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「「脱原発」を論破する―今、日本人の知性が試されている!」長浜 浩明

2015/11/07公開 更新
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「脱原発」を論破する―今、日本人の知性が試されている!


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー

 福島原発事故により、放射能への健康被害を心配する人が多くいます。そうした政治家、マスコミ、学者に対し、「福島ぐらいの微量な放射線は健康に良いくらいだ、全く問題ないのに、過剰に反応するのは愚かなことだ」と指摘する一冊です。


 確かに国の除染基準である「1mの高さで、空間線量プラス毎時1マイクロシーベルト(μSv)」と比べると、鳥取県の三朝(みささ)温泉の毎時25μSv、胃のバリウム検診の被ばく量3000~25000μSv、宇宙飛行士の1日で1000μSvは非常に大きい数字に見えますが、科学的に許容範囲とされているのです。


 放射線の専門家は「数百ミリシーベルトの被爆でガンになる心配はほとんどない」「外部被爆による甲状腺ガンリスクについて、15歳以下のにおいても100mSv以下なら有意なリスク上昇は認められない」というのが常識なのです。


玉川温泉・湯治客の被爆効果を見る・・放射線量は7.0μSv/hを超えていた。15μSv/hの所もあるという。東京が約0.05μSv/hだから、この値は140倍から300倍もの放射線となる。(p16)


 私たちは、ラドン温泉で 数μSv/h浴びながら、胃のバリウム検査で数千μSvの被爆をしながら福島では 0.23μSv/h を除染目標として、数千億円を使っているのです。そして国際基準からはるかに厳しい食品の放射線の基準が、福島の農民・漁民を苦しめているという見方もあります。


 米国では約70万件の家屋内ラドン濃度を調べ、ラドン濃度が上がるほど肺ガンの死亡率が減少していたというデータがあります。日本では原爆被災者約10万人の追跡調査結果から「100~200mSv以下の低線量では、広島・長崎原爆被害者においても明らかな 発ガンリスクの増加は確認されていない」となっているのです。


 またアメリカの原子力空母や原子力潜水艦で修理作業をした造船工27872人を調査し、被爆をしていない造船工32510人を比べたところ、原子力船作業者の方がガンの死亡率は15%低く、ガンを含む全原因の死病率も24%低かったというデータさえあるのです。


 私達は、こうした科学に基づいたものではなく、雰囲気による規制こそが、被害を拡大しているということを知らなくてはならないのでしょう。放射線は見えないがゆえにイメージだけが一人歩きして、風評被害を拡大しているのでしょう。


国際基準と比べると新基準が異常に低いことが分かるだろう。この新基準なる逆差別が農民・漁民を苦しめている。(数値は食品1kg当たりのベクレルを表す)(p140)         
一般食品 乳児用食品
日本(新基準) 100 50
日本(旧基準) 500 200
EU 1250 400
コーディックス委員会 1000 1000
米国 1200 1200
韓国 370 370


 著者の主張は放射能を正しく恐れるということです。脱原発もよいのですが、今、存在する原発を発電しないことで、電力価格が年間3兆円増えていると言われています。10年間原発を停止したことで30兆円もの国富が海外に流出したのです。電気料金が高くなって、国際競争力が下がるリスクと、原発を運転するリスクを考えれば、運転したほうがよいのではないかということです。


 もちろん、原子力発電所を運転しないことで電気の価格が上がることをよしとするなら、それでも良いのでしょう。私たちはどちらを選ぶのか、ということだと理解しました。長浜さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・ドイツ・オーストリアではラドン放射能の内外被爆が体に良いと認められ、医療行為とされてきた。但し、医師による治療計画に沿って被爆量が決められる(p21)


・パリ大学名誉教授チュビアナ博士の講演から引用させてもらいますと・・私たちと比較的近いサルにおいて、250mSv以下の放射線を全身に照射しても、12年後も白血病のリスクはありませんでした(p69)


▼引用は、この本からです。
「脱原発」を論破する―今、日本人の知性が試されている!
長浜 浩明
東京図書出版
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【私の評価】★★★★☆(81点)


目次

第1章 放射能泉でガンが治る!
第2章 マスコミが報じない専門家の証言
第3章 低線量率放射線は体に良い!
第4章 チェルノブイリ・25年目の真実
第5章 マスコミ・武田邦彦氏・小出裕章氏らの冷酷
第6章 メディアの煽動と情報操作を超えて



著者経歴

 長浜浩明(ながはま ひろあき)・・・昭和22年群馬県太田市生まれ。同46年、東京工業大学建築学科卒。同48年、同大学院修士課程環境工学専攻修了(工学修士)。同年4月、(株)日建設計入社。爾後35年間に亘り建築の空調・衛生設備設計に従事、200余件を担当


原子力発電関連書籍

「「脱原発」を論破する―今、日本人の知性が試されている!」長浜 浩明
「ドイツの脱原発がよくわかる本: 日本が見習ってはいけない理由」川口・マーン・惠美
「原発事故 10年目の真実 始動した再エネ水素社会」菅 直人
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