「下座に生きる」神渡 良平
2015/11/06公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(82点)
要約と感想レビュー
38歳で脳梗塞で寝たきりになる
著者が人生に目覚めたのは、38歳で脳梗塞で寝たきりになってからです。半身不随になり、リハビリを続けるなかで、自分は生かされている。人には使命がある、自分にはやるべき使命があると気づいたのです。
私達は普段は普通に生きていますが、そうして生きていけるのも、父母とその先人たちが生命をつないできてくれたおかげです。私達は存在そのものが尊いのです。
気がついていないけれども、私たちの命の背後には、父母のそういう祈りや涙がある(p93)
志は高く、身は低く
幸いにも私たちには、そうしたことを教えてくれる先人たちがいます。私たちは、先人たちに学ばなくてはならないのです。そのために神渡さんは、本を書き始めたのです。
本書の「下座に生きる」とは、「志は高く、身は低く」という意味です。生きていれば、良いこともあれば、悪いこともある。それでも謙虚に努力し、自分のやりたいこと、やるべきことをやり続けるのです。それは仕事でも、生活の中でも同じなのでしょう。
世の中には有名ではあるけれども無力な人間もいれば、有名ではないけれども、頭が下がる生き方をしている人もいるという。
仕事をどうとらえるか・・・生活の糧を稼ぐための止むを得ない雑務と捉えるか、それとも修養の具体的方法だと捉えるか、それによって大きな違いが出てくるのだ(p105)
一燈を掲げて生きる
著者の提案は、一業を選ぶということです。『これで誰にも負けない世界を作るんだ』というテーマを決め、それに打ち込むのです。そうすると、『天はぼくにこれをさせるために、この世に遣わしたのか!』と、納得がいくはずだという。
この本では、佐藤一斎、中村天風、マザーテレサなど、一燈を掲げて生きた人を紹介しています。神渡さんも執筆を通じて一燈を掲げているのです。神渡さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・つまずいたり、ころんだりしたおかげで物事を深く考えるようになりました・・・だまされたり裏切られたりしたおかげで馬鹿正直で親切な人間の暖かさも知りました(相田みつを)(p48)
・天風先生は講演会や夏期修練会でよく、正宗の名刀と菜切り包丁の話をされた。「君たちはみんな正宗の名刀を与えられている。しかし、それに気づいていないので、自分を台所の菜切り包丁みたいに使っている。それは違うぞ(p69)
・家族の中でも一見やっかい者に見える人がいるし、会社の中でも成績も悪く、一見お荷物に見える人がいる。そういう人を排除したくなるのが人情だが、人間の成長、組織の成長はそういう人を通して行われるというのだ(p118)
・願望を描くことではなく、すでに成就したとして感謝することによって、現実を引き寄せていく(p153)
・本気になると
世界が変わってくる
自分が変わってくる
変わってこなかったら
まだ本気になっていない証拠だ・・・
坂村真民(p56)
・一燈を掲げて暗夜を行く。
暗夜を憂うこと勿れ。
只だ一燈を頼め
「言志晩録」13条(p142)
致知出版社
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【私の評価】★★★★☆(82点)
目次
第1章 下坐に生きる―一灯園の三上和志さんのこと
第2章 喜神を含む―先哲に学ぶ人生の知恵
第3章 『言志四録』を貫く天の思想
第4章 中村天風がつかんだ言霊の本質
第5章 私が経験したマザー・テレサの世界
第6章 車イスのカメラマンを雇った社長さん
第7章 一業に徹す―ある読者への手紙
第8章 対談・生命の本質を探る―中村天風先生をめぐって(杉山良一)
第9章 対談・独りを慎しむ―古典が示す日本への戒め(山崎道夫)
著者経歴
神渡 良平(かみわたり りょうへい)・・・1948年鹿児島県生まれ。九州大学医学部中退後、さまざまな職業を経る。38歳の時、脳梗塞で倒れ、右半身不随に陥る。闘病生活の中で、「人生は一回しかない」ことを知る。懸命なリハビリによって社会復帰し、作家となり、一度しかない人生をどう生きるべきかを書き続ける。
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いつも配信ありがとうございます。
一燈闇を照らすといいます。
良い本はそういうものかも知れませんね。