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「FUKUSHIMAレポート~原発事故の本質~」

2013/05/25公開 更新
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FUKUSHIMAレポート〜原発事故の本質〜


【私の評価】★★☆☆☆(66点)


要約と感想レビュー

福島第一原発事故で、早期に海水注入をしていれば、メルトダウンは防げた!という一冊です。確かに、現場にいた運転員が、神のごとく正しい判断をし、正しい行動をすれば、メルトダウンは防げたのかもしれません。


さっさとベントして、海水を注入すればいい。しかし、それは神でなければ無理であり、だれがやっても安全に原発は止まるという仕組みが原発には必要なのでは?そのためには、電源の確保が絶対的に必要だったのでは?意見として正しいのかもしれませんが、ちょっと疑問符がつきました。


早くベントと海水注入をして冷却を進めるべきだと思ったので、隔離時冷却系が停止するまで待つ理由を東電、保安院、安全員会のメンバーに質問しています。回答は次のようなものでした。できるだけ温度と圧力が十分上がってからベントした方が、放出できるエネルギーが大きい。一度しかできないので、最も効果的なタイミングで行う(p24)


後半は国の原子力政策と、民間電力会社による原子力の建設と、それを受け入れる地元の実情について記載されています。そして風評被害から、電力会社の発送電分離と関係する議論が続きます。


そういう意味では、地元に与えた経済的被害も甚大ですが、国家のエネルギー戦略さえもリセットしてしまった事件だったと感じました。まだまだ原子力の問題は続きそうです。FUKUSHIMAプロジェクト委員会の皆様、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・ヨーロッパの原子炉では、ベント管にフィルターが設置されていて、放射性物質の外界への放出を100分の1以下に低減するようになっている。(p34)


斑目は現在、原子力安全委員会の委員長で、当時は東京大学教授として証言している。「非常用ディーゼル2個の破断も考えましょう、こう考えましょうと言っていると、設計ができなくなっちゃうんですよ。つまり何でもかんでもこれも可能性ちょっとある。そういうものを全部組み合わせていったら、ものなんて絶対作れません。だからどっかでは割り切るんです(p186)


・発送電分離によって送電網を国有にできるのなら、長年の悲願である電力事業国営化への可能性が開ける。東京電力福島第一原発の事故後、「原発はすべて国の管理とすべきだ」との声が小さくない。東電憎しの勢いからである(p425)


▼引用は下記の書籍からです。
FUKUSHIMAレポート〜原発事故の本質〜
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)


目次

第1章 メルトダウンを防げなかった本当の理由―福島第一原子力発電所事故の核心
第2章 3・11に至るまでの日本の原子力安全規制
第3章 日本の原子力政策─核兵器製造力とエネルギー自給を高速増殖炉に託す
第4章 原発が地域にもたらしたもの
第5章 風評被害を考える
第6章 電力事業における原子力発電の位置
第7章 原発普及の今後



福島原発事故関連書籍

「レベル7福島原発事故、隠された真実」東京新聞原発事故取材班
「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日」門田 隆将
「原発再稼働「最後の条件」:「福島第一」事故検証プロジェクト最終報告書」 大前 研一
「原発と大津波 警告を葬った人々」添田 孝史
「FUKUSHIMAレポート~原発事故の本質~」
「ザ・原発所長(上・下)」黒木 亮


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