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「命がけの証言」清水 ともみ

本のソムリエ 2021/11/03メルマガ登録
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「命がけの証言」清水 ともみ


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

 この本では、6名のウイグル人が新疆ウイグル自治区の強制収容所などで行われていることを証言しています。若いウイグル人男性は強制収容所に収監され、若いウイグル人女性は漢人と結婚させられ、年配のウイグル人女性は避妊手術を強制させられているというのです。


 避妊手術は一人っ子政策の一部かもしれませんが、強制収容所が存在していることは事実であり、強制収容所で女性が強姦されているという証言、開放された妹が妊娠6ヶ月の状態で、その後自殺してしまったという証言があります。


 欧米諸国は、中国の新疆ウイグル自治区での少数民族ジェノサイド(民族浄化)を批判し、関係者の資産凍結といった経済制裁を行っているのに、日本の政治家は何をしているのでしょうか。


・若いウイグル人男性は強制的に拘束収容されており・・・若いウイグル人女性は、家族の暮らしや安全のためにも漢人との結婚を拒否できません(p153)


 また、中国では1ヶ月以内に臓器移植のためのドナーが見つかり、臓器移植ができるという事実に注目すべきです。移植可能なドナーが見つかる確率を考えると、数百万人の臓器を自由に取り出せる体制が中国にはできていることになります。


 そして、中国では少数民族の全員からDNAサンプルを採集しているという事実を組み合わせると、恐ろしい結論に達します。つまり、中国は国家として少数民族を臓器移植のドナーとしてデータベース化し、注文があれば、その人を逮捕して、その臓器を取り出して臓器移植患者に販売していると思われます。


・2016年終わりごろから、警察が夜間密かに住民を逮捕しはじめ・・・少数民族と言われる人たち全員からDNAサンプルが採取され、携帯番号を登録SNSでのやり取りがチェックされました(p118)


 国家というものは、アウシュビッツのような強制収容所とガス室を作り計画的に虐殺することもあるし、インディアンのような先住民の土地を奪うこともあるし、市街地に原爆を投下することもありえると過去の歴史は教えてくれています。


 そして今、私たちの目の前で、ウイグルの強制収容所が存在し、短時間に臓器移植が行われているという事実があるのです。そしてこの本では、家族を人質に取られてスパイになることを強制され、絶望の中でそのことを証言している人がいます。


 朝日新聞を代表とするマスコミは、確実な証拠もなく、裏取りもせずに慰安婦やモリカケ問題などを報道する一方で、ウイグル自治区の問題をこれだけの証言者がいるのに、ほとんど報道しようとしません。マスメディアはその役割を終えているということなのでしょう。

 
・テレビ朝日の小松靖アナウンサーが「ウイグル問題は我々メディアも非常に扱いにくい問題で、中国当局のチェックも入りますし、だから我々報道機関でも、ウイグル自治区のニュースを扱うのはタブーとされています」(2020年7月6日『ワイドスクランブル』)(p22)


 ウイグルにいる家族を中国共産党から人質に取られているわけで、こうした証言をしている人々にとっては、正に「命がけの証言」だと思われます。その一方で、日本のマスコミ・政治家も、中国共産党に弱みを握られているのか、人質を取られているためか中国の不利になる報道ができないという情けない状況です。


 日本のマスコミが報道できていないという事実、欧米のように経済制裁できないという事実が、中国の影響力が日本のマスコミ・政治家に浸透しているという証拠なのでしょう。清水さん、良い本をありがとうございました。



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この本で私が共感した名言

・50歳までの女性全員が避妊のための検診や措置を受けされられ、自費で麻酔無しの避妊手術を強制されます(p69)


・留学生などによる中国共産党への批判を封じ込めるために、ウイルグにいる家族をすぐ人質にとったりします(p11)


・中国政府に故郷の家族を人質に取られ、身の安全を保障するかわりに同胞を裏切りスパイになれ・・・そんな要求をされたら、私はいったいどうするのが正解なのでしょう(p182)


・中国共産党は、強制収容所に収監している人々から臓器を強制摘出し、年間十万件以上の臓器を全世界に提供しています(p23)


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▼引用は、この本からです
「命がけの証言」清水 ともみ
清水 ともみ、ワック


【私の評価】★★★★★(90点)



目次

序章 「命がけの証言」に応えて描きました
第1章 私の国の名は東トルキスタン―その國の名を誰も言わない
第2章 「ウイグル族」と呼ばないでください―私の身に起きたこと とある在日ウイグル人女性の証言(グリスタン・エズズ)
第3章 「強制収容所」を生き延びて...―私の身に起きたこと とあるウイグル人女性の証言2(グリバハル・ジェリロワ)
第4章 「習近平が大好き!」を唱和させられて―私の身に起きたこと とあるカザフ人女性の証言(セイラグリ・サウトバイ)
第5章 戻らない家族への思い...―私の身に起きたこと とある在日ウイグル人男性の証言(ムハラム・ムハンマドアリ)
第6章 スパイになれと強要されて―私の身に起きたこと とある在日ウイグル人男性の証言2(ハリマト・ローズ)
第7章 日本への「夢」を奪われて...―アイトゥルスン・エリさんの話


著者紹介

 清水 ともみ(しみず ともみ)・・静岡県出身。1997年、講談社『Kiss』にてデビューし、作家活動を始める。子育てに専念した後、イラスト動画制作に携わる。2019年4月にウイグル弾圧の実態を描いた『その國の名を誰も言わない』、同年8月に『私の身に起きたこと?とあるウイグル人女性の証言?』をTwitterにて発表。大きな反響を得て、海外を中心に多くのメディアが紹介。米国務省の広報HPなどに掲載される。


ウイグル関係書籍

中国人の少数民族根絶計画」楊海英
中国の移植犯罪 国家による臓器狩り」 デービッド・マタス、トルステン・トレイ
ウイグル人に何が起きているのか 民族迫害の起源と現在」福島 香織
在日ウイグル人が明かす ウイグル・ジェノサイド― 東トルキスタンの真実」ムカイダイス
「命がけの証言」清水 ともみ


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