「韓国窃盗ビジネスを追え: 狙われる日本の「国宝」」菅野 朋子
2013/04/05公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★☆☆☆(65点)
■日本から盗まれた古美術品を
韓国在住のフリーライターが追うという一冊。
著者が追ったのは、
兵庫県の鶴林寺から盗まれた高麗仏画。
そして、長崎県壱岐島の
安国寺から盗まれた『高麗版大般若経』。
こちらは同じものが韓国で
国宝に指定されています。
対馬市のお寺から盗まれた菩薩像が
韓国から返還されない事件がありましたが、
それは氷山の一角であることがわかります。
・「韓国で国宝になった経典の年号は、
後から書かれたものだという話を
聞いたことがありました。
後書きされたというんです。
書体も違っていると・・」(p56)
■高麗仏画を盗んだ犯人の金国鎮は、
韓国で逮捕されています。
そこで、著者は金国鎮の息子と
本人にインタビューすることで、
高麗仏画と『高麗版大般若経』を盗んだのが
金国鎮であると確信します。
韓国では、古美術品窃盗団のスポンサーがおり、
泥棒はそのスポンサーの依頼により
品物を盗み、換金しているのです。
盗まれた品物は、時効を待って
韓国内で取引きされるのです。
・父親のスポンサーはそのB社長ですよ・・・
壱岐にある残りの経典を持って来たら、
一巻どれくらいで買い取ってくれるかと訊いたら、
『200万ウォン(約14万円)』なんていう。
話にならない。父親にその話をしたら
『年をとっても強欲なヤツだ』と
怒っていました。(p61)
■韓国のどろぼうは、盗品が売れないと、
古美術品を切り刻んだりして捨てる場合も
あるようです。
日本では泥棒にも、
品格というものがありますが、
韓国にはないようです。
価値あるものを持っている人は、
ご注意ください。
菅野さん、
良い本をありがとうございました。
------------------------------------------------------------------
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・盗まれた重文などの古美術品は、複数の人間の間で、
ぐるぐる売買が繰り返されるのが一般的だ。
この販売経路は、通称「ナカマ」や「カイダシ」と呼ばれ、
要は全員が"グル"である。・・・時間をかせぎ、
時効成立を待って本格的な取引を始めるのが常套手段だという(p90)
・「古美術はね、格好のマネーロンダリングなんですよ」
政治家や企業家にとってですか、と問うと、
黙ってにやっと笑った。
最後にもう一度、「阿弥陀三尊像」
について訊いてみた(p153)
・高麗仏画はね、水の中に入れても崩れない。
仏画の紙は、チュジャ(胡桃の油)に三年つけて
作られているから、水に反応しないんだ(p177)
・中国では、高麗仏画の贋作をそれは本物のように
うまく描くんですよ。それが昔は、
100万ウォン(約10万円)、200万ウォン(約20万円)
程度だったのが、今では五億ウォン(約3500万円)
くらいに価格が跳ね上がった。
それを日本でまた売るんです、高値でね(p210)
・ソウル市内でも住む地域によって貧富が推し量られ、
肩身の狭い思いをする人もいるが、
地方というと、
さらに蔑(さげす)まれるのだ。(p21)
新潮社
売り上げランキング: 115,668
【私の評価】★★☆☆☆(65点)
この記事が参考になった方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
人気ブログランキングに投票する
■目次
第1章 重文窃盗ビジネス
第2章 消えた壱岐の経典
第3章 阿弥陀三尊像を巡る日韓の攻防
第4章 古美術業界の裏世界
第5章 犯人の独白
読んでいただきありがとうございました!
メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」 50,000名が読んでいる定番書評メルマガです。購読して読書好きになった人が続出中。 >>バックナンバー |
配信には『まぐまぐ』を使用しております。 |
コメントする