「「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術」若松 義人
2005/12/08公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(93点)
要約と感想レビュー
トヨタ生産方式の生みの親と言われる大野耐一氏は、改善の鬼だったようです。普通の会社では、デスクワークをしていれば仕事をしていることになります。しかし大野耐一氏の場合は、現場に行って作業を改善しなければ仕事をしたことにはならないのです。つまり、過去の経験を使って計画するのは作業であって、過去の経験を使って改善するのが仕事であろうという考え方です。
・かつてあるトヨタマンが、機械の時間あたりの出来高をもとに、「月産能力はいくらで、残業時間はこれくらいになる」・・・という計算を日々の仕事にしていた。ところが、そうやってつくったデータを、大野耐一氏はほとんど見ようともしなかった。それどころか、「バカな計算ばかりやって困ったものだ」と叱り、「こんな暇があれば、現場を見てこい」といつも言っていた。(p25)
トヨタといえどもそこに勤めるのは普通の人間であり、抵抗もあったでしょう。「そんなの、無理です」という社員もいたのです。しかし、それにもかかわらず、粘り強く部下を説得した結果、トヨタDNAと言われる社風を築き上げたのは、すごいとしか言いようがありません。
・やる前に「ムリですよ」などと言おうものなら、「やる前からなぜできないと分かる?易者にでもなったつもりか」と叱責が飛んでくる。(p49)
たぶん、大野耐一氏はある意味でキチガイだったのでしょう。つまり、正しい考え方を持ったキチガイ。なぜならキチガイでなければ、周りから迷惑がられ、自分を困った状況に追い込むことはできないからです。不可能と思えることを信じて行動し実現化する人は、まさにキチガイです。
・なんでも半分。ゼロをひとつとって考えろ。壱万円でやってみろ。(大野耐一)(p82)
トヨタ生産方式を導入しようと努力している会社は多いようですが、うまくいっている会社は限られるようです。それはそうでしょう。トヨタ生産方式とは、常に現場で自分を追い込み、改善を続けるというふうに、人間の考え方を改造することなのですから。終わりのない改善が続くのです。
・平均値を出して、「このくらいでいいだろう」と、そこそこの成果で満足し、自分と勝手な折り合いをつけるのはやめたほうがいい。・・・バラツキの中の「ベストを本当の実力にしよう」と考えて努力すれば、きっとベストが「普通」になる。(p19)
この本を読んで、大野耐一氏が作ったのはトヨタ生産方式だけではなく、トヨタの仕事に対する社風であるということがわかりました。自分はまだまだだな~と、戒められる本として、★5つとします。
この本で私が共感した名言
・大野氏は、なにごとにつけ「知恵を出してもっとうまくやれ」が口癖だった。(p34)
・大野耐一氏は指導をする人に対して「トヨタへ来て、作業者と同じように朝から晩まで、ラインの中に入って作業をする」ことをすすめていた。(p183)
・「教えすぎはいかん」と、生産改革の仕事にたずさわっていた若き日、よく大野耐一氏から言われたものである。(p206)
・トヨタ流の改善にはルールがある。・・・それはたった二点だ。改善前に、考えられる案をすべて出して、十分に検討すること日々改善を積み重ねること。(p149)
・いくつもの見積もりをとって、「どこが一番安いか。安いところに任せよう」と言っているうちは一人前とはいえない。「それは本来いくらでつくられるものか。どうすれば安くつくれるのか」という知識をもち、知恵を出せるようでないと、トヨタ流の購買担当者とは呼べないのである。(p39)
【私の評価】★★★★★(93点)
著者経歴
若松義人(わかまつ よしひと)・・・1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。1984年以降は農業機械メーカーや住宅メーカーなどでもトヨタ方式の導入と実践にあたった。1991年韓国大宇自動車顧問。1992年カルマン株式会社設立。現在同社代表取締役社長。西安交通大学客員教授
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