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「人間性尊重型 大家族主義経営 新しい「日本型経営」の夜明け」西泰宏、天外伺朗

2020/04/23公開 更新
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「人間性尊重型 大家族主義経営 新しい「日本型経営」の夜明け」西泰宏、天外伺朗


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

ワクワク自由闊達な職場

日本型経営というと、終身雇用や年功序列などがイメージされますが、本質は違うところにあるのです。創業時のソニーや京セラ、松下電器では、人を育てる経営、社員がやりがいを持って仕事に取り組むことのできる「人間性尊重型 大家族主義経営」があったという。
 

まさに社員が自らワクワクと自由闊達に仕事をしている職場を目指しているのが、日本型経営なのです。「ワーク・ライフ・バランス」ならぬ「ワーク・ライフ・インテグレーション」とでも表現できるものでしょう。つまり、仕事を通じて人生を豊かにする、やりがいを持って仕事に取り組むことで人間的な成長を続け、良い人生を歩む会社経営なのです。


M・チクセントミハイ・・彼は、「自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」というソニーの設立趣意書の一節を示し、「フロー経営」のお手本は創業期のソニーだよ、と語りました(p52)

人のやらないことをやる

この本の前半では、天外さんがソニーでの経験を教えてくれます。天外さんはCD(コンパクト・ディスク)犬型ロボット「AIBO」、非接触カード「Felica」などを開発しています。これらは創業者井深氏と直接議論し、「人のやらないことをやる」と鼓舞される環境だったからできたのだという。


つまり、ソニーはまさに自由闊達にして社長と議論のできる理想工場だったからこそ開発可能だったというのです。天外さんがそれに気づいたのは、2001年以降、ソニーの社内がうつ病だらけの地獄のようになってから、井深さんの経営が人のやる気を引き出す「フロー経営」であったことにようやく気づいたというのです。


昔のソニーは担当者が上司を無視することが当たり前でしたので、実質的にはティール組織とよく似た雰囲気だったのかもしれません。ソニー語録の中には「面白い商品を考え付いたら上司に内緒で物を作れ」とか、「失敗したら闇から闇へ葬れ」(天外)(p83)

会社とはトップによって変わる

後半は、徳島でナットを製造している「西精工」社長の西泰宏さんの経験談となります。西さんは後継者の従兄弟が亡くなったことで後継者として実家に戻りました。実家の「西精工」は赤字ではないものの誰も挨拶しない暗い会社だったという。


そこから、挨拶、掃除、対話、アメーバ経営などを通じて社員と一体となった明るい会社を作りあげていったのです。結局、会社とはトップによって変わる、そして会社とは人なのだと思いました。天外さん、西さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・僕はおばあちゃんにこう言われました。「・・社員さんが250人おったら、(かける)×4せなあかんのよ」社員さんの分だけでなく、社員の家族、奥さんと子ども二人の分まで考えて経営しなさいと、諭されたのです(西)(p126)


・学校も、大好きな友達や先生がいれば、早く会って話したり遊んだりしたいから、学校が楽しくなります。会社もそういうふうに作っていきたいのです。親父にも言われました。「お前、学校作っているわけじゃないのに、会社が学校みたいだな」(西)(p154)


「人間性尊重型 大家族主義経営 新しい「日本型経営」の夜明け」西泰宏、天外伺朗
西泰宏、天外伺朗、内外出版社


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

第1部 基礎編 天外伺朗
1章 社員が「死に場所」として選ぶ会社
2章 日本型企業経営
3章 「Z理論」と「フロー経営」
4章 人類の進化、社会の進化、企業の進化
第2部 実践編 西泰宏
5章 帰郷すると、そこは「暗い会社」だった
6章 経営理念は「社員が幸せになるため」にある
7章 対話と気づきを積み上げる 大家族主義経営の道のり
8章 社員一人ひとりが、ドラマの主人公
9章 月曜でも、病気でも、早く会社に戻りたい!
10章 ともに成長し合える関係に! 手間暇かける本気の教育



著者経歴

天外 伺朗(てんげ しろう)・・・本名、土井利忠。1942年、兵庫県生まれ。元ソニー上席常務。工学博士。1964年、東京工業大学電子工学科卒。ソニーに42年間勤務。その間、CD、ワークステーションNEWS、犬型ロボットAIBOなどの開発を主導した。現在は病院に代わる「ホロトロピック・センター」の設立推進などの医療改革や、企業経営者のための「天外塾」なども開いて経営改革に取り組むほか、教育改革へも手を拡げている。


西泰宏(にし やすひろ)・・・1963年、徳島県生まれ。神奈川大学卒業。都内広告代理店の営業職を経て、1998年、西精工株式会社に入社。2006年、同社代表取締役専務に就任。2008年、同社代表取締役社長に就任。同社は、1923(大正12)年創業。資本金3000万円、売上高46億7422万円(2018年7月)。従業員248名(2018年7月)。社員の幸せを追求した経営で、「日本経営品質賞」、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」、「ホワイト企業大賞」など数多くの経営賞を受賞している。


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