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【書評】「歴史の使い方」堺屋 太一

2010/05/10公開 更新
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歴史の使い方 (日経ビジネス人文庫 グリーン さ 3-6)


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー


万博で歴史を使う

歴史の使い方を教えてくれる一冊です。堺屋さんは、万博をプロデュースしたことで有名ですが、そのときは関ヶ原の戦いでの石田光成を参考にしたようです。


まずは、コンセプトと大義名分が必要です。万博なら国際化でしょうか。そして、スポンサーを担ぐ必要があります。万博では開催地の関西の大物を動かしたようです。


現在と過去の比較

また、国際基軸通貨としてのアメリカと十三世紀のモンゴル帝国との共通性、明治維新後と、戦後との共通性など、歴史と現在を比較してみる楽しさを教えてもらいました。


歴史は人が作っていますので、歴史は繰り返す部分もありますが、環境の違いから違う結果が生まれるところもある。このように歴史を知り、参考とすることで、失敗はより減っていくのでしょう。


十三世紀のモンゴル帝国が発明した「ペーパーマネーを国際基軸通貨とする体制」は、通貨を物財との交換手段ではなく、利潤を生む資本と考えることから出発した・・・それを有利子で借りる者がある限り価値を持つ(p4)

官僚の脅しのテクニック

お役所批判の多い本でしたが、そういえば堺屋さんも通産省出身ですから、説得力がありました。


例えば、太平洋戦争では、日本海軍が想定した艦隊決戦は一度も起こりませんでした。旧満州などの植民地を失えば、日本は原料不足と人口受け皿を喪失して経済的に破綻する、と脅していましたが何も起きませんでした。


今も官僚は財政や年金、医療、道路建設などで同じ脅しによる主張をしていると断罪しているのです。


歴史が面白そうだな、と感じさせてくれる一冊です。


本には本のソムリエが必要なように、歴史にも歴史について手を引っ張って、その素晴らしさを教えてくれる人が必要なのかもしれません。堺屋さん、よい本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・イギリスのサッチャー首相も、アメリカのレーガン大統領も、80年代に体制と発想の転換に成功した指導者はみな、「小さな風穴から大きな競争の嵐」と呼ぶ方式を採っている(p244)


・明治は維新から四十四年続いた。昭和も敗戦から四十四年続いた。明治と戦後の昭和は、技術の導入と施設の建設に熱中した点でも同じである。(p219)


・ひと口に「千年の都」というが、本当に千年の間一つの国の首都であったと思われる都市は、世界に四つしかない。ローマ、パリ、イスタンブール、そして京都である。北京がこれに入るためにはあと二百年かかる。(p71)



【私の評価】★★★★★(90点)


目次


第1章 歴史を「知る」―世界の中で日本史を知り、日本製世界史の特性を知る
第2章 歴史を「楽しむ」―歴史小説と時代小説は別物。歴史を知れば旅もテレビもおもしろい
第3章 歴史を「練る」―歴史を理論的に推定、例えば「本能寺の変」の場合
第4章 歴史を「企てる」―偉くない人が大事業のできる国=日本。「関ケ原」に学ぶ事業企画
第5章 歴史を「穿つ」―何となくそう思われていることを疑う。黒船から維新までの「神話」を解く
第6章 歴史を「合わせる」―「敗戦」からの七十三年間 明治と昭和、小泉内閣のあとに来るのは?
第7章 歴史を「活かす」―「歴史」から「未来」を見る。アメリカは「知価時代のモンゴル」か?


著者経歴


堺屋 太一(さかいや たいち)・・・1935年生まれ。1960年通商産業省(現:経済産業省)入省。1970年日本万国博覧会をプロデュース。1978年退官し、作家として活動。1998年経済企画庁長官。著書多数。


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