「幸福への原点回帰」鍵山 秀三郎、塚越 寛
2008/04/09公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(91点)
要約と感想レビュー
イエローハット創業者の鍵山さんと、寒天製造の伊那食品の塚越さんとの対談です。イエローハットは売り上げ800億円企業、伊那食品は売り上げ150億円企業となっています。お二人の対談を聞いていて感じるのは、経営には、王道があるということです。
ここで言う王道とは、会社を社会の役に立つ組織にしようという強い意志です。鍵山さんは「自分が死んだときに、この国が少しでもよくなっていれば、人間として生まれ、生きてきたことに意義がある。意義のある生を送ろう」と考えていたというのです。
塚越さんは、「私利私欲が根底にある行為は、発端がどんなに小さなことであっても、そのマイナス作業が次なるマイナスを呼び、それらが積もり積もって大きな悪循環を引き起こす」と言っています。経営には正しい大義が必要なのです。
・私は創業時から「大きい会社にしよう」と思っていたわけではありませんでした。そうではなく、「存在することそのものに意義のある会社にしたい」と思ってきました(鍵山)(p104)
そうした経営者の意志が、従業員に伝わり、社風が作られていくのです。鍵山さんは「掃除」で有名になりましたが、「掃除」はその意志から出た一つの行動であり、その一部分なのです。つまり、掃除さえちゃんとしていれば、経営も人生もすべてうまく行くわけではなく、社長が率先して掃除を毎日こつこつと続けることによって、謙虚でおだやかな人間性が社員の中に育まれて、身辺が整理整頓されていくのだとう。
塚越さんも自社の社員を大切にし、取引先も大切にするという方針を持っており、一時最大のお得意先だった大手スーパーから法外な値切り要求を受けたときには、このお得意先との取引はお断りしたという。理不尽な要求をするような取引先とはお付き合いしないほうがよいと経営判断したのです。
読み終わって家の掃除をはじめました。朝の習慣に、公園のトイレ掃除をするのもいいかもしれない。学ぶべき点が多い一冊でしたので、★5つとします。
この本で私が共感した名言
・初めのころは、私がトイレ掃除をしている脇で平然と用を足す社員や、階段を拭いている私の腕を無言で飛びこえていく社員ばかりでした・・・10年を過ぎた頃から、社員が一人、二人と私の心を察し、いっしょに掃除するようになりました(鍵山)(p22)
・「もうやめようか」という考えが湧くたびに、私は同じ結論にたどり着きました。それは、「昨日までの努力は、捨てるには惜しい努力であった」ということです。(鍵山)(p247)
▼引用は、この本からです。
【私の評価】★★★★★(91点)
目次
第1章 凡事の重み―日々の掃除が会社を変えた
第2章 いい会社―企業経営の目的と手段
第3章 義憤を抱け―現代社会・企業への提言
第4章 個を磨く―親の教え、師からの学び
第5章 美しい生―一〇〇年後への種をまく
著者経歴
鍵山 秀三郎(かぎやま ひでさぶろう)・・・ 1933年生まれ。1953年デトロイト商会入社。1961年ローヤルを創業。1997年東証一部上場、社名をイエローハットに変更。1998年同社相談役。
塚越 寛(つかこし ひろし)・・・1937年生まれ。21歳で社長代行として赤字会社の伊那食品工業の建て直しに尽力する。83年社長に就任。05年会長に就任。伊那食品工業は47年間連続の増収増益を達成している。
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