「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日」門田 隆将

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死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日

【私の評価】★★★★★(90点)


■福島第一原発事故の発生から、
 FUKUSHIMA50と呼ばれる決死隊が
 編成されるまでの現地の状況を再現した一冊です。


 およそ6mの津波しか想定していない原発に
 15mの津波が来れば、もうどうしようもない。


 そうした中で、現地はその場にあるもので、
 なんとかしようと努力したことがわかります。


・ここに俺たちがいる意味ってあるんですか。・・・
 われわれが中操から退避するということは・・・
 もうこの発電所の地域、まわりのところを
 みんな見放すことになる・・・
 だから、俺たちは、ここを出るわけにはいなかい(p206)


■不眠不休のなか、原子炉への注水、ベントの準備、
 本店や官邸との対応等、現場は限界に近かった。


 電力がなければ、中央制御室にいても
 なにもできない。


 炉心の推移や圧力データも本当に
 正しいデータなのかどうかわからない。


 1号機が爆発する。


 敷地内の線量はどんどん増えてくる。


 3号機が爆発する。


 そうした先が見通せない中、
 最後に残った人たちは、
 命を懸けていたのは間違いありません。


・トイレは水も出ないから悲惨ですよ。流すことも
 できませんからね。・・・とにかく真っ赤でしたよ。
 みんな、血尿なんです・・・
 誰もが疲労の極にありましたからね
 およそ六百人が避難して、免震重要棟に残ったのは
 「六十九人」だった
。(p278)


■太平洋戦争と同様に、
 戦略(基本設計)の失敗は、戦術や精神力では
 カバーできないことがよくわかりました。


 準備がなければ、現場がどんなに頑張っても、
 どうしようもないことがあるのです。


 福島第一原発の現場がどうなっていたのかを知るためには、
 ベストの一冊ではないでしょうか。


 門田さん、
 良い本をありがとうございました。


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■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・「最後だから、写真を撮りましょう」・・
 「縁起でもないから、やめろ」・・・
 「私たちは主に格納容器の圧力と原子炉水位計のデータを
 とるのが仕事でした。・・・
 そういうなかで、いつが"最後"になるかもわからないので、
 私はみんなの写真を撮っていったんです(p228)


・「おまえ、海水注入はどうした?」・・
 武黒は後輩の吉田を「おまえ」と呼ぶほど近い関係にある。
 「やってますよ」吉田は平然と答えた。・・・
 「それまずい、それ」「どういうことですか」
 「とにかく止めろ」
 「なんでですか。入れ始めたのに、止められませんよ」
 「おまえ、うるせえ。官邸が、グジグジ言ってんだよ!」(p220)


・総理一行に、所長の吉田としては、きちんとしたマスクなど、
 一定の装備をしてもらわなければならなかった。
 そのための装備の余裕がなかったのである・・・
 "本店で用意してくれ"と言ったんです。
 しかし、本店は、"現場でやってください"と言う。・・・
 "ふざけんじゃねえ"と、大喧嘩になりました(p138)


・現場に向かう時は必ず、私の許可の上で、制限時間は
 "二時間"とする。そして単独行動ではなく、必ずペア、
 すなわち二人で行動すること。・・・何時に出発したか、
 そして戻ったかを、必ずホワイトボードに書くこと(p61)


・「行方不明四十名!」
 そのあと緊対室に轟いた声に、吉田は凍りついた。
 (これで、俺はここから生きて出るわけにはいかない)(p239)


死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
門田 隆将
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【私の評価】★★★★★(90点)


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■目次

第1章 激震
第2章 大津波の襲来
第3章 緊迫の訓示
第4章 突入
第5章 避難する地元民
第6章 緊迫のテレビ会議
第7章 現地対策本部
第8章 「俺が行く」
第9章 われを忘れた官邸
第10章 やって来た自衛隊
第11章 原子炉建屋への突入
第12章 「頼む!残ってくれ」
第13章 一号機、爆発
第14章 行方不明四十名!
第15章 一緒に「死ぬ」人間とは
第16章 官邸の驚愕と怒り
第17章 死に装束
第18章 協力企業の闘い
第19章 決死の自衛隊
第20章 華族
第21章 七千羽の折鶴
第22章 運命を背負った男


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