「竹中教授のみんなの経済学」竹中 平蔵
2013/10/02公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(81点)
要約と感想レビュー
10年前に書かれた竹中大臣の書籍です。国家財政については、10年前とあまり変わっていないようです。
竹中さんの計算では、今の福祉レベルを維持するためには、消費税は最低14%です。それは事実なのでしょう。
本来であれば、今の経済状況に合わせて福祉レベルを下げるのが、王道です。ただ、福祉レベルを下げた政党は、選挙で選ばれない可能性があります。
・1400兆円もの個人金融資産のおかげで財政赤字の問題が表面化しないという不幸・・・子どもの世代を食い尽くそうとする団塊の世代。景気が悪いことくらい、我慢する必要がある(p111)
こうしてみると、結局は、私たち国民がもっと稼がなくてはならないのです。そして、官僚が国民の経済活動の足を引っ張らないように、幼稚園も、郵貯も、大学も、林野庁も民営化することが望ましい。そうしてもっと稼いで、税金を納めるのです。
そうすることで、やっと国が老人福祉を支え、老人医療を支えることができるのです。
・教育に限らず、公的な部門が現場を持っているものは総じて悪くなります。なぜならば、競争がないからです。・・・かつてでいえば国鉄は巨額の赤字を抱えていました。その国鉄も、JRになってかなりよくなりました(p103)
財政再建への道は、いくつもの打ち手を、平行して進めていかないと難しいようです。先送りしているうちに、また10年が過ぎてしまったというところでしょうか。私たちも頑張りましょう。
竹中さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・バブルが崩壊した90年代の成長率は年平均約1%です。つまりこの10年で日本人一人当たりの所得は10%程度高くなっているのです。・・・不況といわれながらも平均で見れば上がっているのが現実です(p35)
・1990年代に日本では、100兆円の追加経済対策を行っています・・・東京都内にある建物を全部立て直す場合に必要な金額は、床面積単価から算出すると、75兆円にすぎません。・・・付加価値を生まない建造物やほとんど使われないスーパー林道などに巨額の資金が投入されたのは、きわめて残念です(p93)
・「政府は何をやっているんだ」という日本人は結局「官」に期待し、依存している・・・その結果として、規制が次から次へでき、政府系機関が数多く設立されることとなりました(p106)
・保育園は民間でできるのではないか。官がやるべき必要性はどこにもないのではないか。・・・年金制度にしても現在は官が仕切っていますが、民間でやればよいはずです。本来なら、官つまり政府の役割は最低限の部分だけで十分なはずです(p107)
・いまの60代、70代の人は一人当たり平均値で見ると、生涯を通じて払い込む税金や保険料負担よりも受け取るサービスのほうが、一人約4000万円多くなります・・・いまの10代の若者について見ると、ほぼ逆の数字が出ます(p226)
【私の評価】★★★★☆(81点)
目次
第1章 お父さんの経済学
第2章 お母さんの経済学
第3章 お姉さんの経済学
第4章 お兄さんの経済学
第5章 おばあちゃんの経済学
著者経歴
竹中 平蔵(たけなか へいぞう)・・・1951年生まれ。日本開発銀行、大蔵省財政金融研究所、大阪大学経済学部助教授、ハーバード大学客員准教授、慶応義塾大学総合政策学部教授などを経て2001年経済財政政策担当大臣。02年に金融担当大臣。2004年には郵政民営化担当大臣を兼務。2005年総務大臣。2004年には参議院議員当選。2006年小泉内閣とともに政界引退。現在、慶応義塾大学教授グローバルセキュリティ研究所長など。
読んでいただきありがとうございました!
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