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【書評】「2039年の真実 ケネディを殺った男たち」落合 信彦

2026/03/22公開 更新
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「2039年の真実 ケネディを殺った男たち」落合 信彦


【私の評価】★★★★☆(87点)


要約と感想レビュー


ケネディ暗殺後、証人21人が死亡

1963年のジョン・F・ケネディ暗殺事件は、2039年まで機密文書の一部が封印されるなど、謎の多い事件として有名です。


犯人とされたオズワルドが古いライフル銃で6秒間に3発を発射し、2発を命中させるのは難しいという疑問があります。また、オズワルドが単独犯だとすれば「銃弾が曲がったこと」になるため、実は3方向から4発の銃声がしていたなど、多くの説が主張されています。


この本では、事件の13年後に落合信彦氏が現地で関係者に取材し、独自の仮説を検証しています。


落合氏の仮説は、キューバのカストロ暗殺を企てていたCIA、FBI、マフィアが、邪魔者となったケネディ大統領を暗殺したというもの。さらに、マフィアと近いニクソン大統領もその一部に噛んでいた、と落合氏は考えているのです。


事件後4年以内に重要証人が21人も不審死したことを考えれば、落合氏の取材は命がけであったと思われます。


ジョン・F・ケネディ暗殺事件後4年以内に、その重要証人が21人、次々と死んでいった(p12)

CIAとマフィアのカストロ暗殺計画

ジョン・F・ケネディ暗殺事件については、地方検事のジム・ギャリスンがCIAのエージェントであったクレイ・ショーとデヴィッド・フェリーを追訴していますが、無罪となっています。


ジム・ギャリスンの主張は、銃弾が曲がったというウォーレン委員会の説は不可能で、複数犯による狙撃とし、CIAとマフィアが実行犯で、FBIが証拠を隠滅して捜査を妨害しているというものでした。


当時、キューバを国営化したカストロを倒すために、CIAはキューバ革命委員会を設立しキューバの軍事的解放の準備と、同時にマフィアと共謀してカストロ暗殺を計画していました。


マフィアにとっては、キューバはヘロインをアメリカへ持ち込むための中継基地であり、CIAと利害が一致していたのです。


当時のアイゼンハウワー政府内にはキューバとの交渉に楽観的な意見と、ニクソン副大統領とCIAが主張する「軍事的解決」の意見がありました。次期大統領候補のケネディもニクソンもキューバに関する公約では、必要とあらばキューバ侵攻を認めるというものであり、CIAはそのオプションを準備していたのです。


しかし、キューバのピッグス湾への軍事侵攻では、CIAは海軍・空軍を全面介入させる計画でしたが、ケネディはニ回目の爆撃を中止させ、作戦は大失敗に終わるのです。一度動き出せば、ケネディはCIAと軍の圧力を止められないと予想していた作戦最高責任者チャールズ・カベルCIA副長官は、逆ギレして後に大統領を裏切り者と公言するほど恨むことになるのです。


そして、その実の弟アール・カベル・ダラス市長が、ケネディ大統領のパレード・ルートを変更することになるのです。


ジム・ギャスリンの貢献は・・・クレイ・ショー(CIA)、デビッド・フェリー(CIA)、リー・オズワルド、ガイ・バニスター(FBI)等が、少なくとも、下部組織の一部として暗殺に一枚噛んでいたという事実を発掘した(p83)

ロバート・ケネディのマフィア壊滅作戦

カストロ暗殺でCIAとマフィアが共謀していることを知らない司法長官ロバート・ケネディは、マフィアを敵として壊滅を目指していました。


ロバート・ケネディはニューオーリンズのマフィアのドン、カルロス・マルセロをアメリカから強制退去させますが、CIAエージェント、デビッド・フェリーの自家用機でアメリカに戻ります。


ロバート・ケネディと最も対立したのは、トラック運転手組合のボス、ジミー・フォファです。ホッファは組合の資金をマフィアに横流しするなどしており、それをロバート・ケネディが起訴したのです。組合の幹部から、ホッファのロバート・ケネディ暗殺計画が密告されたこともありました。


興味深いのは、ジミー・フォファの右腕となったシカゴ・スクラップ組合のボール・ドーフマンが会長となった経緯です。


スクラップ業界組合の設立者レオン・クックが暗殺され、組合の会長としてマフィアと関係を持つボール・ドーフマンが乗り込んだのですが、このときレオン・クック殺害の容疑で起訴されたのが、後にケネディ暗殺の容疑者オズワルドを射殺するジャック・ルーベンシュタイン(後のジャック・ルービー)なのです。


