「「通貨」で読み解く世界同時恐慌」榊原英資
2016/01/29公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★☆☆☆(68点)
要約と感想レビュー
ミスター円と呼ばれる榊原さんの一冊です。2008年のリーマンショック、2010年のユーロ危機について、榊原さんは、経済の中心が欧米から中国へ移行するプロセスと見ています。
そして、基軸通貨がポンドからドルに移った時のように、アメリカ発の世界恐慌と同じように、中国発の世界恐慌を予想しているのです。
・世界経済の中心がアメリカから中国へ移行しようとしているのです。バブル的に拡大した中国経済が調整局面に入り、不動産バブルも次第に崩壊の兆しを見せています。もしこの中国のバブルが崩壊すれば、30年代の大恐慌と同じ状況に陥る(p4)
2012年の本ですので、当時の為替レートは1ドル80円です。このレートでは日本企業は儲からない。どんどん海外に工場を移している時代です。榊原さんは、円高はチャンス。海外の鉱山や企業を買ってしまえ、と言っています。
・円高は日本の国益である・・今の日本は円高ですから、たとえば海外の資源を手に入れる、海外で傾いた企業を手に入れるといった手を打つことができます(p22)
そして今(2016年)は、円安の時代となりました。いまだ、米国から中国へ経済の中心が移動するプロセスの中にあるのだと思います。もうひと波乱ありそうだと感じました。
榊原さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・ヨーロッパ統合のプロセスが逆ネジとなり、逆回転を始めたのです。ギリシャ危機はその象徴です。事ここに至っては、そもそもヨーロッパ統合に無理があったというべきでしょう(p47)
・英米との結びつきが強固なことはインドの強みです。・・インドのビジネス環境は欧米的で、すべてがトップダウン方式(p99)
・小さな政府を維持するのか・・・大きな政府を目指し、福祉を充実させるのか、日本はそんな選択を迫られている(p209)
アスコム
売り上げランキング: 482,693
【私の評価】★★☆☆☆(68点)
目次
プロローグ 世界同時恐慌の足音が聞こえる!
第1章 ドルとユーロの没落で、世界同時恐慌に突入する!
第2章 「元」と「ルピー」は、世界的な経済危機を救うことができるか
第3章 「通貨」がわかれば、世界経済が見えてくる
第4章 円高ドル安・ユーロ安! どうなる?日本経済
エピローグ 成熟国家のメリットを生かそう
著者経歴
榊原英資(さかきばら えいすけ)・・・1941年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。大蔵省入省後、ミシガン大学で経済学博士号取得。IMFエコノミスト、ハーバード大学客員准教授、大蔵省国際金融局長、同財務官を歴任。97年~99年財務官を務め、「ミスター円」の異名をとる。慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。2004年より高校生向けの合宿研修会「日本の次世代リーダー養成塾」を定期的に開き、日本の将来を担う人材の育成にも携わっている。
読んでいただきありがとうございました!
コメントする