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「為替がわかれば世界がわかる」榊原 英資

2007/02/09公開 更新
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為替がわかれば世界がわかる (文春文庫)

【私の評価】★★★☆☆(75点)


●「ミスター円」と呼ばれた著者が、
 為替市場での経験を通して、自分の思いを語る一冊です。


 為替という世界を表現すれば、
 ( 予測 )ができないということです。


 予測ができないにしろ、その時、その時で
 市場は動いていくわけですから、
 その市場参加者の動きを予想することが勝負となります。


 ・大切なことは、何が「正しい」のかを当てることではなく、
  市場参加者の多くがどう判断し、
  どう行動するかを当てることなのです。(p140)


●国際的に認知される著者から見ると、
 日本の仕組みには不満のあるところも多いようです。


 その点を一番書きたかった、
 言いたかったのかもしれません。


 ・日本では「記者クラブ加盟各社に公平に」という談合ルールが
  できていて、総理大臣が戦略的にメディアを選んで登場する
  ことすら、不可能な仕組みになっているのです。
  日本のマスメディア業界は、・・・もっとも規制が強く、
  カルテル的体質が強い業界の一つです。(p74)


●最近、FXやらデイトレードなどを煽る人が多いようですが、
 世の中に確実に儲かるものはないという事実がある以上、
 何か危ういものを感じるのは私だけでしょうか。


 ・名財務長官といわれたロバート・ルービンが「世の中に確かなもの
  など決して存在せず、すべての現象は確率論的なものである」
  という哲学を持っている(p214)


●為替を魚にして、「ミスター円」と呼ばれた高級官僚の
 世の中の見方が垣間見れる一冊でした。★3つとします。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・情報ほど価値の高いものはないなずなのに、多くの日本人は
  情報を水と同じようにみんなタダだと思っているふしがあります。
  為替の世界は、五分間で何百億円も儲けるということが可能な世界です。
  ・・・市場では情報をいかに多く掴んでいたのかと尊敬のまなざしで
  見られるのです。(p53)


 ・不良債権処理ビジネスは、本来なら、日本の銀行や証券会社
  がやるべきことなのです。ところが彼らは自分でリスクを
  取ろうとしません。・・・外資だけを「ハゲタカ・ファンド」
  と悪玉扱いするのはフェアな議論とは言えません。(p91)


 ・面白いのは、アメリカの政府関係者は、電話で話すときと
  対面して一対一で話すときでは、話し方にかなり落差がある
  ことです。・・・彼らは盗聴を恐れていたのです。(p165)


 ・私の場合、書店に山と並ぶ新刊書の中から、どういう方法で
  読みたい本を選んでいるか。まず、「この人は本物だ
  「この人が書くものは信頼できる」という筆者を各ジャンルに
  見つけておき、その人からたどって読む本の幅を広げていく
  方法を取っています。(p173)


▼引用は、この本からです。
為替がわかれば世界がわかる (文春文庫)
榊原 英資
文藝春秋
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【私の評価】★★★☆☆(75点)


■著者経歴・・・榊原 英資(さかきばら えいすけ)

 1941年生まれ。東京大学、同大学院卒業後、大蔵省に入省。
 ミシガン大学で経済学博士号取得。97~99年財務官を務める。
 現在、慶應義塾大学教授。


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