「秘録・日韓1兆円資金」小倉 和夫
2013/04/06公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
要約と感想レビュー
■外務省北東アジア課長であった著者が、
1981年の韓国からの100億ドルの経済協力要請から
40億ドルの経済協力を締結するまでの
交渉経緯を記録した一冊です。
韓国の対日外交のスタイルは、
当時からあまり変わっていないように
感じました。
どうすれば金をもらう側がこれだけ
居丈高(いたけだか)な態度でいられるのか。
不思議です。
・豊かな隣国であり、歴史的にも深いつながりのある日本から、思い切った、防衛、経済協力をお願いしたい。具体的には、現行の日本の対韓国協力の額を10倍に増やし、年間約20億ドル、それを向こう五年間、合計100億ドルの資金を韓国へ提供願いたい(p17)
■韓国の交渉テクニックは
次のとおりです。
1 最初、思いっきりふっかける
2 変な報道があったら、非礼であると強烈に非難する
3 国民が怒っている
4 植民地支配の過去を清算しろ
5 これは日本側からの要請によることにしろ
6 直前に小さな要求を切り出す
現在の韓国とあまり
変わらないように感じました。
・国交正常化のとき、日本から韓国に与えられた有償、無償の経済協力は、韓国のためというより、日本のために使われました。それは、韓国の日本に対する、累積200億ドルにも上る貿易赤字にも表れています。国交正常化で得をした者は誰か いま韓国国民は、苦い気持ちでこの問いの意味をかみしめています(盧長官)(p88)
■文化と習慣を異とする人々と
外交をする人の気苦労がわかりました。
こうした交渉はこれからも続くのでしょう。
お疲れ様です。
小倉さん、
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・「40億ドル以下ではどうしてもだめです」盧は、救いでも求めるかのように、ぽつりといった。・・・「経済協力問題に解決の糸口がつかめなければ、共同声明は出せないと思います。大統領もそのように考えています」(盧長官)(p129)
・韓国側は記者にほとんど内容をしゃべっていないのです。それに対して日本のプレスブリーフは一方的に会談の内容を外部に伝えて・・・私は韓国の外相として侮辱されたと感じています。このような侮辱を受けて、このまま日本にいるわけにはいきません。明日の朝一番の飛行機でソウルに帰ります(盧長官)(p93)
・彼ら若い世代は、韓国は戦後日本の政治的植民地からは離れたが、国交回復のために、今度は、日本の経済的植民地になってしまったと考えている。彼らが、今度こそ日本は韓国人を劣等民族、被支配民族と見ず、本当に救いの手を差しのべてくれたといえるような協力をお願いしたい(盧長官)(p106)
・園田大臣閣下の誠意を私は信じます。しかし、誠意だけでは国民を納得できません。金額についてのお約束をいただけなければ、国民はまた日本にだまされたというでしょう(盧長官)(p124)
・前に、竹下さんとの間で「15億ドルまでは・・・」という案があったものですから、それを踏まえて、「円借」15億、輸銀25億、「民借」5億、期間は一年伸ばして87年(昭和62年)まで、という案を提示したわけです。しかし、盧長官は、「この程度では国内が爆発する。この数字では収まらない」と一蹴・・・(p218)
・中曽根総理一行が、ソウルに着くやいなや、韓国側は、一つの難題を持ち出した。経済協力の額や期間や条件について、日韓間で文書を交換し、それに両首脳が署名することを要求してきたのだ。(p294)
・日本の植民地支配の過去の清算といった問題は、少なくとも政府間では解決済みとする日本側の感覚と、この問題は完全には清算しきれていなかったとする韓国側の思いとの溝が見え隠れしていた(p147)
・この緊縮財政、歳入欠陥の世の中に、何十億ドルという援助を一国にポンと出すなど狂気の沙汰だ(渡辺大蔵大臣)・・インドネシアにも年に600億円、中国にも600億円、タイに700億円の経済協力を行っている時代に、隣国で特別な関係にある韓国に、五年ないし六年で3500か3600億円くらいの金をやることは当たり前ではないですか(木内局長)(p208)
・いまどき中進国になって、アジアの四匹の虎とかいわれるようになった韓国に、日本が、100億だろうが、40億だろうが、経済協力をする理由はない。・・・日韓関係は、いつも、政治的妥協の連続だ。それは仕方がない。問題は、それがあたかも当然の権利であるとか、合理的帰結であるかのうようにふるまう輩の偽善的態度だ。それが我慢ならぬ。(木内局長)(p298)
▼引用は下記の書籍からです。
【私の評価】★★★☆☆(70点)
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目次
第一章 軍事政権の要求
第二章 韓国の傲岸不遜
第三章 外相たちの「哲学」
第四章 韓国の「克日」
第五章 瀬島龍三と全斗煥
第六章 偽造された親書
第七章 「最終案」の行方
第八章 親日と反日のはざまで
第九章 ニューヨーク会談で見えた薄光
第一〇章 瀬島龍三の裏工作
終 章 終幕――ソウルの初雪
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