【書評】「「KPIマネジメント」がゼロから身につく リーダーシップ見るだけノート」 中尾隆一郎
2026/06/12公開 更新
Tweet
【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
KPIマネジメントの失敗事例
この本は、中尾隆一郎さんの「最高の結果を出すKPIマネジメント」の内容を、図表を多用してわかりやすくまとめた一冊です。
KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)とは「事業成功の鍵を数値目標で表したもの」ですが、失敗するケースが後を絶ちません。
よくある失敗は、最終目標であるKGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)も設定せず、重要成功要因であるCSF(Critical Success Factor/重要成功要因)のコンセンサスもなく、KPIの数字だけを決めてしまうことです。
事例が豊富なのが素晴らしいと感じました。よくある失敗だけで5つも紹介されています。例えば「顧客単価20%アップ」をKPIに設定した結果、客の好みや予算を無視した高額商品ばかりを売ろうとして客離れを招いた例。
外食チェーンが「従業員満足度」の代わりに測定しやすい「従業員離職率」をKPIに設定したものの、売上アップとの関連性がほとんどなかった例。
教育系出版社が顧客である教員に営業担当者の目の前でアンケートを記入させた結果、教員が気を遣って低い評価をつけられなくなり、データとして機能しなかった例。いずれも簡単に起こりうる失敗です。
KPIとは、「事業成功」の「鍵」を「数値目標」で表したものなのです(p2)
営業組織のKPIマネジメント
営業組織では、「売上」というゴールの前に顧客訪問・提案活動・プレゼンテーションなどのプロセスがあります。その中から最重要と思われるプロセスを1つ選んでCSFとし、それを数値目標化したものがKPIです。
営業の売上は「営業活動量×受注率×平均単価」に分解できますが、すべての数値を同時に上げるのは非現実的です。どこにフォーカスするかを決めることが重要です。
具体例として、外車ディーラーが「無料点検」と「ローン契約」によって顧客接点を増やし、リピート率を上げた事例が紹介されています。
営業活動に、製造現場で工場会計として活用されているABC(Activity-Based Costing:活動基準原価計算)を応用する・・・営業担当者が取引先Aに新製品Bのセールスをおこなった場合、掛かった時間から計算した人件費を、取引先Aと新製品Bの営業費用として算入する(p115)
KPIマネジメントの成功事例
この本では日本企業の成功事例が豊富に紹介されており、参考になります。
くら寿司は廃棄率をKPIに設定し、来店客層ごとのネタの消費傾向を分析して提供するネタを時間帯に合わせて変化させた結果、廃棄率を10%から3%にまで改善しました。
サイゼリアは人時生産性をKPIに設定し、業界平均3000円を上回る4000円を実現。パーク24はスタッフ不在のコインパーキングの特性から、コールセンターへの入電率をKPIに設定して、入電率が下がる=顧客満足度が高いと判断しています。
SBI証券では「ありがとう率」をKPIに導入したことで対応品質が向上し、顧客満足度を高めることに成功しました。いずれも、その事業の本質を突いたKPI設定が成功の鍵であることがよくわかります。
SBI証券のコールセンターでは・・・・2008年から「ありがとう率」をKPIに導入・・・対応品質が向上し、顧客満足度を高める(p161)
「弱い部分」を組織で支援する
この本を読んで、KPIマネジメントとは仕事の中の「一番弱い部分」(ボトルネック)を見つけ、全社で支援・改善する活動だとわかりました。数字化することで、本当に改善しているのかどうかが客観的に確認できる仕組みなのです。
重要なのは、「弱い部分」を持つ部署や個人が「困っている」「助けてほしい」と言える仕組みを作ることです。新入社員や契約社員、派遣社員など立場の弱いメンバーを組織全体で守ることが、組織全体の強さにつながるといいます。
KPIマネジメントは数字の管理ではなく、人と組織を強くするための道具なのだと感じました。中尾さん、良い本をありがとうございました。
| 無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信) 3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。 |
この本で私が共感した名言
・分かりやすいCSF(Critical Success Factor/重要成功要因)・・・「そんなことは分かっている・・否定的な声が聞こえてくる(p46)
・正しい「振り返り」の方法・・・実施期間 10月1日~1か月 振り返り会議 11月15日・・「振り返り」では「犯人捜し」・・・はNG(p50)
・購買・調達におけるKPIを探る・・・CR(コストリダクション)率、納期遵守率、そして、VOS(取引先評価)・・・CR率の数字でKPIを運用するのは難しい・・・資材の多くは原価の数値が安定していません・・・自社でコントロールできな数値はKPIに利用できない(p65)
・サブスクリプション(サブスク)の収益を上げるポイント・・・1退会率の改善、2入会率の改善、3集客の強化・・・1→2→3とCSFを変えていく・・・退会は入会から最初の数か月に多い・・・最初の数か月の利用が促されれば退会率の改善が可能(p123)
▼引用は、この本からです

Amazon.co.jpで詳細を見る
中尾隆一郎 (監修) 、宝島社
【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
1 令和のリーダー必須のツール「KPIマネジメント」の基礎知識 PART1
2 「KPIマネジメント」をより深く理解する!「KPIマネジメント」の基礎知識 PART2
3 「KPIマネジメント」実践するための10のステップ
4 「KPIマネジメント」を実践する際に気をつけることとは?
5 KPIを活用して成功した日本企業の個別事例
6 最大の成果を上げるためのリーダーシップとは?
著者経歴
中尾隆一郎(なかお ちゅういちろう)・・・株式会社FIXER執行役員副社長。1964年生まれ。大阪府出身。1987年大阪大学工学部卒業。1989年同大学大学院修士課程修了。同年株式会社リクルート入社。スーモカウンター推進室室長時代に6年間で売り上げを30倍、店舗数12倍、従業員数を5倍にした。
リクルート住まいカンパニー執行役員、リクルートテクノロジーズ代表取締役社長、リクルートホールディングスHR研究機構企画統括室長、リクルートワークス研究所副所長などを経て、2018年から現職。2017年より株式会社旅工房社外取締役を務める。良い組織づくりの勉強会(TTPS勉強会)主催。
29年勤めたリクルート時代は、約11年間にわたって社内勉強会において「KPI」「数字の読み方」の講師を担当。
参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
![]()





















コメントする