「末広がりのいい会社をつくる 人も社会も幸せになる年輪経営」塚越 寛

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末広がりのいい会社をつくる ~人も社会も幸せになる年輪経営~

【私の評価】★★★★★(91点)


■60年間、増収増益の会社など
 ありえるのでしょうか?
 あります。
 寒天商品製造の「伊那食品工業」です。


 60年前、倒産寸前の「伊那食品工業」に
 社長として派遣された塚越さんは
 人も金も設備もなかったから、
 すべて自分でやったという。


 自分で設備を改良、倉庫を作り、
 営業し、商品開発しました。
 そうした姿を見て協力する社員も
 増えてきたのです。


 人を雇えなかったから
 今いる人にやる気になってもらうしか
 方法がなかったという。


・人材不足だった初期のころ・・・日中は仕事をし、勤務時間を過ぎた夕方から、設備の改良や建物の修繕をおこないました・・・私のようすを見ていた社員が、少しづつ、協力してくれるようになりました・・・大がかりな設備の入れ替えも、自分たちでやり遂げました(p68)


■経営が安定してからも
 塚越さんは事業を急拡大させることは
 ありませんでした。


 夜勤で設備効率を高めることもしない。
 大手スーパーからの販売依頼も断る。
 価格だけで仕入先を変えない。


 これらの判断は、成長を急ぐのではなく
 会社に関わる人達の幸せを最大化する
 ために、ゆっくりと成長していく
 という経営判断だったというのです。


・会社には終わりがありません。ですから、成長を急ぐのではなく、働く人が幸せを感じるような会社をつくって、永続させていくことが肝要なのです(p95)


■塚越さんは優しい経営者のように
 見えますが、社員に掃除や挨拶を
 徹底させるなど厳しい面もあります。


 こうしたすべての判断や方針が
 最終的に自分たちと関わる人たちの
 幸せにつながるという理解が
 得られているのでしょう。


 経営判断の難しさ、大切さに
 気付かされる一冊でした。


 塚越さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・新入社員研修の最初に用いるのは、100年分の暦を大きな一枚の紙に印刷した「100年カレンダー」です。これを見せながら「みなさんの命日はどこですか」と問いかけるのです(p49)


・経営者は社員の幸せのために心を砕くべきです。社員を幸せにすることを通じて、世の中に貢献していくというのが、会社のあるべき姿であり、会社が存在する意味でもあります(p12)


・社員全員が本当にやる気をもって働くようになれば、生産性は二~三倍に向上します(p102)


・創業期から、夜勤をさせないことは徹底してきました・・家族と過ごす時間を奪ってはならないと考えているためです(p20)


・何のために利益を得るのか?社員に給料を払うため・・なぜ会社は成長しなければならないのか?成長しないと会社は勢いを失い、倒産して人に迷惑をかけるから(p28)


・年輪経営において、大切なのは、「他社よりも大きく成長する」ことではなく、「たえず成長しつづける」ことです(p83)


・「けじめ」と「ゆとり」という意識も大切です。「規律」と「自由」と言い換えてもよいでしょう。毎日きちんと掃除や朝礼をおこなう。いつでも気持ちのよいあいさつをするといったけじめは守ります(p44)


・年ごとに異なる行動指針を掲げています。これも理念の実現に向けた手段です。「どんなことにもひと工夫」「もっといい方法はないか」「みんなが経営者感覚を!」など、日々の社員の仕事ぶりや社会の動向から私が課題と感じたことを、
 翌年の行動指針としています(p58)


・仕入先に対して不当な値引きを要求したり、安いという理由だけで仕入先を変更したりする行為は、会社の敵をつくることになりますから、当社では自重しています(p87)


・会社経営の目的は、一人でも幸せな人を増やすことです。自社の売上や利益のために誰かを犠牲にすることは、単なる搾取であり、本来の目的に反しています(p87)


・「会社の成長」について、当社では、
 単なる売上増や利益増ではなく、
 「社員一人ひとりの人間的成長の総和」
 と定義づけています(p96)


・追い風に乗って急成長し、巨大企業になってしまうと、技術革新などによって時代が代わり、ブームが去ったときに、その変化に対応することが非常に難しくなるのです(p113)


・経営とは、いわば「時代適応業」です。経営者が時代の変化を見誤れば、優れた人材がいても、すばらしい技術を開発しても、会社は生き残ることができません(p173)


・経営環境に即した研究開発のために、会社によってはシンクタンクの設置を検討してもよいでしょう。信頼できる友人・知人と任意の集いの場を設けて、情報交換を行うことも有益です(p176)


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【私の評価】★★★★★(91点)

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■目次

まえがき あらためて、中小企業のあり方を考える
第1章 「いい会社」をめざして―会社経営の目的
第2章 年輪経営でみんなハッピー―「いい会社」の使命
第3章 遠きをはかる経営―永続のための絶えざる種まき
第4章 「忘己利他」こそ、人生のあるべき姿―幸せに向かう生き方
あとがき ぶれずに理念を伝えつづけた六〇年



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