「おいべっさんと不思議な母子」喜多川 泰
2013/10/17公開 更新

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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
喜多川 泰を天才と呼ぶ人がいますが、本当に天才だと思います。今回は、学校にやってきた古風な母子から話がはじまります。この母子がまた、時代劇から出てきたような武士の一分を持った人達なのです。武士の子と、現代のいじめっ子が、相対したらどうなるのか。いまどきのPTAのおかあさんと、武士の母の言うことがどう違うのか。想像しただけで、笑え、考えさせられます。戦後教育は大きく変わったと言われますが、なるほどこんなに変わったのですね。
例えば、現代社会ならケガすることを恐れて、無関心を装い逃げるような人間が多いけど、武士の社会なら子どものうちは、毎日傷だらけになって遊ぶくらいがちょうどいい。たとえ腕の一本なくそうとも、守るべきものを守ることから逃げないのが武士なのです。
・「恐れるべきは、名誉をケガされたにもかかわらず、傷つくことを恐れて立ち上がることができない、臆病者になることではござらぬのか」(p89)
江戸時代の母子から見れば、現代社会は飢饉もなく、飢え死にする人もいない。子どもが間引きされることもない。身分の違いすらない良い時代です。しかし武士の時代の良いところを失っているのではないのか。江戸時代の母子は、先生を変え、同級生を変えていくのです。そして、最後のどんでん返しでも、喜多川さんに裏切られました。もしかして、これも映像化されるかもしれませんね。
喜多川さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・学校は、上手にたくさん失敗をするための場所なのだ。そして、その失敗からどう立ち上がるのか、失敗をどう克服するかを学ぶ場所なのだ。・・・誰とも一度もぶつからないのが、子どもにとっていい過ごし方ではない。(p134)
・人生の主人公は自分だって、よく言うでしょ。・・・でも、それだけじゃないのよ。監督をやってもいいし、脚本だって自分で書いていいのよ。どんな自分を演じて、どんな人生にするかは自分で決めていいの。(p251)
▼引用は下記の書籍からです。
サンマーク出版 (2013-01-09)
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【私の評価】★★★★★(90点)
著者経歴
喜多川 泰(きたがわ やすし)・・・1970年生まれ。東京学芸大学卒業後、塾を経営。高校生を中心に英語を教える一方、授業に自己啓発を取り入れるべく研究を続け、執筆活動を開始。
読んでいただきありがとうございました!
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先日紹介していただいた「おいべっさんと不思議な母子」非常にためになりとても面白かったです。
自分ではまず手に取らないであろうタイトルの本もソムリエさんの紹介で読むようになり、読書の幅が広がり大変感謝しております。
これからも、どうぞよろしくお願いします。