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【書評】「生きづらさを価値に! : 傷ついた人の力を信じる男の物語」武田和浩

2026/02/05公開 更新
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「生きづらさを価値に! : 傷ついた人の力を信じる男の物語」武田和浩


【私の評価】★★★★☆(88点)


要約と感想レビュー


まきばフリースクールとは

宮城県栗原市にNPO法人「まきばフリースクール」があります。著者の武田さんが馬や牛やヤギを飼いながら,寄宿型の自宅兼フリースクールを運営しているのです。


武田さんは1999年から「安心できる心の居場所」として、「来る者拒まず」の方針で,様々な人たちを迎え入れてきました。


経験もお金もないけれど、親戚が土地やお金を出してくれました。土地は農地で法律によって建築不可でしたが、県知事に陳情書を出したら特例で許可してもらえたました。


しかし当時は、フリースクールといっても一般的ではなく、学校の先生も生徒がフリースクールに行くことは恥であり,子どもを捨てるようなイメージだったので、学校の敵のように扱われ,嫌がられたという。


そのため不登校の子どもをフリースクールに受け入れようとしましたが、参加者はそれほど増えませんでした。


1998年,自然豊かな場所で動物たちを飼いながら,寄宿型の自宅兼フリースクールをやろう!と決めました(p13)

狼と羊

そこで、著者は養育里親に登録し、虐待、養育放棄などの理由で暴行や万引きなどの非行に走るような子どもを引き受けることにしました。


不登校や引きこもりだけでなく、統合失調症,アルコール依存症,うつ病,パーソナリティ障害、試験観察や補導委託の子ども、児童相談所から委託される里子たちなど、多いときで17人の共同生活を送っていたという。


著者の印象では、不登校や引きこもりの子どもたちは迷える羊で,自分の部屋で,壁に頭をガンガン打ち付けて自傷行為を始める子どももいたという。


一方で、施設から委託された子どもたちは狼のようだったという。道徳という判断基準が頭の中にはなく、自分にとって得か損かで判断し、よく物が無くなったりしたという。


そして行動は正反対ですが、著者が彼らから学んだんのは、人間が自分らしく生きていくために必要なのは「無条件の愛」だということだったのです。


2000年1月,養育里親の登録をしました・・中学3年生の妹と高校2年生の兄の兄妹がやってきました。父親はその4年前に建設現場で自死。母親はギャンブルとアルコールに依存し,借金苦の末,愛人を作って蒸発していまいました(p19)

著者のどん底期

著者は子どもの頃から努力して、人より優れていることを認められ、賞賛されることが生きがいでした。陸上の選手として一生懸命練習しました。ところが高校生になってケガをして、練習ができず、成績が出ません。著者は、生きる意味を失い、やる気が出なくなってしまったのです。


著者の考えが変わっていったのは、学校の裏にあった教会で牧師さんの話を聞いてからです。牧師さんは、「自信はいらないよ」「そのままでいい」と教えていたのです。


高校の卒業をした年の秋に,著者が人生に絶望して牧師さんに,「助けてください」とお願いしたら、山形の牧師さんが著者の家に泊まって,一晩中,話を聞いてくれたという。著者はあの時,話を聞いてもらわなかったら,今,生きていないと回想するのです。


著者は「自分と同じように,若くして悩み苦しむ人たちと一緒に生活したい。その生活のなかで「自分自身が大切な存在だ」と肌で感じてもらいたい」と思うようになったのです。


若い頃,どうしようもない人間でした。だけど,そんな私のために,捨て身で本気で関わってくれた人がいたから,今の自分があります。私は,ただ御返しをさせていただいているだけなんです(p26)

著者には神様が付いている

まきばフリースクールは25年を経て、利用者30人、当事者スタッフ70人の大所帯に成長しました。


外の社会で活躍することが難しい利用者も、「そのままで大丈夫だよ」と受け入れて、給料を払うと元気に仕事をしてくれるという。期待され,否定されず,責められず,感謝されて,報酬までもらうと,嬉しくて気が湧いて力を発揮できるようになるのです。


著者は、「自分は経営のセンスはゼロ」と自己分析しながら、「これだ!」と思えば,予算がなくても,後先考えず,計算せず,見切り発車で,一か八か,腹を括って,捨て身で飛び込む勇気があるという。


スタッフからは「武田さんには神様が付いている」と言われるくらい、飛び込んだ後で、多くの人に助けてもらっています。フリースクールを建設するときには、荒木建設の荒木吉秋さんに建設費2500万円を1500万円に負けてもらいました。2022年に「Cafeレストラン」を建設しようと考えて、クラウドファンディングしてみたら1300万円が集まりました。


まさに著者の魅力がお金と人を引きつけたのでしょう。武田さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・世の中には,18歳でファミリーホームを出ても,寂しさからホストに騙され,水商売で身体を売って,ボロボロになっていく子どもたちがたくさんいます(p93)


・農業のフィールドを活用して福祉と連携しながら,いろいろなことができると思いました。それを体現しているのが,ヨーロッパを中心に盛んな「ソーシャルファーム(社会的企業)」です(p47)


・認知症のおばあさんを元気にしたのは,ひきこもりの青年。この青年をやる気にしたのは,アルコール依存症の青年(p72)


・子どもが不登校であろうが,ひきこもりであろうが,「私の子どもだから大丈夫」と言える人と,「私の子どもだから心配だ」という人がいます。親の自己肯定感の違いです(p99)


▼引用は、この本からです
「生きづらさを価値に! : 傷ついた人の力を信じる男の物語」武田和浩
HPで詳細を見る
武田和浩 (著)、ブレイン・ワークス


【私の評価】★★★★☆(88点)


目次


第1章 「まきば」の幕開け
第2章 「まきば」の原点
第3章 「まきば」の再出発
第4章 「まきば」の絆
第5章 「まきば」の多様化
第6章 「まきば」の夢をつなぐ


著者経歴


武田和浩(たけだ かずひろ)・・・1999年に宮城県栗原市の自然と動物に囲まれた環境の中でスタートした不登校児のための寄宿型フリースクールで、生きづらさを抱えた人たちを迎え入れてきた。ニーズに併せ、障がいを抱える青年たちの生活の場のグループホームや家族と暮らすことの出来ない子どもたちのためのファミリーホーム、自立準備ホームや就労の場として高齢者介助デイサービスの運営なども行っている。また農作業を体験し成果物を販売するなど循環型の環境作りに力をいれていて、人も資源も循環型のソーシャルコミュニティを作ることを目指している。職員35名中約7割が当事者から回復したスタッフとして利用者を支えている。


子どもの居場所関連書籍


「生きづらさを価値に! : 傷ついた人の力を信じる男の物語」武田和浩
「30年かかって一汁一菜 四季折々の食材で体を整える」佐藤宏美
「学校に行けない子どもの気持ちがわかる本」今野 陽悦


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