【書評】「学びを最大化する TTPS (徹底的にパクって進化させる) マネジメント」 中尾 隆一郎, 鈴木 利和 , 肱岡 優美子
2026/06/22公開 更新
Tweet
【私の評価】★★★★★(94点)
要約と感想レビュー
徹底的にパクる「TTPS」とは
リクルートでスーモカウンターを6年間で売上30倍、店舗数12倍、従業員数5倍にした中尾隆一郎氏が、その手法を「徹底的にパクって進化させる」つまり「TTPS」として説明した一冊です。
「TTPS」「徹底的にパクって進化させる」というとおり、組織のなかにいるハイパフォーマー(高い成果を上げている人)のノウハウを他のメンバーが真似し、さらに自分なりに進化させていくことで、組織全体のレベルを引き上げるということです。
また、闇雲に努力するのではなく、組織全体のなかで最も弱い部分を特定し、そこに既にある成功パターンを探し、真似て強化します。シンプルで、合理的な手法です。トヨタの改善活動に近いと感じました。
「最も弱い箇所」を定量データや定性情報などから見つけ出し、そこをTTPして強化すること(p47)
「TTPS」のやり方と事例
TTPSの第一歩は、ハイパフォーマーを特定することです。ただし、あまりに天才的な人は一般人には真似できないため、現実的に再現可能な範囲の優秀な人を見極めることが大切だといいます。
ハイパフォーマー自身は、自分のやっていることを「当たり前」だと思っているため、本人にインタビューしても本質的な秘訣は語られないことが多いという。そこでハイパフォーマーの行動を録画して観察した事例が紹介されています。
そのハイパフォーマーは、顧客が体験サービスを受けた直後に、「それでは入会手続きしましょう」と、嫌味なく入会を勧めていたという。他の社員は体験後にまず感想を聞いてから入会を勧めていたのです。
入会を前提とした聞き方をすることが、「言語化されない暗黙知」だったわけです。
ハイパフォーマーが当たり前にやっていることの中に秘訣ポイントがある(p29)
振り返りを仕組み化する「G-POP」とは
TTPSと並ぶもう一つの仕組みが、「G-POP」という振り返りの仕組みです。Goal(目的)→Pre(事前)→On(当日)→Post(事後)という4つの流れで、行動と振り返りをセットで回していくフレームワークです。
最も大切なのは、Post(事後)の振り返りです。著者がIT会社の社長をしていたときは、大規模システム開発は、実際の開発部署と専門部署(大規模システム専門組織)の2カ所で振り返ることで、ノウハウを蓄積していったという。まさに継続的な改善活動です。
また、一番最初にゴールを設定するというのも改善活動、QC活動との共通しています。チーム内でゴールがずれているケースは思ったより多いという。
こうした仕組みは、組織であればルール化することで定着します。ただ、個人でゴールを決めて行動していく場合は、数人で定期的に集まって実行状況を互いにチェックし合うことを勧めています。相互に見せ合うことで継続性が生まれるのです。
まずは、ゴールを設定する・・・ゴールの確認なんて当たり前と思っている方も多いかもしれません。しかし、チーム内でゴールがずれているケースはたさんあります(p40)
自分で勉強会を主催する
後半では、TTPSとG-POPを応用した勉強会の事例が紹介されています。
事前準備なしに60分で1冊の本を読む「タクトル」というオンライン読書会では、当日集まって目次を見て分担を決め、各自30分で読んで要約し、2分でプレゼンするという仕組みです。 本の内容を徹底的にパクるために読書会のグループで、2分プレゼンと振り返りを行うものです。
TTPSという手法そのものは、突飛な発想ではありません。「優れたやり方を真似て広げる」という発想は、改善の横展開と同じです。TPPSの価値は、その「当たり前」を仕組みとして具体的な手順とツールとして商品化していることにあるのでしょう。
最後に、この本の読者への提案は、あなたが最も関心の高いテーマについて、自ら勉強会を主催することです。つまり、この本をTTPSすることなのです。
中尾さん、鈴木さん、肱岡さん、良い本をありがとうございました。
| 無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信) 3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。 |
この本で私が共感した名言
・中尾塾という「経営者塾」・・・王道の経営をしている経営者の経営観を学ぶ・・中尾が過去に読んだ約2000冊の本の中から毎月2冊選び、そこから学ぶ・・毎週4人で1時間グループコーチングを実施(p105)
・グループコーチングという形で1人のコーチと4人の参加者にすると・・・参加者同士での相互承認や相互アドバイスが始まる(p108)
・TTPSサイクルは、持論をベースとした仮説の検証を繰り返していく・・・そのためには、核となる「持論」が必要です(p137)
・組織が小さいときは・・・ベストプラクティスと認定された人に教えを請い、そのポイントをレポート・・・組織が大きくなると・・・ベストプラクティスを動画にして自由に閲覧できるようにしました(p49)
▼引用は、この本からです

Amazon.co.jpで詳細を見る
中尾 隆一郎, 鈴木 利和 , 肱岡 優美子(著)、ディスカヴァー・トゥエンティワン
【私の評価】★★★★★(94点)
目次
序章 スーモカウンターから始まったTTPS
1章 TTPSの全体像と実践ステップ
2章 TTPSを実践するコツ
3章 TTPSの実践プロジェクト事例
4章 日常で使える応用事例
5章 自律自転する人と組織に向けて
著者経歴
中尾隆一郎(なかお りゅういちろう)・・・ 株式会社中尾マネジメント研究所(NMI) 代表取締役社長。株式会社旅工房取締役、株式会社LIFULL取締役。1989年リクルート入社。主に住宅、人材、IT領域に従事。住宅情報提供スーモカウンターを6年間で売り上げを30倍、店舗数12倍、従業員数を5倍にした。リクルートテクノロジーズ社長時代はIT人材大量採用で貢献。リクルートテクノロジーズ代表取締役社長、リクルート住まいカンパニー執行役員等を歴任後、株式会社中尾マネジメント研究所(NMI)を設立。 良い組織づくりの勉強会(TTPS勉強会)主催。
鈴木利和(すずき としかず)・・・合資会社ベルノート 無限責任社員。1991年リクルート入社。研修プログラムの商品開発に従事。2005年、新サービスをつくるコンサルティングを事業化。2010年、ベトナムでのコンサル会社の子会社立ち上げに従事。スーモカウンターでの取り組みを知り、TTPS勉強会を始め、実践の場としての「ありえる楽考」を主催。
肱岡優美子(ひじおか ゆみこ)・・・国内大手IT企業にて、社内広報に従事。「人と組織をエンゲージする」をモットーに、図解を活用した場づくりや社内広報活動を行っている。2018年よりTTPS勉強会事務局に参画。
参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
![]()





















コメントする