「世界一わかりやすい放射能の本当の話 完全対策編」宝島社
2011/07/31公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
要約と感想レビュー
週末に時間があったので3冊ほど福島の原子力事故関係の本を読みましたが、それほど良いものがないのが意外でした。インターネット上の情報を読んでいるほうが情報量としては多いかもしれません。ということで、3冊の中で、比較的まとまっていた一冊を紹介いたします。
やはり放射能対策としては、外からの被爆は避けにくいので、放射性物質をできるだけ体の中に入れないこと。食べ物、飲み物に注意し、外出時はマスクが必要となります。
・汚染された水道水でも・・・活性炭と中空糸膜を使った浄水器なら効果はありそうです(p28)
本書を読みながら、「パニックを恐れて情報を出さなかった」と政府が謝罪した記者会見を思い出しました。私は、政府を信じていないので、3月15日に自己判断で仙台を出ましたが、その日に3号機の爆発があったのです。周辺で放射線量が上がり、水素爆発した時点で、メルトダウンはわかっていたはずなので、最初の段階で福島の人達を避難させておけば、問題はなかったはずです。
北西60kmの福島市杉妻町で、6月1日にセシウム137だけで1080kBq/m2というチェルノブイリ原発事故のベラルーシが決めた移住対象レベルの555 kBq/m2のほぼ倍という数値がでいるので、SPEEDIの予測どおり汚染されているのは事実なのでしょう。6月3日の読売新聞に[原発から約38キロ離れた同県川俣町では3月15日、雑草から1キロ・グラム当たり123万ベクレルと高濃度の放射性ヨウ素131も検出されていた]との記事もありました。
パニック記者会見では、「謝れば済むとおもっているのか!」と細野氏に靴でも投げたい気分でした。細野氏が悪いのではなく、トップに責任があるとわかっているので、細野氏に謝らせるトップもひどいと思います。パニックどころではなく、とにかく逃げなくてはいけなかった人を放置したわけですから。「直ち」に健康に影響はないけれでしょうが、ちょっと気分が悪くなってきました。
ただ、体力のない老人は移動することで病気になることもあるので、トータルとしてデータに基づいた対策を説明していただきたいものです。とにかく原子力関係の情報は集めましょう。宝島さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・これだけの土壌汚染があちこちに存在していれば、放射性物質は風が吹く度に舞い上がり、呼吸により体内に取り込まれ、内部から放射線を出し続けているはずです。福島県知事は、内部被爆の程度を正確に測れるホルボティカウンター搭載者を巡回させるべきでしょう(p43)
・アメリカ国立科学アカデミーの「電離放射線の健康への影響」第7次報告書によれば、例えば20歳で100ミリシーベルトの被爆をした場合、10万人中977人の男性がその被爆によりがんにかかると予測されていますが、女性の場合は10万人中1646人(p46)
・魚は骨をはずして食べよう・・・骨を外せば、多くのセシウム137、ストロンチウム90を除去できる(p9)
・各地のモニタリングポストは、東京で18m、横浜で23mなどとかなり高いところに設置されています・・・チェルノブイリから日本に飛来する放射性物質を計測するものだったからです(p34)
▼引用は下記の書籍からです。
宝島社
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【私の評価】★★★☆☆(70点)
目次
第1章 放射能汚染食べていいもの、悪いもの
第2章 放射能から子どもを守る
第3章 放射能から身を守る日々の暮らし
第4章 Q&Aでわかるこれからどうなる福島原発
著者経歴
青山 智樹(あおやま ともき)・・・東京都武蔵野市生まれ。学生の頃より同人誌「宇宙塵」に参加。東海大学理学部物理学科卒業後、高等学校に理科教師として勤務。1992年長編SF「赤き戦火の惑星」で商業出版デビュー。
放射線・放射能関連書籍
「小説1ミリシーベルト」松崎忠男
「世界一わかりやすい放射能の本当の話 完全対策編」宝島社
「復興の日本人論 誰も書かなかった福島」川口 マーン惠美
「放射線医が語る福島で起こっている本当のこと」中川 恵一
「はじめての福島学」開沼博
「ヤクザと原発 福島第一潜入記」鈴木 智彦
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