【書評】「パーキンソンの政治法則」C.N.パーキンソン
2018/08/01公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
要約と感想レビュー
民主主義は無知でおろか
「仕事の量と予算は、与えられた時間、予算をすべて満たすまで膨張する」このパーキンソンの法則で有名なパーキンソンさんの一冊です。1967年なのでかなり古い。
政治形態、国家の意思決定がどのように変わっていくのか考察しています。
民主主義は主権は多数派にあたえられるので、無知で、おろかで、感情に左右される大衆に依存することになるとしています。
民主主義国では主権は多数派にあたえられる。多数派は、せいぜいのところ、無知で、おろかで、感情に左右される大衆にすぎないばかりでなく、毎年のようにつぎつぎと移りかわってしまう。(J・W・アレン著「16世紀政治思想史」ロンドン、1951年発行、437、483ページ)(p117)
秩序は独裁政治によって回復される
歴史から見た政治法則としては、君主政治が封建制度に変化し、多くは寡頭政治を経て民主政治となり、民主政治は愚かな市民の対立により混乱に陥り、秩序は専制・独裁政治によって回復される、としています。
歴史を見ると、アテネの民主主義もヨーロッパの民主主義も国内の派閥対立で戦争に負けるか、軍事力より国民福祉に予算配分し、他国の軍事的侵略を許してしまうことが多いのです。民主主義は民主であるがゆえに、愚かで感情的で移ろいやすいものであり、その悪いところが出ると容易に国家を破滅させることになるということです。
1934年7月に弱々しい政府が英空軍の強化を提案したとき、労働党と自由党は不信任決議を上程した。アトリー氏は航空機増強の必要を否定し、また武力の強化が平和に寄与するということを否定した・・・ディスレーリは、「諸君はやがて、恥知らずに求め、恥知らずに手に入れた平和に屈服するだろう」といったが、事態は彼の予言の正しさを示すことになった。民主主義者は、人民の意思は常に正しい、と声明してきた。だが、自分自身の破滅を用意するのが人民の意思でありえようか?(p381)
国家は勃興し発展し衰退する
一つ確実なことは、国家は勃興し、発展し、衰退するということです。日本という国家はこれからどうなるのでしょうか。
日本も過去の民主主義国家の歴史のように内紛のうちに混乱するのか、愚かな市民の声が国家を衰退させるのか。考えさせられる一冊です。
パーキンソンさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・共産主義という神権政治・・・この信条の創始者カール・マルクスは・・・書斎暮らしで、実際問題はほとんど知らず、みずから友人になろうともとめた労働者階級についてはさらに知らなかった・・・マルクスは科学的な公平さをもつらぬくことができなかった・・『資本論』は科学的な教科書とはくらべものにならない・・むしろ聖書、コーラン、あるいは論語と比べるべきである(p228)
・共産党員には、マルクスその人をはじめとして、事実ユダヤ人が多い。かれらは教典の文章の正確な解釈をめぐって論争する傾向があるが、これもまたユダヤ人に似ている(p236)
・この事件のいちばん重大な意味はアテネの敗北ではなくて、国内政治がこれほどまで国の安全を危うくするということである。党派感情がこれほど高揚して、政敵の敗北を希望する人たちの力でその政敵が司令官に任命されるにいたっては、戦闘の見通しははなはだ影が薄い(p269)
・第一次世界大戦は、衰えゆく国と前進する国との間の、すなわち専制政治と民主政治の間のたたかいとしてあらわすことができた・・この戦争の結果、民主的生活様式のほうが、専制者に戦闘を命ぜられた軍隊よりもじっさいに強力な軍隊をうみだしうるということが示されたかに見えた・・・ふりかえってみて異常なのは、こうしたヴィジョンが消え失せた速度である(p363)
・独裁政治は、民主的統治の崩壊がもとで非常にしばしば生ずる無政府状態の当然の帰結である。しかし、独裁政治はふつうは、その本質からして短命な実験であって、一人の人間の生涯のながさに限られ、別のかたちの統治にその席をゆずる(p382)
・法王の権力や聖職の特権をもっとも熱心に擁護する人たちでも、ふつうは王制の廃止を要求するまでにはいたっていない。王は法王の命に服すべきだと宣言するについては、そもそも王が存在すべきだというふくみがあったのである(p110)
・キリスト教世界の騎士はすべて・・・たがいに戦争をする場合、個々の人間は殺すけれども、名門の出である家族をみな殺しにすることはめったにない。おたがいに協定があって婦人や、僧侶や、子どもはたすけてやるが、これはひとつには自分の家族をまもるためであり、また仕返しをさけるためでもある(p135)
・キリスト教の教えの要点は、政治上の見地からすれば、神が父であることと来世の生活とに関する教義にある。神がみんなの父であるという信仰は人類をすべて兄弟姉妹にしてしまうわけで、したがって(多かれ少なかれ)少なくとも神の前では価値がひとしいことになる・・・現世が天国への候補者のための訓練(あるいは予選)にすぎないという信念が入っている(p185)
・秘密を保つための理想的な人数は(あるインド人が指摘している通り)三人である。かなりはやく分別をわきまえた決定をくだすためにいちばんいい会議の人数は五人から七人である(p91)
至誠堂
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
目次
序論 原始時代の人間
第一部 君主政治
第一章 農耕民族のなかの君主政治
第二章 牧畜民族のなかの君主政治
第三章 戦争の及ぼす影響
第四章 君主政治とナショナリズム
第五章 神権にもとづく君主政治
第六章 政略にもとづく君主政治
第二部 寡頭政治
第七章 封建制度
第八章 貴族政治
第九章 理論にもとづく貴族政治
第十章 神権政治
第十一章 理論にもとづく神権政治
第十二章 共産主義という神権政治
第三部 民主政治
第十三章 民主政治の起源
第十四章 ローマの民主政治
第十五章 宗教にもとづく民主政治
第十六章 理性にもとづく民主政治
第十七章 効用にもとづく民主政治
第十八章 民主主義の論理帰結
第四部 独裁政治
第十九章 衰退する民主政治
第二十章 頭目たち
第二十一章 二十世紀の独裁政治
第二十二章 独裁政治の理論
第二十三章 衰退する独裁政治
第二十四章 ボナパルティズム
著者経歴
C.N.パーキンソン(シリル・ノースコート・パーキンソン)・・・1909年生まれ。1934年まで大学で学術的著作に従事。その後、大学で教鞭をとり、1957年「パーキンソンの法則」を発表。パーキンソン研究所を設立して、経営コンサルタントとして活動。
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