ジアンカーナ、メイヒュー、ロゼリ、トラフィカンテなどのマフィアを壊滅させようとしていたロバート・ケネディは、その後、CIAがマフィアと協力していることを知り、唖然とすることになるのです。


ロバート・ケネディがまず手をつけたのは、カルロス・マルセロだった・・・アメリカからの強制退去・・・マルセロは密かにアメリカに帰ってきた。その時、彼を自家用機で運んだパイロットが、あの脱毛症のCIAエージェント、デビッド・フェリーだった(p213)

マフィアとCIAとFBIの敵

マフィアにとって、ケネディのキューバとの対話への転換は、コカインの中継基地を取り戻すチャンスがなくなることを意味しました。また、ケネディがヴェトナム撤退を発表した時、マフィアにとっては東南アジアのヘロインの中継基地を失うことを意味し、マフィアの焦りは頂点に達していたのです。


キューバ、ベトナムへの方針でCIAとケネディ大統領の方針が対立しており、同時に、ケネディはフーバーFBI長官の交代を検討していたことから、FBIとも対立関係にあったようです。


落合氏は、その後ケネディ暗殺が成功することによって、5年後に起きるキング暗殺、ロバート・ケネディ暗殺、そしてジョージ・ウォラス大統領候補暗殺未遂事件の遠因となったと解釈しているのです。


5年後に起こったロバート・ケネディ暗殺、9年後に起きたジョージ・ウォラス暗殺未遂などの事件とつなぎ合わせてみて、始めてその全体像がくっきりと浮かび上がる(p17)

ニクソン大統領の影

落合氏はリチャード・ニクソンとマフィアの関係を説明しています。まず、ニクソンが初めて下院に出馬した際、最も多額の政治献金を与えたのが、ミッキー・コーエンというロサンゼルスのマフィアでした。


リチャード・ニクソンとJ.F.ケネディ暗殺のつながりも説明しています。ケネディがダラスで暗殺された朝、ニクソンはダラス空港からニューヨークへ向かっていました。


そして、ニクソンの失脚の原因となったウォーターゲート事件の実行犯は、なんと反カストロ運動のCIA担当者、エベレット・ハワード・ハントとバーナード・バーカーでした。そのバーナード・バーカーは、ケネディ暗殺時に現場にいた偽のシークレット・サービスの一人であると証言している人がいるのです。


また、もう一人のウォーターゲート事件の実行犯ハワード・ハントはニクソンを恐喝し、100万ドルを得ています。最大の謎は、なぜニクソンがその要求をのんだのかという点でしょう。


つまり落合氏の推理は、J.F.ケネディ暗殺、ロバート・ケネディ暗殺、ジョージ・ウォレス大統領候補暗殺未遂で得をしたのはニクソンであり、ニクソンが一枚噛んでいる可能性を示唆しているのです。


そういう意味で、2039年まで真相に迫る証拠は出てこないのかもしれません。落合さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・ジアンカーナはシカゴを本拠地とするマフィアの大ボス・・上院外国要人暗殺調査委員会の証人として出頭するはずであった。しかし、その数日前、自宅で殺された(p8)


・ジアンカーナが殺されてから14ヶ月後・・マイアミビーチ沖でジョン・ロゼリの死体が発見された・・マフィアのドンの中でも最も「いかす男」(p8)


・唯一の生き残りとなった男・・・フロリダのドン、サントス・トラフィカンテである(p307)


・ヘイル・ボッグス・・ウォレン報告書にはサインはしたものの、最後まで委員会結論に疑問を抱いていた・・・7年後、ボッグスは突如としてFBIを非難し始めた・・彼の電話がFBIにより盗聴されていた・・・・ボッグスの乗った飛行機がアラスカ上空で行方不明となった。彼の死体はもとより、機体さえ見つからなかった(p263)


▼引用は、この本からです
「2039年の真実 ケネディを殺った男たち」落合 信彦
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落合 信彦 (著)、集英社


【私の評価】★★★★☆(87点)


目次


第1部 アメリカが犯した二つの罪
第2部 囮にすぎなかったオズワルド
第3部 タブーに挑戦したケネディ兄弟
第4部 大統領を憎んだ男達
第5部 カストロ暗殺計画の失敗
第6部 リチャード・ニクソンの陰謀


著者経歴


落合信彦(おちあい のぶひこ)・・・ 1942年生まれ。ペンシルヴァニア州オルブライト大学、テンプル大大学院で国際政治学専攻。石油マンを経て、国際ジャーナリスト。


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