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「日本人から奪われた国を愛する心」黄文雄

2005/05/09公開 更新
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日本人から奪われた国を愛する心

【私の評価】★★★★☆(84点)


●私の情報についての基本的考え方は、
 「多角的な視点の情報を集める」ということです。


 なぜ、"多角的視点"かというと、一見正しそうな考えも、
 違う角度から見ると全く違った見え方になるからです。


 私が前から疑問に思っていたことの一つに
 「日本の平和を守れ!」と言っている人が
 「自衛隊を縮小せよ!攻撃兵器を買うな!売るな!」
 ということを主張しているということがありました。


 ・日本の平和運動家は日本の「軍備」や「軍国主義復活」に
  反対・警戒するだけであって、革命輸出国家や武力恫喝する
  国家の軍事行動や拡張主義、人権弾圧に対しては、
  反対も警戒もしないのである。(p34)


●この主張に疑問を持ったのは、
 スイスに行ったときのことです。


 スイスは永世中立国ですがが、
 韓国のように成年男子は兵役の義務があります。


 定期的に射撃の訓練が義務付けられています。


 さらに家には機関銃、銃弾などの装備があり、
 いつでも戦闘に参加できるようになっているのです。
 

 ・人類史を見るかぎり、平和運動こそが戦争を誘発している原因だ。・・
  ・・能天気に平和主義を叫ぶ人々が多ければ多いほど、
  社会には無責任な人間が充満し、最終的には戦争を誘発
して
  ひとつの国家が滅亡する事態にまで至ることもあるのだ。(p94)


●さらに、スイスで「平和のために軍縮を!」と叫ぶ人は、
 敵のスパイ
のような扱いを受けていることが
 スイスでの同僚の話からわかりました。


 スイスでの常識とは、
 「平和とは、軍事力の裏付けがあってこそ。
 軍備を捨て去ることは、同時に平和も捨て去ること」
 ということなのです。


 ・中国がよく口にする「平和的手段」とは、
  「俺の言うとおりにしろ」ということで、さもなければ
  最終的に「武力行使」するということだ。・・・
  日本人は「平和」という言葉が、国によってその意味するところが
  大きく異なることを理解すべきである。(p49)


●現実を直視してみましょう。


 中国はチベットを軍事占領しました。
 アメリカもイラクを軍事占領しました。
 イラクもクウェートを一時軍事占領しました。


 自分の国のメリットとデメリットを比べて、
 メリットが大きければ行動する国家が
 現実に存在するのです。


・平和五原則は、1954年にインド政府と中国政府が
 結んだ協定であり・・・この平和五原則のおかげで、
 中国政府はインドの内政干渉を受けることなく、
 チベット人の虐殺を遂行できるようになったという
 血塗られた裏の面を持っている。(P46)


●中国が台湾を軍事占領する力もメリットもない
 という意見があるのも確かです。


 逆にいえば軍事占領できる能力があり、
 経済的メリットがあると考えれば、
 実行するかもしれません。


・中国や韓国は、逆に愛国心を鼓舞する民族主義教育や
 愛国主義教育を行ってきた。・・・
 そうして育成された異常なまでの愛国心は、
 日本という仮想敵国をつくりあげ・・・
 大和民族を地球上から消滅させろ、
 核攻撃で日本を地球上から抹殺しろ、・・・
 などといった罵詈雑言が飛び交っているのだ(p73)


●著者は台湾の人ですので、中国の恫喝のなかでの著作となっていますが、
 ひとつの視点としてしっかりと読みたい一冊だと思います。


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・日本は開国維新以来、万国対峙の局面、
 アジアの植民地化の情勢のなかで、孤軍奮闘を繰り返し、
 超大国が仕掛ける戦争を戦い続けてきたのだ。
 それを「悪」と見なす東京裁判史観こそ、
 アジア侵略を行った欧米列強の史観であり、
 いわば侵略者の侵略正当化史観である(p59)


・2005年が日露戦争100周年を迎える。
 日露戦争で日本が勝利したとき、
 世界はアジアの小国・日本の強さに驚愕し、
 また列強の支配下にある国々は、はじめてアジア人が
 白人に勝利した
ことに狂喜し、快哉を叫んだ。(p20)


・日本は大東亜戦争の「戦争犯罪」について、
 よく中国や韓国から追求されているが、
 台湾の知識人からしてみれば、日本はよく戦ったし、
 悪いことは何もしていない。
 列強時代において弱肉強食であるのは当然だろう・・・
 あえて言えば、日本が悪かった点は戦争に負けたことだ(p280)


・日本が「友好」のために下手に出れば出るほど、
 この国は敵意に満ちた脅迫を行っているのだ。
 中国にとって真の友好とは、相手国がその属国となって
 はじめて達成されるもの
だと考えているのだ(p298)


日本人から奪われた国を愛する心
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黄 文雄
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【私の評価】★★★★☆(84点)



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