【書評】「データ分析ってこうやるんだ! 実況講義―身近な統計数字の読み方・使い方」吉本 佳生
2013/10/06公開 更新

Tweet
【私の評価】★★★★★(95点)
要約と感想レビュー
統計に簡単に人は騙される
「世の中には3つの嘘がある。ひとつは嘘、次に大嘘。そして統計である」と先人は言いましたが、データ分析の怖さが分かる一冊です。
しっかりデータを理解できないと、簡単に現実を見誤る可能性があります。統計には簡単に騙されるのが人なのです。
調べたいデータが表になっているのをみつけたら、端から端までひとつずつの数字を読むことが基本・・・「なにか気づくことはないか?」と意識して読む(p119)
統計のウソ実例
この本で取り上げるのは、男女別、男女合計で分析すると、答えが全く正反対になる例。グラフの見せ方で錯覚を起こさせる方法。
大学生の就職率93%は、実は嘘。実際には就職できずに「就職を諦める学生」が多く、見かけ就職率が上がっているという。
ジニ係数は、信用しないほうがいい。なぜなら、ジニ係数の計算は複雑で、条件を変えるだけで数字が変わってしまうから。
このように、「人間はこんなに簡単に間違うのか!?」とびっくりするくらいの事例ばかりでした。統計学を学ぶのも大切ですが、ビッグデータを活用できる現在なら、データの読み方がこそ大事なのでしょう。
「若者のクルマ離れ」が進んでいるとの指摘があります・・・少子化によって若者の人口が減ったことで、教習所に通う人が自然に減り、その割に教習所数の減り方が遅いから、競争が激化したというのが事実です(p257)
統計のウソ実例
著者はデータについて深く読み解きたいと思ったら、まずは広い範囲で基本データをざっとながめるという。それだけしないと簡単に騙されるのです。
吉本さんの本をまとめて読んでみたくなりました。しばらくお待ちください。世の中には統計の嘘が多いのですが、現実を知るためには統計が必要なのでどう統計を使うのかが大事だからです。
吉本さん、良い本をありがとうございました。
無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信) 3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。 |
この本で私が共感した名言
・対数目盛のグラフ用紙に書かれたグラフの傾きが同じなら、同じ変化率・・・時間とともに変化する様子を示すグラフは、本来ならすべて対数目盛のグラフ用紙に書かれるべき・・(p112)
・ジニ係数について、なにかの属性でグループ分けをして分析をするなんて、決してやってはいけないのです・・・凝った計算ほど、少し使い方をまちがったときに変な現象を起こしやすい・・(p233)
・若い女性の免許取得率にはもっと高められる余地があるのに、この10年間では高くなっていません・・・トヨタのドラえもんシリーズのCMでは、のび太くんよりもしずかちゃんのほうが先に運転免許を取っていました。これが意図的な工夫なら本当によくできたCMだと感じました(p263)
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 9,433
【私の評価】★★★★★(95点)
目次
第1講 テレビと旅行に関するインターネット調査が役立たずなのはなぜか?
第2講 米よりパンのほうがインフレ予想に影響が大きいのはなぜか?
第3講 高学歴のほうが若者の失業率は高いのか?
第4講 就職難なのに、大学生の就職率が90%超と高いのはなぜか?
第5講 多機能な家電のほうが値下がりしやすいのはなぜか?
第6講 分散投資のために特定業種の株を買うべきなのはなぜか?
第7講 日本の格差は本当に拡大しているのか?
第8講 若者の免許離れは本当に起きているのか?
著者経歴
吉本佳生(よしもと よしお)・・・1963年、三重県生まれ。エコノミスト・著述家・関西大学会計専門職大学院特任教授。専門は金融経済論、生活経済学、国際金融論。NHK教育・総合テレビで放送された、経済学教育番組「出社が楽しい経済学」の出演・監修者
読んでいただきありがとうございました!
メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」 36,000名が読んでいる定番書評メルマガです。購読して読書好きになった人が続出中。 >>バックナンバー |
配信には『まぐまぐ』を使用しております。 |
コメントする