・女子継承型」の創業家
第3章 「娘婿・養子継承型」の創業家
第4章 「兄弟継承型」の創業家
第5章 「パートナー継承型」の創業家
第6章 「途中登板型」の創業家


著者紹介

 有森 隆(ありもり たかし)・・・経済ジャーナリスト。早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに取材・執筆活動を続けている。


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