「在日ウイグル人が明かす ウイグル・ジェノサイド― 東トルキスタンの真実」ムカイダイス
2021/06/03公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
ウイグルでは300万人以上が強制収容
アメリカでユニクロの綿のシャツが、新疆ウイグル自治区での強制労働により生産された疑いがあるとの理由で、輸入差し止めとなったニュースを見て手にした一冊です。新疆ウイグル自治区で何が起きているのでしょうか。
ウイグルでは2017年2月から2019年末までの間に300万人以上が強制収容されたという。強制収容所送りになったのは、大学で博士号を取ったような知識人、宗教指導者、多額の貯金を持っている富裕層が中心だという。強制収容の影響なのか、国外に出ているウイグル人のほとんどが家族との連絡が取れていないのです。
・在外のウイグル人の90%以上が、三年ほど前から東トルキスタン内の家族や友人と連絡がとだえたまま(p2)
6%に満たなかった漢民族の割合は50%
著者が集めたウイグル人の証言から、女性は薬や手術で強制的に子供ができない体にされていることがわかります。女性警官の話では、収容所では子供ができない体にする薬を気づかれないように、食べものの中に隠して与えているという。
著者が聞いた女性用の刑務所の話では、夜になると女性たちの悲鳴がいつも聞こえていたという。「私を殺して、その方がまし」と泣き叫ぶ声も聞いたというのです。こうした悲鳴を毎日聞いたという証言から、教育という名の拷問が行われていることは間違いないのでしょう。
また、DNA,角膜の検査をされデータベース化されていることから、中国で行われている数万人の臓器移植の供給源のひとつがウイグル人である可能性があるのです。
さらに、漢民族の大量入植が行われ、1949年に6%に満たなかった漢民族の割合は50%近くになっているのです。特に高額の給与で集められた漢民族の教師がウイグル人教師の職を奪っており、ウイグルの中国化を加速させているという。ベテランのウイグル人教師が「中国語水平(レベル)」が満たないという理由で、教育の現場からの退任を余儀なくされているのです。
・ズムレット・ダウットの証言・・・パキスタン人と2005年に結婚して、三人の子供を儲けている・・・パキスタンに送金の記録が見つかったとして警察に連行され・・収容所に連れていかれ、全身の検査及びDNA検査、角膜の検査まで行った。強制収容所では毎日薬を飲まされ、生理が止まった。・・・釈放されてから、無理やり避妊手術を受けさせられた(p148)
「日本人は強姦魔である」と教育
私が最も驚いたのは、中国共産党は中国人、ウイグル人に対して日本人は「鬼」「日本人レイプ魔」であると反日教育を続けてきたということです。人口14億人の中国人にとって日本人は、鬼であり強姦魔なのです。私を含めた平和ボケの日本人にとっては想像を超えた事態です。中国人が悪いというのではなく、中国人とウイグル人を洗脳し、「日本人は強姦魔である」と教育している共産党という組織が恐ろしいと感じました。
・日本人を「鬼」と呼ぶ反日教育が今まで行われて来た。それ故、ウイグルでは「日本人レイプ魔」という中国に植えられた言葉がたくさんのウイグル人の脳裏から離れないのが事実である(p71)
中国に軍事的に占領されたウイグル
私たちはユニクロを着ることで、実は自分の将来の子どもたちを強制収容所へ送る手伝いをしているのではないか、と感じました。
ウイグルでは政府幹部が北京に招待されて飛行機で移動中に行方不明(正式発表は事故で墜落、全員死亡)になったという歴史があります。その時には、ウイグル(東トルキスタン)の要所要所に共産党の手が入っており、気づいたら中国に軍事的に占領されてしまっていたという歴史があるのです。
日本でも要所要所に共産党の手が入っており、気づいたら民主党政権になっていたという歴史もありますので、よく考えたいものです。ムカイダスさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・ウイグル人にとって「新疆ウイグル自治区」は、ウイグル人が平和のために戦争を放棄した結果、中国共産党に騙された結果、母なる祖国のために犠牲を払うことを怠った結果なのである(p7)
・中国政府は「新疆の和平解放」と言うが、東トルキスタンの民は「陰謀と嘘によって、気づいたら国が乗っ取られた」と悔しい思いで語る・・・ウイグル社会の要所要所に共産党の手が入り込んでいて、民が立ち上がろうしてもなかなか立ち上がれない体制ができてしまっていた(p66)
・ウイグル人が侵略者を追い出すための戦いを一瞬も忘れたことがないことが、中国共産党を怯えさせている。先手を打ってウイグル人を消してしまい、東トルキスタンを中国の永遠に不可分の一部にしてしまうことが、彼らの狙いであろう(p182)
・1998年に英国で、中国の核実験によるシルクロードにおける悲惨な健康被害や死を主体としたドキュメンタリー「Death on the Silk Road」が放送され、1999年にローベリック賞を与えられた・・・日本ではまだ公式に放映されていない(p103)
・反日デモ・・・内政の問題ではデモできない民族とデモをさせない国家が、外国に抗議するためだけに仕組んだ意味のないマスゲーム(p75)
【私の評価】★★★★★(90点)
目次
第一章 日本に生きるウイグル人として
第二章 東トルキスタンの三度の独立と挫折
第三章 幻の「防共回廊」
第四章 「新疆ウイグル自治区」の歴史と政治
第五章 強制収容所の実態
第六章 ウイグル文学と詩人たちの光と陰
著者経歴
ムカイダイス(Muqeddes)・・・ウルムチ出身のウイグル人。千葉大学非常勤講師。上海華東師範大学ロシア語学科卒業。神奈川大学歴史民俗資料学研究科博士課程修了。元放送大学面接授業講師、元東京外国語大学オープンアカデミーウイグル語講師。世界文学会会員。
ウイグル問題関係書籍
「AI監獄ウイグル」ジェフリー・ケイン
「中国の移植犯罪 国家による臓器狩り」 デービッド・マタス、トルステン・トレイ
「ウイグル人に何が起きているのか 民族迫害の起源と現在」福島 香織
「在日ウイグル人が明かす ウイグル・ジェノサイド― 東トルキスタンの真実」ムカイダイス
「命がけの証言」清水 ともみ
「ウイグル大虐殺からの生還 再教育収容所地獄の2年間」グルバハール・ハイティワジ
「重要証人: ウイグルの強制収容所を逃れて」アレクサンドラ・カヴェーリウス
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