「経済の世界勢力図」榊原 英資
2005/12/19公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★★☆☆(72点)
●カザフスタンのバザールに行くと、
商品のほとんどは中国製です。
服、靴、家電製品、雑貨・・・
何でもあります。
スリッパが一日で壊れるなど、安かろう悪かろうですが、
とりあえず作る能力があるというのは、
すごいと思います。
これで品質が良くなれば・・・
もっと成長するに違いありません。
・確かに中国経済は、過剰投資により一部が
バブル化していますが、
大事なのはバブルが弾けても
成長は続くということなのです。 (p54)
●一方、日本に目を向ければ、借金は増え続けるばかりであり、
このままでは国家財政の破綻は確実です。
・問題は「日本経済は政府の財政赤字を今後も支えていけるか」では
なくて、「支えきれなくなるときがいつ来るか」ということ
なのです。(p152)
・市場関係者の間では「国債はいずれ暴落する」
と四、五年前から言われて、外資系金融機関などが
相当な額の国債を売り浴びせているのですが、
そのたびに農林中金や日本生命といった国内の金融機関が
買いに回って、国債市場を支えてきたのです。(p138)
●国の借金は国債の個人販売を開始した頃に、
すでに限界にきており、もはや増税や
年金・医療保険の減額などを実施しなくてはならない
最後の時期に来ているのではないでしょうか。
・どうしても年金と医療と
福祉、介護の部分にメスを入れないと、
日本の財政問題は解決しないのです。(p165)
●しかし、唯一納得できないのは、このままでは日本の破綻は
確実であると予想しているのに、
著者は国債を勧めているという点です。
国債が売れなければ、即、破綻ですから、
財務官まで勤めた立場としては国債を買わないでくださいとは
言えないのでしょう。
・個人のみなさんの場合、国債を買ってずっと持っていれば
問題ありません。(p214)
●たぶん、榊原さんの心の内は、
『私は財務省の人間ですので、このようにしか書けませんが、
私の真意は、読者の方が想像してください』
ということなのかもしれません。
財務省が、世界と日本の経済、政治の勢力図を
どのように見ているのか
垣間見ることのできる本として★3つとしました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・中国の人民銀行の幹部がこう挨拶したのです。
「これからはロシアと中央アジアが
われわれにとって大事である」(p6)
・実際、多くのアジア中央銀行は、
アメリカの借金である財務省証券を売って、
ユーロにシフトしています・・・(p129)
・私はこれからの時代を生き抜くためのもっとも効率のよい
投資は、「教育」であると思っています。(p219)
・私がお答えするとしたら、
「私立でも公立でもなく、外国へ
出しなさい」ということです。(p222)
文藝春秋 (2005/05/27)
売り上げランキング: 7,094
【私の評価】★★★☆☆(72点)
●著者経歴・・・榊原 英資
1941年生まれ。大学卒業後、大蔵省に入省。97~99年財務官。
「ミスター円」の異名をとる。慶応義塾大学教授。
読んでいただきありがとうございました!
この記事が参考になった方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
人気ブログランキングに投票する
メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」 18,000名が読んでいる定番書評メルマガです。購読して読書好きになった人が続出中。 >>バックナンバー |
配信には『まぐまぐ』を使用しております。 |
お気に入りに追加|本のソムリエ公式サイト|発行者の日記
コメントする