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「「数字で考える」は武器になる」中尾 隆一郎

2023/09/12公開 更新
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「「数字で考える」は武器になる」中尾 隆一郎


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

必要な工数と納期を確認

著者はリクルートの企業内大学「メディアの学校」で11年間、「数字の読み方・考え方」と「KPI(Key Performance Indicator):重要業績評価指標」という2つのテーマの講師をしていました。この本は、その「数字の読み方・考え方」で教えていたシナリオ(仮説)思考、ビジュアル化、比較などの内容をまとめたものです。


面白いのはやはり実務者が教えるだけあって、上司から仕事を頼まれるところから話がスタートするところです。例えば、上司から「現状の営業体制のままで売上を5%アップする方法を提案してほしい」と指示されたら、あなたはどうしますか?著者はまず、数字で考える人は、指示された仕事に必要な工数と納期を確認し、自分の今の仕事の状況を伝え、優先順位をどうするか確認するとしています。つまり、作業を分解し、それぞれの作業時間を明確にして、交渉するということです。


・内容と納期を確認し、現在の仕事の状況を伝え、優先順位を確認する(p34)


仮説(シナリオ)思考

そもそも上司の指示はやるべき価値のあるものなのだろうか、その指示を達成するためにどれだけ時間がかかるのか、作業を始める前に上司とコンセンサスを得ておくのです。最初はデータがすべてあるわけではなく、追加のデータ採取が必要となることもあるでしょう。どのような打ち手が考えられるのかまったく分からないということもあるでしょう。そうしたときに、効率的に考えるコツが、まずシナリオ(仮説)を考える仮説思考なのです。


事前にシナリオを作って、そのシナリオに合わせてデータ採取など計画的に作業を行うのです。その結果、作業の工数が減り、手戻りや作業のダブりなどを小さくできるのです。そして仮説力をアップさせるために、最初にたくさんの選択肢を出して、その中から適切な選択肢1つに絞るという作業を推奨しています。


・因数分解ができると、行動力も上がる(p40)


リクルートらしい合理的な内容

リクルートらしい合理的な内容だと思いました。スピードを上げることで、生産性が上がり、成果も出るのです。実際、リクルートでは数字で考え、数字で意思決定されることが多いと著者は言っています。また著者は、年間100冊の本を読むことを自分に課しているということで、親近感も湧きました。

 
話は違いますが、マスコミも先にシナリオを作って、それに沿った証言や取材をしていると言われています。マスコミも金儲けと考えれば、生産性を上げるために合理的に仕事をやっているだけということなのかもしれません。視聴率さえ取れれば、偏向報道となっても関係ないと考えているとすれば、根本から間違っているということなのでしょう。


そうえいば、政界、経済界,マスコミの実力者に未公開株を譲渡したリクルート事件がありました。江副さんからすれば、未公開株の譲渡は、目的達成のために生産性の高い活動だったのかもしれないと思いました。仮説思考は、あくまで普通の仕事で使いたいものです。中尾さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・世の中には2種類のバカがいる。「数字で何でも分かると思っているバカ」と「数字では何もわからないと思っているバカ」(p94)


・みなさんの組織は顧客別の営業利益は把握していますか?(p104)


・17%の法則・・・定期的に仕事に関係する・・本を読むだけで「6人のうちのトップ」になれる(p46)


▼引用は、この本からです
「「数字で考える」は武器になる」中尾 隆一郎
中尾 隆一郎、かんき出版


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

第1章 生産性を爆速させる数字力―Speed is Power
第2章 数字の裏を読む―世の中の2種類のバカの話
第3章 儲けるセンスを高める数字力―経営者の視点を意識する
第4章 人を動かすリーダーの数字力―自分の意思が伝わって初めて、いい仕事になる
第5章 数字力を自在に操る7つのフレーム―あらゆる事象を整理できる「型」をご紹介



著者経歴

中尾隆一郎(なかお りゅういちろう)・・・株式会社中尾マネジメント研究所(NMI)代表取締役社長。株式会社旅工房取締役。1964年5月15日生まれ。大阪府摂津市出身。1987年大阪大学工学部卒業。89年同大学大学院修士課程修了。同年、株式会社リクルート入社。主に住宅、人材、IT領域を歩み、住宅領域の新規事業であるスーモカウンター推進室で室長を務めてた時は、同事業を6年間で売上を30倍、店舗数12倍、従業員数を5倍に拡大させた。リクルートテクノロジーズで社長を務めていた時は、リクルートが掲げた「ITで勝つ」を、優秀なIT人材の大量採用、早期活躍、低離職により実現。リクルート住まいカンパニー執行役員、リクルートテクノロジーズ代表取締役社長、リクルートホールディングスHR研究機構企画統括室長、リクルートワークス研究所副所長などを務め、2018年3月までリクルートで29年間勤務。専門は、事業執行、事業開発、マーケティング、人材採用、組織創り、KPIマネジメント、中間管理職の育成、管理会計など。リクルート時代は、約11年間、リクルートグループの社内勉強会において「KPI」「数字の読み方」の講師を担当、人気講座となる。良い組織づくりの勉強会(TTPS勉強会)主宰


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