「カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ!?」高城 剛
2016/12/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(80点)
要約と感想レビュー
「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」いわゆるカジノ法案が成立したので手にした一冊です。似たような施設に、パチンコ、温泉、レストラン、映画、ボーリング、カラオケ、ホテルが一体となった施設があります。パチンコがカジノになれば、IR(総合型リゾート)の完成です。パチンコもギャンブルであることに違いはないのです。
この本の主張は次の2点です。
一つ目は、カジノを含めたIR(総合型リゾート)は、シンガポールと同じように運営は外国人に任せて、客も外国人とすることです。カジノで年間に100億~200億円ものカネを動かす人は、世界に200人程度いるという。こうしたVIPに「渡航中も誰にも見つかることがありません」と、安心してもらうサービスが必要なのです。
二つ目は、カジノと同類であるパチンコを同じように規制することです。例えばシンガポールでは、カジノでカネを落とすのも外国人なら、カジノを運営するのも外国人です。外国人から収益を吸い上げるのが目的なのです。パチンコは日本人をギャンブル中毒にして、金を巻き上げているのです。パチンコ業界は、そうしたパチンコ=アヘンへの規制を最も怖れているのです。
・日本で、カジノ合法化がなかなか進まなかった背景には、パチンコ業界の業界団体が「カジノが自分たちの市場を食う」として猛反対したことが大きな一員となっていたが、実際は黒船IRの到来により、自分たちが規制されてしまうことを、なによりも恐れている。(p225)
海外で成功している例を真似すれば良いのだと思いました。そして、海外で失敗した例を真似なければいい。ところが、海外で失敗したことを真似ることが時としてあるのが日本の不思議なところです。今後どうなるのでしょうか。
高城さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・IR(総合型リゾート)の大部分を占めるのは、ホテル、レストラン、ショッピングモール、会議施設のため、家族連れをはじめ、多くの人々が楽しめる場所であり、薬物や犯罪、依存症が万円するダーティなカジノとは違う(p33)
・マカオ観光に行くふりをして越境し、送金先のカジノで遊んだことにして資金を受け取るだけでいい。胴元にそれなりの手数料を支払えば、汚れた人民元を「カジノで買った香港ドル」に変身させることができる(p102)
・シンガポール政府は、開発開始の2007年から10年間は、他のカジノ進出をさせない独占ライセンスを付与する・・収益に対するカジノ税の税率も、世界最低水準の15%(p45)
集英社
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【私の評価】★★★★☆(80点)
目次
第1章 なぜシンガポールは短期間で観光収入を3倍に増やせたのか?
第2章 マニラ急成長の秘密と、マカオ衰退の理由
第3章 世界一のカジノ国フランス
第4章 90年代ラスベガスの成功と、近年のニューヨーク州のラスベガス化戦略
第5章 世界のカジノから日本は何を学び、何を生かすべきなのか?
著者経歴
高城剛(たかしろ つよし)・・・1964年、東京都葛飾区柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」でグランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。自身も数多くのメディアに登場し、広告に出演。総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。2008年より、拠点を欧州へ移し活動。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。
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