「レベル7福島原発事故、隠された真実」東京新聞原発事故取材班

|

レベル7 福島原発事故、隠された真実

【私の評価】★★★★☆(86点)


■3月11日の福島第一原発事故を
 振り返る一冊です。


 小説的な構成で、これまで読んだものの中では、
 もっともわかりやすい一冊ではないでしょうか。


 当時現場では何がわかって、
 何がわからなかったのか。


 現場がどう判断して、
 どう動いたのか。


 東電の社員は、できる範囲で、
 よくやったと言えるのでしょう。


・IC(非常用復水器)は水の補給がなくても六~十時間は
 動かせる。破損を恐れるより、とにかく稼働させることが
 大事だったが、運転員にその理解はない
。いずれにせよ
 ICは非常用バッテリーが起動しなかった時点で、四つ
 ある弁は四つともほぼ閉じている(p36)


■この本の特徴は、
 従来あまり出なかった現場の作業員の
 被曝の状況が定量的に書いてあることです。


 当時中央制御室にいた東電社員は、
 500ミリシーベルトを超える被曝をしています。


 これは外部被曝ではなく、内部被曝であり、
 かなり危険な数値だと思います。


 また、汚染された水で足を被曝した作業員は
 200ミリシーベルト弱の被曝でした。


・3号機の爆発後も、3,4号機の中央制御室では、
 運転員が懸命の作業を続けていた。放射線量が高いため・・・
 六人の運転員らが308~678ミリシーベルトの被曝をする。
 ・・・うち二人は、外部被曝よりさらに危険だとされる
 内部(体内)被曝が500ミリシーベルト超に達していた(p103)


■当時を思い出して、気持ちが悪くなってきました。


 難しい報告書の多いなか、
 わかりやすい本書は貴重だと思います。


 ★4つとしました。


------------------------------------------------------------------


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・原発で働いて四十年になる。八年ほど前、東電社員との懇親会で
 「五メートル以上の津波が来たらどうするのですか」と
 尋ねたことがある。「そんな津波は来ません」と言われたが、
 まさにその津波で、家々がやられていた(p15)


・東北電力から福島第一原発に最初の電源車一台が到着したのは
 午後九時すぎだった。・・・敷地内はがれきが散乱し、電源車は
 各号機へ容易に近づけない。ケーブルの接続先となる各号機の
 電源盤も津波で破損し1,3号機はすべて使用できない(p41)


・1号機の原子炉建屋内は放射線量が上昇し、ほかならぬ吉田が
 「入域禁止」を命じている。だが、被曝覚悟で作業をしなくては、
 今そこにある危機は回避できない。
 東電はこれまで手動でのベントを想定しておらず
 運転員たちはそのための訓練を受けたことがなかった(p51)


・「決死隊」として原子炉建屋に入った当直長職の五十代社員は、
 作業で106ミリシーベルトの被曝をする。頭痛や熱っぽさを訴え、
 この日夜、五キロ離れたオフサイトセンターで診察を受けた。
 見るからに疲れ切っていた。だが、診察が終わると、・・
 福島第一原発へと戻っていく。(p64)


・原子炉建屋には水素を外に出すシステムがあったが、
 電源喪失で機能を失っていた。建屋内に水蒸気が充満して
 圧力が高まると、自動的に壁の大きなパネルが外れる仕組み 
 もあるが、簡単に外れないようにしていた・・・
 新潟県中越沖地震の際、柏崎刈羽原発で建屋内の圧力が
 高まったわけでもないのにパネルが外れた反省から、
 あえて外れにくくしたことが仇となる(p92)


・足元に深さ十五センチの溜まり水があった。
 高濃度の放射性物質に汚染された水。・・・
 短靴の二人は全身に約180ミリシーベルト、長靴の一人も
 173ミリシーベルトの外部被曝をしていた・・・
 短靴の二人は足に放射性物質が付着し、
 466ミリシーベルトの局所被曝もしていた(p128)


・米国は原子力の専門家を大量に日本に送り込んだ。
 三月十五日までにエネルギー省から34人、同十六日までに
 原子力規制委員会(NRC)から11人が相次いで来日。
 海兵隊からは・・(CBIRF)の約150人が派遣される(p129)


・東電は、2008年に島崎説をもとにした試算に取り組んでいた。
 原子力安全委員会が06年に改定した原発の耐震設計指針に、
 初めて津波対策が盛り込まれたことを受けた動きだった・・・
 福島沖を震源に、明治三陸沖地震と同様のメカニズムで同じ規模の
 地震が起きたと仮定して試算する。津波の高さは原発付近で
 最大15.7メートル。(p179)


・付属の解説には「長時間にわたる電源喪失は、送電系統や
 非常用DG(ディーゼル発電機)の修復が期待できるので
 考慮する必要はない」と明記されていた。ほかの部分はすべて
 「~であること」などと義務的に書かれている。
 その中で、異彩を放つ表現である。(p184)


・報告書や後に開示された議事録を見ると、日本の技術への過信が浮かぶ。
 報告書によると、米国の原子力規制委員会(NRC)のデータでは、
 68~85年までの17年間に、外部電源喪失事故が64件も起きた・・・
 一方、日本では88年までに4件しか外部電源の喪失事故がない・・(p187)


・「少し懸念があるのは、どこまでも仮想的に被害の大きさを
 どんどん大きくしていくことです。ほとんど確率はゼロに近く、
 人間の力では対応できないようなものまで想定していくことは
 あってはならない」この日の会議で、小委委員長で東大名誉教授の
 宮健三(71)はこう述べている。(p215)


レベル7 福島原発事故、隠された真実
東京新聞原発事故取材班
幻冬舎
売り上げランキング: 9,549

【私の評価】★★★★☆(86点)



この記事が参考になった方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
人気ブログランキングに投票する
人気ブログランキングへblogrankings.png


■目次

第一部 福島原発の一週間
第二部 汚染水との闘い
第三部 想定外への分岐点
第四部 「国策」推進の陰で
第五部 安全神話の源流
第六部 X年の廃炉


楽天ポイントを集めている方はこちら



読んでいただきありがとうございました!


メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」
50,000名が読んでいる定番書評メルマガです。購読して読書好きになった人が続出中。
もちろん登録は無料!!
        配信には『まぐまぐ』を使用しております。



この続きは無料メールマガジン 「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』:1ヶ月30冊を超える情報をe-Mailで」でお読みいただけます。

無料メルマガ購読

>月別(2002年7月~)