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「この命、義に捧ぐー台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡」門田 隆将

2011/01/12公開 更新
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この命、義に捧ぐ 台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡 (角川文庫)


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー

 この本では、終戦のとき、中国の内蒙古において武装解除せず、ソ連軍と戦い、蒋介石の協力もあり、四万人の在留邦人を、無事日本に帰国させた軍人がいたこと。そして金門島で、この蒋介石への恩義から中国共産軍と蒋介石の国民政府軍との戦いに参加した軍人がいたこと、を知りました。


 司令部からの武装解除命令を受けたら、命令に従うのが軍人のとるべき行動である、と考えるのが普通の人でしょう。命令を守らなければ、規律違反で裁かれるし、負け戦とわかっているなら、「自分だけでも」無事に帰国したいのが普通の人間でしょう。


・ポツダム宣言を受諾し、本国から「武装解除」が出ているにもかかわらず、それを拒否して戦闘を行うのは、戦勝国側から見れば、それだけで"戦争犯罪"である(p43)


 しかし、その一方で、もしソ連軍が在留邦人や武装解除した部下に危害を加える可能性もあると、根本中将は考えたのです。根本博中将はソ連軍の規律のなさを確信していたのです。根本は、命令を守り、在留邦人を危険にさらすか、命令に反し、在留邦人を守るか、という決断を迫られたのです。


 ここで根本は当然悩んだはずですが、「自分の死」を前提とすれば、在留邦人を守るという本来の自分の役割に徹するのが筋と判断したようです。


・客観的にえいば、"反乱"ですよ。でも、戦友は犬死ではなかった。そのおかげで、四万人が引き揚げて無地日本に帰って来られたのですから。結果的に四万人の居留民を助けられたことは、私たちの誇りです。隣の満州の関東軍は、武装解除に応じて、邦人があんなひどい目に遭ったわけですから(p61)

 
 要は、自分が死ぬと決めてしまえば、命令がどうであろうと、自分の役割に徹すればいい、ということです。尖閣諸島での事件でも情報を漏洩すれば、罰せられると知っていたのに情報漏洩した人がいましたが、自分は罰せられてもいい、と腹をくくったからこそ、できたことなのでしょう。


 これまで、こうした歴史は知りませんでした。門田さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・蒋介石は・・・「今まで日本は少々、思いあがっていたのではないだろうか。しかし、今度はこれで私たちと日本は対等に手を組めるだろう。あなたは至急、帰国して、日本再建のために努力してほしい」(p83)


・敗戦に際し、自決を決意していた自分が今、生きているのは、あの時、内蒙古にいた四万人の在留邦人と三十五万人の北支那方面軍の部下を内地に送還してくれた寛大な蒋介石の方針によるものであったことは確かだった。(p119)


・根本が金門島で作戦指導を終え、大勝利をもたらした頃には、ついに国会でも取り上げられる事態となっていた。政府に質問をぶつけたのは、日本共産党の参議院議員、細川嘉六だ(p200)



【私の評価】★★★★☆(81点)



著者経歴

 門田 隆将(かどた りゅうしょう)・・・1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、出版社に勤務。雑誌メディアを中心に、政治、経済、司法、事件、歴史、スポーツなどの幅広いジャンルで活躍する。2008年3月、出版社を退職し、ジャーナリストとして独立


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