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「科学者が解く 「老人」のウソ」武田 邦彦

2019/10/29公開 更新
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科学者が解く 「老人」のウソ


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

 テレビでおなじみの武田教授が、老後を考えた一冊です。


 普通の動物は、子孫を育てると死ぬようになっています。例えば、鮭は産卵後に死にます。では、なぜ人間は死なないのか。


 武田さんの見方は、人間は老後も何らかの役に立っているからと仮説を立てています。よって、子どもが独立した50歳からは、第2の人生として、人に貢献することで、楽しい人生を始めよう!と提案しているのです。


・仲間に貢献しないと、"死のスイッチ"が入る(p70)


 50歳までは子孫を残すために死を避けるように生きてきましたが、50歳からの第2の人生では、いつ死んでもかまいません。第2の人生は子孫のためではなく自分のための人生なのですから、楽しいことをしていいのです。


 さらに、死を怖がって健康を考えてばかり生きるより、好き勝手に生きたほうが健康で長生きというフィンランドでの調査結果もあります。いわゆる健康な生活というものや、健康診断というものが本当に健康にとって良いものなのか統計的にはバラツキの範囲の中の微妙なものなのかもしれません。


・医師をしている・・義兄が、「50歳になったら、健康診断をやめたほうがいい」と言いました・・フィンランドのヘルシンキで、1974年から15年かけて、約1200人の被験者を対象に健康追跡調査を行いました・・(健康診断をしていない)勝手気ままに生きる人たちのほうが、健康で長生きだったのです(p48)


 武田さんは、現代医療では科学的に合理性が証明されていないことがまかり通っていると指摘しています。例えば、血中コレステロール値は高めのほうが健康的なのに、油ものを控える。血圧が130mmHg以上だと、高血圧症のレッテルを貼って、薬を処方する。効果が証明されていない治療や健康診断や検診が行われてというのです。


 理科系の人らしく私に近い思考法だなと思いました。実証によってどうするべきか考えるという、理系の考え方が大事だと思いました。武田さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・現代は、変な社会です。ゴミがあふれていないのにリサイクルする。石油も枯渇していないのに節約する。地球は温暖化していないのに怯える・・私に言わせれば、滅茶苦茶です(p225)


・男性は、社会的なネットワークを持つ人たちに比べて、社会的に孤立している人たちの死亡率が2.3倍で、女性は、同じく2.8倍(p73)


・50歳以上になると、だいたい1日半から2日以上の間隔があかないようにして運動しないと、体が「骨はいらない」と思ってしまうようです・・「まだ骨は必要」と常に体に売り込み続けるしかありません(p86)


・少し血液の流れが悪くなったら、それによってガンや肺炎のリスクは増えるし、元気もなくなる。でも、できるだけ血管が破裂するようなことで死にたくないと考える・・そういう人は降圧剤を飲んで、安全に、でも疲れやすく、1日ボーっと生きつづけ、ガンなどでこの世を去る道を選択すればいいのです(p113)


・「儲かるから」という理由だと思いますが、「減塩食はヘルシー」と言ってどこもかしこも、いろいろな食品を売っていました・・ 誠実な人なら、「日本人の5人に1人が食塩と血圧に関係があるので、もしご心配なら減塩食をお試しください」と言うにとどめるでしょう(p115)


・高血圧で死ぬというデータのトリック・・・「年齢が上がる→血圧が上がる」、「年齢が上がる→死亡率が上がる」という2つのことを組み合わせると、「血圧が上がる→死亡率が上がる」というグラフになります(p129)


・1997年に八尾市の住民約1万人(40~79歳)を11年間追跡した調査・・それによると、男性の死亡リスクはコレステロール値は「240~279」がもっとも少なく、それより高くても低くても死亡率は多くなっています。女性の死亡リスクは、少し範囲が広く「200~279」がもっとも少なくなっています。いずれも現在の規制値200をはるかに超えています(p140)


・日本動脈硬化学会の方はコレステロールは200以下が良いと言い、日本人ドック学会は250ぐらい(男性)までと言っています。この50の差はとても大きいのです(p137)


・日本高血圧学会は「人間は年も取らず、体も変化せず、男女の区別もなく、10歳から100歳まで全員の血圧は130以下でなければならない」というとんでもない基準を用いているので、本当に困ります(p138)


・ガンと一緒に人生を過ごすという選択肢もあります。ガンを敵視して撲滅しようとすると、もともと自分の体の一部のようなものですから、うまくいかないときもあります。「ガン治療で病院に行くほど寿命が短くなる」という統計を見たこともあります(p150)


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武田 邦彦
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【私の評価】★★★★☆(84点)


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目次

はじめに 「老後」なんてものはありません!
第1章 「老後」のウソ
第2章 「寿命」のウソ
第3章 「老化」のウソ
第4章 「病」のウソ
第5章 「定年」のウソ
第6章 第2の人生論


著者経歴

 武田 邦彦(たけだ くにひこ)・・・1943年生まれ。名古屋大学大学院教授を経て、中央大学総合工学研究所教授。内閣府原子力安全委員会専門委員。文部科学省科学技術審議会委員。


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