【私の評価】★★★★☆(88点)
■日本人の祖先は朝鮮からの渡来人・・
皇室は朝鮮からやってきた・・
という説があります。
理系の著者が、こうした説の元となった
DNAや考古学のデータを再検証すると
結論は真逆でした。
大陸とは、若干の交流があった程度で
大量の渡来人の流入はなく
日本人は昔から日本人ということ。
・日沼教授はATLウイルスのキャリアが、
東アジアでは日本人にしかいないこと、
日本以外では沿海州からサハリンに分布している
少数民族に発見されているにすぎず、
中国・韓国には如何に調査しても
全くいないことを発見した(p110)
■まず、DNAからわかることは、
男性のY染色体は大陸とは異なり、
女性のmtDNAは類似している。
これは、女性についてはアジア全体で
長い時代にわたって均一化されて
いるということであり、
男性については、
外国から来た男性が、
地元の女性と結婚し、子どもを作ると
仮定すれば、
大陸では男性が移動・定着し、
均一化したものの
日本には来ていないということでしょう。
・日本人男性のY染色体は韓国人や中国人(北京)とは
大きく異なり、しかも遺伝的に遠く離れた関係にあるのに、
日本人女性のmtDNAは類似し、近いのは何故か。・・
私たち日本人の主な祖先は一万年以上にわたり日本列島の
主人公であり続けた縄文時代からの人たちだった(p262)
■なお、縄文時代と弥生時代とで
骨格が変わっていることについて、
渡来人の影響という説もあります。
この説については、
現代人の骨格が生活習慣の変化で
大きく変わったことから、
生活の変化による影響と考えます。
稲作導入などにより
食糧や生活が変化し
骨格が変わったのです。
・弥生時代以降の人骨を見て、
縄文系とか渡来系とかを論ずることは
困難であることは、明治以来、
150年足らずで私たちの骨格は大きく
変わったことからも実感できる(p228)
■とはいえ、朝鮮半島と日本とは
土器や前方後円墳など
文化的共通点もあり、
交流はあったはずです。
言語はまったく違いますので、
現代のように通訳などを通じて
意思疎通したのでしょうか。
長浜さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・弥生時代から奈良時代にかけて日本にやって来たと
される渡来人の影響は、その人数であれ、人口増加であれ、
大きくなかったからこそ、氏が渡来系としたY染色体の
O系統頻度は、日本中何処でもほぼ均一、と
考えざるを得ない(p254)
・では何故、韓国人のY染色体は中国人(北京)に
近くなったのかを考察してみよう。・・・
多くの被征服民族の男性は奴隷になったり殺されたりしたが、
女性は同じ運命を辿ることなく生き延び、
征服者=男性の子を産んだということだ(p264)
・東アジアの女性のmtDNAが似ている理由・・
女性が大虐殺されるのは希で、彼女らは
征服者の男性との間で子供を遺して行くことで
生存が保証されたと思われる(p265)
・1998年、青森県大平山元Ⅰ遺跡の無文土器の
炭素14年代が13000年前、暦年に較正すると
16000年前になると発表された。(p77)
・半島南部の土器を見た韓国の学者は
「これは日本の弥生土器だ」と認識していた。
つまり縄文時代に続き、弥生時代にも
多くの人々が日本から半島へと進出し続け、
その地に住んでいたことになる(p96)
・日本語と中国語(北京語、広東語、上海語など)や
朝鮮語との共通性を感じることはない・・・
「日本人のルーツは半島だ、大陸だ」といくら叫んでも、
多くの人にとって実感が湧かないのは当然であろう(p271)
・日本の品種の多くはaまたはbに限られている。・・
「b変形版」のイネは朝鮮半島には存在しないから、
仮に水稲が朝鮮半島から来たのなら「b変形版」の
イネは日本に存在しないはずである。だがこのイネは、
最初の渡来地とされた北九州を始め日本列島に隅無く
広がっている(p59)
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【私の評価】★★★★☆(88点)
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■目次
第1章 司馬遼太郎・山本七平の縄文・弥生観は失当だった
第2章 縄文時代から続く日本のコメづくり
第3章 縄文・弥生の年代決定に合理的根拠はあったのか
第4章 反面教師・NHK『日本人はるかな旅』に学ぶ
第5章 もはや古すぎる小山修三氏の「縄文人口推計」
第6章 机上の空論・埴原和郎氏の「二重構造モデル」
第7章 統計的「偽」・宝来聡氏の「DNA人類進化学」
第8章 為にする仮説・中橋孝博氏の「渡来人の人口爆発」
第9章 「Y染色体」が明かす真実
第10章 言語学から辿る日本人のルーツ