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「母親に向かない人の子育て術」川口マーン惠美

2008/05/27公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(74点)


要約と感想レビュー

ドイツ人と結婚し、3人の娘をドイツで育てた川口さんのドイツ文化報告です。3人の娘を育てた苦労を通じて、ドイツの教育事情を垣間見ることができます。


日本の教育には問題が多いようですが、ドイツにおいても教育問題はあるようです。まず、著者はドイツの落第の制度にはかなり否定的です。ドイツ全体で3%が落第するのですが、落第したからといって勉強するわけではないのです。


同じように日本でも早期エリート教育が増えると思いますが、一部のエリートを育てても、過半数がやる気を失ってしまえば、社会は発展しないのではないか、というのが著者の主張です。


・ドイツでは、2005年、25万人の生徒が進級できなかった。これは、全生徒数の約3パーセント近い数字だ。・・・落第したからといって、心を入れ替えて勉強する子供ばかりとは限らないし、突然頭がよくなるわけでもない。(p114)


また、ドイツの教師は、休み中に学校へ行ったりは絶対にしないし、勤務時間が終わると生徒と同時に家へ帰るという。ドイツにサービス残業という言葉は存在しないのです。教育全体としては、両国とも一長一短なのでしょうが、こうした教育の差が、国力の差にどの程度影響するのかは歴史が証明してくれるのでしょう。


私の気になったのは、性教育についてです。ドイツでは小学校五年生からやっています。「金八先生」のように中学生で妊娠する人もいますので、小学生高学年になったら性教育が必要なのでしょう。


・五年生から学校で徹底して教えるのは、エイズの怖さとコンドームの重要性だ。・・・女の子はボーイフレンドができれば、・・・必ず事前に婦人科に行き、ピルを処方してもらうようにと指導される。(p48)


「隣の芝は青く見える」と言いますが、ドイツの文化という隣の芝を見てみるのも勉強になります。 本の評価としては、★3つとしました。


この本で私が共感した名言

・「人は人、自分は自分。自分で一番いいと思ったことをすればいい。よく考えて決めたことなら、ママは応援してあげる」というのが、ひとことで言えば私の教育方針であった(p72)


・ドイツは休暇大国である。皆たいてい年間六週間の休みを取る。「三週間は続けて休まないと休んだ気分にならない」という話もよく聞く。「そんなバカな・・」と私は心の中で思う(p160)


・プロテスタントの人の多くは、カトリックとは享楽と欺瞞が当たり前の二枚舌宗教だと思っているふしがある。・・・カトリックとプロテスタントは、つい最近まで何世紀ものあいだ、ほぼ間断なく争ってきたのである。(p81)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★★☆☆(74点)


目次

第1章 愛情は胃袋を通過する
第2章 ギムナジウムで疾風怒涛
第3章 この母にしてこの子あり!?



著者経歴

川口マーン惠美(かわぐち まーん えみ)・・・1956年大阪生まれ。日本大学芸術学部卒業。1985年、ドイツ・シュツットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科卒業。シュツットガルト在住。


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