「クルマは家電量販店で買え!」吉本 佳生
2017/04/11公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
要約と感想レビュー
経済学といえばお堅いイメージですが、日常生活の中の仕組みを分かりやすく教えてくれる一冊です。たとえば、100円ショップはなぜ100円で売ることができるのか?NB(ナショナルブランド)に対しPB(プライベートブランド)は、なぜ、安いのか?その理由は、ほぼ同じなのです。
同じようにレストランがランチタイムの営業をするのはなぜでしょうか。この理由は、ランチの売上はディナーより安定しやすいため、店の経営が安定するのです。テナンド代や電気代など毎月固定的な支払いがあることを考えると、毎月の安定した収入を大きくすることは意味があるのです。
・PB(プライベートブランド)商品の安さの理由
1宣伝や販売促進のコストがかからない
2労働者の賃金が安い中国などにある専用工場で製造する
3NBメーカーの工場で、空き時間に製造してもらう
4大量に発注して、完全に買い取る(返品しない)
5すぐにおカネを支払う(現金払いの場合もある)(p49)
面白いところでは、ふるさと納税の返礼品の競争が過熱することを予想しています。自由競争のなかでは不幸なオークションのように、どんどん競争が過熱するのです。全体で見れば税収は変わらないのですから、宣伝コスト、返礼品コストの分だけ税収が減ることになります。
・ふるさと納税を勧誘する宣伝のコストは、いろいろな地方自治体がかけています・・日本全体の税収が増えるわけではないのです・・多くの地方自治体が勧誘にかけるコスト(予算)を増やせば、それだけ社会的なムダが大きくなります(p165)
農業が海外の輸入品と競争するために大量の農業研修生の低賃金労働によって生産されており、農産品の産地を気にすることが無意味な時代になろうとしているとか、国立大学は税金で補助をして授業料を安くしているので、将来の高所得者を優遇しているなど、本質的な指摘が印象的でした。
2008年と10年前の本なのでネタは古いのですが、物事の考え方の参考になりました。著者にはこうした本で「消費税を増やすと、なぜ税収は減るのか」を説明してほしいものです。吉本さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・ほぼ同じ機能のプリンターであれば、「プリンター本体の価格が安いほど、インク代が高くなる」といった傾向があります(p41)
・セカンドプライスオークションでは、1番目に高い価格をつけた買い手が、2番目に高い価格を支払って、商品を買うことができます・・どの買い手も自分の評価額を正直に書くことが合理的な作戦となります(p153)
・たとえば日本で、何らかの物質(二酸化炭素など)の排出に対して環境税がかけられたとします・・環境基準が緩く、環境税も導入されていない新興工業国に工場を移すという選択肢があります(p266)
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
目次
第1章 クルマとプリンターとPB商品、価格の決まり方はどうちがうのか?
第2章 高級レストランの格安ランチが、十分に美味しいのはなぜか?
第3章 パチンコや金取引で必ず儲ける方法は、ときに本当に存在する?
第4章 ライバル企業が、互いに不幸になる競争を止められないのはなぜか?
第5章 大学の授業料は、これからも上昇を続けるのだろうか?
第6章 地球温暖化対策に、高すぎる価格がつけられようとしている?
著者経歴
吉本佳生よしもと よしお)・・・1963年、三重県生まれ。大学卒業後、銀行勤務を経て、エコノミスト・著述家・関西大学会計専門職大学院特任教授。専門は金融経済論、生活経済学、国際金融論。NHK教育・総合テレビで放送された、経済学教育番組「出社が楽しい経済学」の出演・監修者
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