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「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策」ジョン・J・ミアシャイマー、スティーヴン・M・ウォルト

2010/04/12公開 更新
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イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 1


【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー

イスラエル広報委員会(AIPAC)

イスラエルは米国の全面的な支援により、いくつかの戦争を勝ち抜き、今も存在しています。この本では、いかにイスラエルが米国からの支援を獲得し、それを維持しているのか検証しています。


イスラエルは好ましくない政治家を落選させることができるため、アメリカの下院議員のおよそ半分、250~300人の下院議員たちは、米国イスラエル広報委員会(AIPAC)の言いなりになっているとしています。実際、米国の経済援助受給国の中で、イスラエルだけが援助金の使途を説明する必要のない唯一の国なのです。


また、CNNの役員は報道が反イスラエル的だという苦情のメールが一日に六千通も届くこと、新聞社は中東報道が原因でボイコット運動に晒されることがあり、こうした圧力によりイスラエル寄りの記事を書かせることで、米国内での政治力を維持しているとのこと。これをロビー活動というのでしょう。日本もこうしたロビー活動を少しはやったほうが、いいのではないかと感じました。


・利益団体は選挙戦への寄付金を好ましい候補へ向けることができ、見解のあやしい候補を落選させることができる・・・共感してくれるジャーナリストを育てること、書籍、記事、論説を書くこと、そして異なる見解を持つ人間の信用を失わせ、端に追いやる(p252)

イスラエルのパレスチナ人弾圧

この本では、イスラエルは米国で二番目に活発に活動している外国諜報機関であり、イスラエル・ロビーの影響力によって、米国はイラクやシリアやイランと対立することになっているというのです。


イスラエルに対するパレスチナ人のテロ活動はなくならず、イスラエルによるヨルダン川西岸とガザ地区への植民地化も終わりません。イスラエルはパレスチナ人を弾圧し、パレスチナ人の土地に入植し、道路、軍事基地を建設しているのです。


イスラエルというと、村上春樹さんがイスラエル最高の文学賞「エルサレム賞」を受賞し、その授賞式でイスラエルのパレスチナ人弾圧を批判したことが思い出されます。この本を読むと、イスラエルを向こうにして、村上さんは良く言ったものだと感心してしまいます。モサドの工作が不十分だったのか、村上さんがそのようなことを言う人だとは、思わなかったのでしょうか。


とりあえず「イスラエル・ロビー2」も読んでみます。イスラエルとは何なのか、少しだけ分かるかもしれないからです。よい本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・ユダヤ人がヨーロッパでしばしば被害者になってきたことに疑問の余地はない。しかし二十世紀の中東では、ユダヤ人がしばしば加害者になってきた。(上p148)


・停戦間近であると知って、イスラエル軍は第二次レバノン戦争の最後の三日間に百万発を超える小型爆弾をレバノン南部に発射した。この地区には65万人の人々が住んでいた。・・・この地区をクラスター爆弾で「溢れさせる」(下p235)


イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 1
ジョン・J・ミアシャイマー スティーヴン・M・ウォルト
講談社
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【私の評価】★★★☆☆(79点)


目次

第1部
 第一章 アメリカという大恩人
 第二章 イスラエルは戦略上の"資産"か"負債"か
 第三章 道義的根拠も消えてゆく
 第四章 〈イスラエルロビー〉とは何か?・
 第五章 政策形成を誘導する
 第六章 社会的風潮を支配する
第2部
 第七章 イスラエル・ロビー対パレスチナ人
 第八章 イラクと中東 体制転換の夢
 第九章 シリアに狙いを定める
 第十章 イランに照準を定める
 第十一章 イスラエル・ロビーと第二次レバノン戦争
 終章 何がなされるべきか



著者経歴

ジョン・J・ミアシャイマー(John Joseph Mearsheimer)・・・1947年生まれ。シカゴ大学教授。米中衝突を余点し、イラク侵攻を非難。


スティーヴン・M・ウォルト(Stephen Martin Walt)・・・1955年生まれ。ハーヴァド大学大学院教授。米国のイラク侵攻を非難。


イスラエル関連書籍

「イスラエル 人類史上最もやっかいな問題」ダニエル・ソカッチ
「イスラエル ユダヤパワーの源泉」三井 美奈
「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策」ジョン・J・ミアシャイマー
「イスラエル秘密外交: モサドを率いた男の告白」エフライム・ハレヴィ
「だれも知らないイスラエル:「究極の移民国家」を生きる」バヴア(Bavuah)


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