【書評】「数学を使わない数学の講義」小室 直樹
2006/11/07公開 更新

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【私の評価】★★☆☆☆(p68)
要約と感想レビュー
日本の精神主義は異常
数学の講義と言いながら、実のところ、欧米の合理主義と日本の精神主義の解説に行き着くところが、米国で学んだ小室さんならではの一冊でしょう。
たしかに、欧米の合理主義から見れば、日本の精神主義は異常と見えることもわかります。超法規的処置など、とても合理主義とは相容れないことがよくある日本の大岡裁き。外から見ると不思議な国なのかもしれません。
(中国人から)日本人がひじょうに嫌われるのは、日本人が規範を持たない民族で、彼らにしてみれば、「何をやるかわからない」という薄気味悪さがあるためなのである。(p110)
和をもって尊しとなす
とはいえ、合理の先にこそ真理があるというのも一つの考え方です。唯一神や論論を基準にすると、そこには妥協の余地はなく、最終的に戦争になってしまいます。
すべてが理論で白と黒に分けるのが合理主義と考えれば、そこには善(味方)と悪(敵)しかないわけで、 「和をもって尊しとなす」という世界からは遠くなっていくのです。
論理の世界というのは行き着くところまで行き着けば殺し合いにならざるを得ないのであるから、その意味だけでいえば、論理のない国である日本は、平和で幸せな、まことにめでたい国であると言えなくもない。(p184)
和をもって尊しとなす
論理という視点から、欧米、中国、日本の合理主義的感覚を学べる一冊です。合理主知ではない日本は、欧米や中国と付き合っていくために、合理主義的感覚を学ぶべきなのでしょう。
小室さんは勉強しているな~と思いながら、★2つとしました。
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この本で私が共感した名言
・アメリカでは公認会計士は厳しければ厳しいほど評判がよく、逆に日本の公認会計士は、甘ければ甘いほど評判がいいのは、いったいなぜか・・・?・・・アメリカでは、株主が公認会計士を雇うのに対して、日本では経営者が公認会計士を雇うからである(p133)
・欧米諸国の政治家の場合には、演説の際にジョークを特に重視する。うまいジョークをスパッと言えれば、それだけで人気が出てくる。だから、政治家は、皆、ジョークを作る専門職の連中から、ジョークのコツを習っている。(p236)
▼引用は、この本からです。
【私の評価】★★☆☆☆(p68)
目次
第1章 存在問題―近代数学最大の貢献 論理的発想の基本―まず「解の存在」の有無を明確化せよ
第2章 集合論―数学の本質 数学的思考とは何か―日本人が世界で通用するための基本要件
第3章 必要条件と十分条件 矛盾点を明確に掴む法―論理学を駆使するための基本テクニック
第4章 非ユークリッド幾何学―否定からの出発 科学における「仮定」の意味―近代科学の方法論を決定した大発見
第5章 数量化の意義 「常識の陥穽」から脱する方法―日本には、なぜ本当の意味での論争がないのか
著者経歴
小室 直樹(こむろ なおき)・・・1932年生まれ。大学卒業後、フルブライト留学生となり渡米。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学で、経済学、心理学、社会学、統計学を学ぶ。その後、東京大学大学院法学政治学研究科修了、法学博士。社会、政治、経済について評論家として活躍。著書多数。
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