「米中覇権戦争の行方」北野 幸伯
2019/10/02公開 更新

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【私の評価】★★★★★(91点)
要約と感想レビュー
■中国建国70年の式典をテレビで見ながら、
手にした一冊です。
著者の北野さんは、15年前から
アメリカの没落、中国の増長、
ロシア・アメリカの対立を予言し、
的中させてきました。
なぜ予言が的中するのかといえば、
国家間で何が起きているのか
正しく理解しているからなのでしょう。
・(日本の)安全保障上の脅威は・・中国は、尖閣を実効支配していません。それで、ロシア、韓国とは違い、現状に満足していない。ですから、日本が仕掛けなくても、中国が仕掛ける形、つまり尖閣に上陸、占領するような形で、日中戦争(戦闘)が起こる可能性がある(p196)
■北野さんの警告は、日本の役所,企業が
このまま国際関係を理解せずにいくと
尖閣、沖縄を中国に支配されるだろう
ということです。
今、日本が行うべきは、
中国の尖閣、沖縄侵略の野望を、
仲間を増やすことで阻止すること。
具体的には中国と戦うアメリカとインドを
支援すること。ロシアと関係を改善し、
中国に脅威を感じている国々と
仲間として行動していくのです。
・「日本、アメリカ、ロシアが組めば、世界覇権を目指す中国の野望を阻止することができる」これは、世界のリアリストたちの常識です・・・日本政府は、大戦略を思い出し、再びロシアとの関係を改善させていって欲しいと思います(p241)
■ところが、中国が態度を変えると
日本はころっと寝返ったように
中国に接近しようとしています。
アメリカが中国に追加関税をかけて
経済戦争をしている最中に
来年春に習近平を国賓として
日本に招待している。
日本は太平洋戦争の前に、
満洲利権からアメリカを排除し、
イギリスに軍事協力せずに
アメリカ、イギリスを敵に回した
前科があります。
北野さんには、国際関係を理解できず、
戦略的に行動できない日本が、
再び戦前のような間違いを犯すのでは
ないかと心配しているのです。
・アメリカは今、世界の覇権をかけて中国に戦いを挑んでいる。そんな重大事に、「希望の同盟国」であるはずの日本の総理は、アメリカ最大の敵である中国との関係を深化・・トランプさんがムカつくのは当然でしょう(p221)
■性善説でしか世の中を見ることができず、
国際関係を経済だけで考えているように見える
日本人の未来はどうなるのでしょうか。
その未来を私たちはいずれ
見て体験することになるのでしょう。
北野さん、
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・いつ、アメリカは、覇権戦争を決めたのですか?AIIB事件が起こった2015年3月です(p67)
・情報戦は、敵国を「悪魔化する」目的で行われます・・・中韓は、「靖国神社=軍国主義復活の証拠だ!」とプロパガンダした。このイメージが世界にひろがってしまい、安倍相里が2013年12月に参拝した時、大バッシングされた(p142)
・2017年のGDPと軍事費の割合を見てみましょう。アメリカ3.1%、中国1.9%、インド2.5%、フランス2.3%、イギリス1.8%、日本0.9%、ドイツ1.2%。4%を超えているのは、サウジアラビア10.3%、ロシア4.3%(p151)
・尖閣国有化から5年間で、中国が領海侵犯した日が199日・・中国は、高校の教科書に尖閣問題を載せ、国民洗脳を開始しています・・中国は日本にとっては「巨大すぎる」脅威なのです(p198)
・日本の「大戦略」は、「中国の尖閣、沖縄侵略を仲間を増やし防ぐこと」が目的になります・・最重要国は、いうまでもなくアメリカです・・もう一つの最重要国はインドです・・EU・・ロシア・・台湾、ベトナム、フィリピン、オーストラリアなどです。これは、「中国の脅威を感じている国々」です(p277)
・今や、中国は、アメリカ合衆国最大の敵です。アメリカの同盟国日本が、中国と昵懇の関係になることは、「アメリカを裏切って敵に接近している」と認識されるリスクがある(p219)
・「敗戦の教訓」とは何でしょうか?・・一つ目の教訓は、孤立すると負けるです。1937年、日中戦争がはじまりました。この時、中国を支援していたのは、アメリカ、イギリス、ソ連でした(p249)
・日露戦争後、日本は満洲利権を独占し、アメリカが反日に変わった・・第一次世界大戦時、日本は、同盟国イギリスの「陸軍覇権要求」を断りつづけ、失望させた。イギリスは反日になり、日英同盟は破棄された・・日本は満州国建国問題で、国際連盟で孤立。国際連盟を脱退し、世界的に孤立した(p264)
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▼引用は下記の書籍からです。
【私の評価】★★★★★(91点)
目次
まえがき―米中覇権戦争勃発!日本は「戦勝国」になれるか?それとも...
第1章 なぜ米中覇権戦争がはじまったのか?
第2章 米中覇権戦争の結末
第3章 米中覇権戦争の世界で、日本はどうするべきか?
著者紹介
北野 幸伯(きたの よしのり)・・・1970年生まれ。国際アナリスト。ロシア外務省付属モスクワ国際関係大学卒業後、プーチン大統領の元ブレーンとともに日露ビジネスコンサルティング会社IMT設立。1999年からメールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」を発行。イラク戦争、北朝鮮情勢、次はイランなど次々と予測を的中させる。モスクワに28年滞在。2018年、日本に帰国
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