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「西郷隆盛 人間学」神渡 良平

2015/09/02公開 更新
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西郷隆盛人間学


【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー

 西郷隆盛を知ることによって、日本精神を再確認する一冊です。西郷隆盛といえば、江戸の無血開城。そして、明治維新の廃藩置県では、多くの反対、内乱の危機の中で、計画どおり断行したのです。


 それまでの武士という仕事がなくなるのですから、廃藩置県への反対は自分の命にも関わることだったでしょう。その武士の反対の雰囲気の中で、西郷隆盛はやるべきをやると決断したのです。


・まかり間違えば、内乱に発展しかねない状況だったが、西郷は有無を言わせず断行する覚悟だった。廃藩置県によって士農工商を廃止し、有能な人士は誰でも登用できるような仕組みにしないと、維新の実は挙がらない(p133)


 こうした大きな決断を断行できる胆力とはなんなのか。それは、この人が言うのだから、仕方がないと思ってもらえるか、ということです。


 この人には付いていけないと、謀反する人を叩き潰すほどの覚悟があるのかということでもあるのでしょう。現代社会では想像もつかないことですが、時として人は決断を迫られることがあるのです。


・英雄がそのときに処したとき、どういう胆力があったか、自分はどうであるかと較べ、自分が及ばないものを研究し、精神を奮い励ますべきである(p183)


 まだ、私はこうした境地に到達するレベルにないようです。徹底的に考え、正しいと信じた道を決断する。そうしたことができる人間になりたいものです。


 神渡さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・わかってはいるけれども、なかなか自分に厳しくできないのが人間だ。そのために天はその人を逆境に置き、試練を与えて、足腰を鍛えようとする。期待するものが大であればあるほど、試練は大きい(p19)


・西郷は真心の人だった。自分が真実であるかどうかをいつも問うていた。・・人ではない。自分がどうであったかなのだ(p252)


・西郷が言うように、「すべてを受け入れ、自分の誠が足りたかどうかだけを反省しよう」と心がけると、それが必然、必然、ベストだと思え、受け入れられるから、ものごとに動じなくなる(p45)


・国民が政治家の勤労ぶりを見て気の毒に思うようでなければ、良い政治は行われがたい。(p213)


・西郷は欧米を視察したわけではなかったが、日本せ接触した欧米人の傲慢な態度から、その華麗さは表面だけのものに過ぎず、その実、略奪文化であることを鋭く見抜いていたに違いない(p225)


・「着眼高ければ、理を見て岐(き)せず」(高いところに目標を置けば、ものの道理が見えてきて、心が迷うことはない)(p163)


・競争とは克己にあり、克己とは他者との競争ではなく、自分の弱さとの闘いである(p164)


西郷隆盛人間学
西郷隆盛人間学
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神渡 良平
致知出版社
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【私の評価】★★★★☆(83点)



目次

第1章 私心を去る
第2章 志を立てる
第3章 歴史の真相
第4章 子弟の教育
第5章 政とは天道の実践なり


著者経歴

 神渡 良平(かみわたり りょうへい)・・・1948年鹿児島県生まれ。九州大学医学部中退後、新聞記者、雑誌記者を経て独立。38歳の時、脳梗塞で倒れ、右半身不随に陥る。闘病生活の中で、「人生は一回しかない」ことを知り、、先人の知恵の大切さに気づく。懸命なリハビリによって社会復帰し、作家となり、一度しかない人生をどう生きるべきかを書き続ける。


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