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中国人民解放軍の実力「こんなに弱い中国人民解放軍」兵頭二十八

2020/09/21公開 更新
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こんなに弱い中国人民解放軍


【私の評価】★★★☆☆(73点)


要約と感想レビュー

 この本の出版された2015年という年は、中国は南シナ海埋め立てを継続しており、機関砲を装備した中国公船が尖閣諸島の接続海域に入るようになった年です。日本では国会で安全保障法制が審議され、野党の動員した国会議事堂前のデモや学生団体SEALDsが注目されました。


 中国の領土拡大の意思に対し日本がどのような準備をしていくのかその意思を示すことになった年なのです。軍備という平和のための保険をかけるのか、保険はいらないのか、日本としての政治的判断だったと思います。


・軍備というのは、「平和にかける保険」のようなもの。だから、自国や同盟国が軍備を充実させたために潜在敵国が地域侵略の企図を断念し、平和が保たれた・・という説明が成り立つ限りは、結果オーライである(p194)


 この本で指摘されている中国軍の弱さは、権力を強化した習近平によってこの5年でだいぶ改善されています。この本で指摘されている陸軍の下部組織だった海軍は、2016年の人民解放軍の組織変更で陸軍、空軍、ロケット軍などと同等の組織となった。


 弾道ミサイル早期警戒については、ロケット軍が中心となって「早期警戒衛星」や「フェイズドアレイ・レーダー」などの警戒システム構築が進められているという。中国では独裁者の定年廃止、権力集中が進みトップダウンで軍事力強化と実力行使がどんどん進められているという印象です。
 

・2014年に至るも、「早期警戒衛星」は中共には一つもなく、対米用の「大型フェイズドアレイ・レーダー」も存在しない・・・東から飛んできた弾道ミサイルが、北朝鮮の発射したものか、日本海から米海軍の潜水艦が発射したものか、彼らは判断できない(p136)(※近年、中国人民解放軍は早期警戒衛星を打ち上げているのではないかとの報道あり)


 中国は米軍の潜水艦や水上艦が南シナ海から締め出すために、パラセル諸島、スプラトリー諸島と、近いところから島を占拠しています。海底の砂を盛り上げて飛行基地も造成しているのです。


 日本では防衛を強化しようとするだけで、安倍一強政治、独裁者と非難され、野党や活動家と連動したマスコミのプロパガンダなどやりほうだいという状況です。マスコミから批判される安倍政権はやるべきことをやってきたからこそ批判されていたのだと感じました。


 中国もやるべきことを着々と進めているようです。兵頭さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・最先端のレーダーと最先端のミサイルを装備さえすれば、F-22と比べても遜色のない防空戦闘か可能(p48)


・安い潜水艦を何隻か買い整え、その潜水艦に、魚雷の代わりに、たくさんの沈底式機雷を積み込んで、マラッカ海峡やシナの主要港近くの沿岸にこっそり撒く。それだけでも、中共は終わる(p95)


・中共海軍も、多数の潜水艦による外国領海への機雷敷設作戦を専ら計画している(p79)


・中共軍が弱いことは、どこであれ先進国軍隊との間で「実戦」が始まれば、即日に証明されてしまうだろう・・・「寸止め」すれば、彼らのボロは決して顕れない。あとは宣伝力で、彼らは本当に精強であり、またしても「敵に勝った」ことにしてくれる。そして、気長に「次の勝利」の機会を探しが始まる(p188)


・習近平は、平時の暴力装置である190万人の公安部、60万人の人民武装警察部隊、5万人の国家安全部(ゲシュタポ)を統括する「国家安全委員会」を新設し、自分がその長に就いた・・・「GRU(軍情報部)のスペツナズ(特殊部隊)」がいかに間接侵略に役立つかを、プーチン大統領は2014年、ウクライナで見せつけている(p139)


・刃物によって犯罪を起こしたかもしれない容疑者が含まれているウイグル人のグループを、自動火器と防弾ウエアで高度に武装した中共警察が急襲して取り囲み、問答無用で全員射殺している・・・いくつかの市では早くから、武装警察がパトロール中に、いつでも警告なしに容疑者を射殺してよいことになっていた(p187)


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▼引用は、この本からです
こんなに弱い中国人民解放軍
兵頭 二十八 、講談社


【私の評価】★★★☆☆(73点)


目次

第一章 こんなに弱い中共空軍
第二章 大日本帝国海軍とそっくりな中共海軍
第三章 中共の核は使えない、軍は統御できない
第四章 中共陸軍の酷い実力
第五章 弱い中共軍が強く見えるカラクリ



著者経歴

 兵頭 二十八(ひょうどう にそはち )・・・1960年生まれ。軍学者。1982年、 陸上自衛隊東部方面隊に入隊。北部方面隊第2師団第2戦車連隊本部管理中隊に配属。1984年、1任期満了、陸士長で除隊。神奈川大学外国語学部英語英文科に入学。1988年、 同大学卒業後、東京工業大学大学院理工学研究科社会工学専攻博士前期課程に入学。1990年、同大学院修了、修士(工学)。その後、「戦車マガジン」勤務などを経て軍学者。


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