「なぜリーダーはウソをつくのか - 国際政治で使われる5つの「戦略的なウソ」」ジョン・J.ミアシャイマー
2018/02/17公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)
要約と感想レビュー
国際社会は嘘と軍事力がまかりとおる
誰でも知っていると思いますが、国際社会は、嘘だらけです。ウソと軍事力がまかり通るのです。もちろん倫理的な対応をするのは、正しいことです。ただ、その正しいことが通用するわけでもないのです。
例えば、ヒトラーはチェコ側のズデーテン地方をドイツに組み入れることが「ヨーロッパにおける私の最後の領土的望みである」というウソをつきました。ロシアがウクライナはナチ化していると堂々と嘘を言うのは普通のことなのです。
フランクリン・ルーズベルト大統領は、アメリカ国民に対して1941年8月に米軍艦「グリア」がドイツに攻撃されたとウソをついた(p32)
国際社会は嘘と軍事力がまかりとおる
外交とは正義だけではなく、戦いの現場であり、結果が明確になる世界です。例えば、第二次世界対戦末期、日本とソ連は中立条約を結んでいました。しかし、1945年ヤルタ会談において、ソ連のスターリンはチャーチルとルーズヴェルトに向かって「ソ連赤軍はナチス・ドイツが敗北してから三ヶ月以内に日本を攻撃する」と約束したのです。
イギリスは1942年からドイツの空爆作戦を開始しましたが、ドイツの一般市民を殺すことになりますが、「軍事施設だけを狙ったものである」とウソをついています。アメリカも第二次世界大戦の最後の五カ月間に、90万人の日本の一般市民を意図的に空爆で殺しているのです。
綺麗事だけですまない世界は怖いと思いましたし、これが現実なのでしょう。ジョンさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・イスラエルは、1960年代に初期段階にあった核開発計画について、アメリカにウソをついている(p63)
・ギリシャ・・は、自分たちの債務を隠してユーロ圏に加入した(p76)
・ホロコーストの蛮行の責任をSSに押しつけ、そのなかでも特定の人物たちだけが悪かったという記述したものが多かった・・ドイツ国防軍も第二次大戦におけるドイツの大量殺人の任務の一翼を担っていた(p124)
▼引用は下記の書籍からです。
中央公論新社 (2017-12-22)
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)
目次
第1章 「ウソをつく」とはどういうことか
第2章 国際政治で使われるウソの種類
第3章 国家間のウソ
第4章 恐怖の煽動
第5章 戦略的隠蔽
第6章 ナショナリスト的な神話
第7章 リベラル的なウソ
第8章 国際政治で使われるウソの難点
第9章 結論
著者経歴
ジョン・J.ミアシャイマー(John Joseph Mearsheimer)・・・1947年生まれ。シカゴ大学のウェンデル・ハリソン特別記念教授。専門は国際関係論で特に安全保障分野。米中衝突を予言し、イラク侵攻を非難。「オフェンシヴ・リアリズム」という国際関係論の理論を提唱し、その内容の高さが認められて「ジョセフ・レプゴルド学術賞」を受賞。学術専門誌以外にもニューヨーク・タイムズ紙などで論文や記事を多数発表している。2006年には元同僚でハーバード大学教授のステーヴン・ウォルトと共にアメリカの外交政策にイスラエル・ロビーが大きな影響を与えすぎていることを指摘。2003年から米国芸術科学アカデミーの会員。1980年にコーネル大学Ph.D(政治科学)
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