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「米中覇権戦争の行方」北野 幸伯

2019/10/02公開 更新
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米中覇権戦争の行方


【私の評価】★★★★★(91点)


要約と感想レビュー

日本の最大の脅威は中国

中国建国70年の式典をテレビで見ながら、手にした一冊です。著者の北野さんは、15年前からアメリカの没落、中国の増長、ロシアとアメリカの対立を予言し的中させてきました。なぜ予言が的中するのかといえば、国家間で何が起きているのか正しく理解しているからなのでしょう。


現在の日本の安全保障上の最大の脅威は、中国だとしています。なぜなら、中国は尖閣諸島を実効支配しておらず、中国が仕掛ける形で尖閣諸島が占領される可能性があるのです。中国の日本に対する情報戦は、日本を「悪魔化する」目的で行われています。具体的には、中国・韓国は連携して、「靖国神社=軍国主義復活の証拠だ!」とプロパガンダしています。この工作活動によって、安倍首相が2013年12月に靖国参拝した時に世界的に大バッシングされたのです。


・尖閣国有化から5年間で、中国が領海侵犯した日が199日・・中国は、高校の教科書に尖閣問題を載せ、国民洗脳を開始しています・・中国は日本にとっては「巨大すぎる」脅威なのです(p198)


仲間を増やしていくこと

北野さんの警告は、日本の政治家、官僚、会社経営者が、このまま国際関係を理解せずにいくと尖閣・沖縄を中国に支配されることになるだろうということです。今、日本が行うべきは、仲間を増やすことで中国の尖閣・沖縄侵略の野望を阻止することなのです。


具体的には中国と戦うアメリカとインドを支援すること。ロシアと関係を改善し、中国に脅威を感じている国々と仲間として行動していくのです。この戦略は「日本、アメリカ、ロシアが組めば、世界覇権を目指す中国の野望を阻止することができる」という世界のリアリストたちが主張していることと同じであり、地政学の専門家たちの間では常識です。著者の願いは、日本政府が戦略を思い出し、仲間を増やしていくことなのです。


・日本の「大戦略」は、「中国の尖閣、沖縄侵略を仲間を増やし防ぐこと」が目的になります・・最重要国は、いうまでもなくアメリカです・・もう一つの最重要国はインドです・・EU・・ロシア・・台湾、ベトナム、フィリピン、オーストラリアなどです。これは、「中国の脅威を感じている国々」です(p277)


仲間を増やしていくこと

ところが、中国が態度を変えると日本はころっと寝返ったように中国に接近しようとしています。アメリカが中国に追加関税をかけて経済戦争をしている最中に、来年春に習近平を国賓として日本に招待している。アメリカが世界の覇権をかけて中国に戦いを挑んでいるときに、日本は、アメリカ最大の敵である中国との関係を深化させようという動きをしているわけです。


日本は太平洋戦争の前に、満洲利権からアメリカを排除し、イギリスに軍事協力せずにアメリカ、イギリスを敵に回した前科があります。日露戦争後、日本は満洲利権を独占しアメリカを敵に回しました。また、第一次世界大戦時、日本は同盟国イギリスの「陸軍覇権要求」を断りつづけ失望させ、日英同盟は破棄されたのです。北野さんには、国際関係を理解できず、戦略的に行動できない日本が、再び戦前のような間違いを犯すのではないかと心配しているのです。


性善説でしか世の中を見ることができず、国際関係を経済だけで考えているように見える日本人の未来はどうなるのでしょうか。私たちは、その未来をいずれ見て体験することになるのでしょう。北野さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・いつ、アメリカは、覇権戦争を決めたのですか?AIIB事件が起こった2015年3月です(p67)


・2017年のGDPと軍事費の割合を見てみましょう。アメリカ3.1%、中国1.9%、インド2.5%、フランス2.3%、イギリス1.8%、日本0.9%、ドイツ1.2%。4%を超えているのは、サウジアラビア10.3%、ロシア4.3%(p151)


・「敗戦の教訓」とは何でしょうか?・・一つ目の教訓は、孤立すると負けるです。1937年、日中戦争がはじまりました。この時、中国を支援していたのは、アメリカ、イギリス、ソ連でした(p249)


▼引用は下記の書籍からです。
米中覇権戦争の行方
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北野 幸伯
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【私の評価】★★★★★(91点)


目次

まえがき―米中覇権戦争勃発!日本は「戦勝国」になれるか?それとも...
第1章 なぜ米中覇権戦争がはじまったのか?
第2章 米中覇権戦争の結末
第3章 米中覇権戦争の世界で、日本はどうするべきか?



著者経歴

北野 幸伯(きたの よしのり)・・・1970年生まれ。国際アナリスト。ロシア外務省付属モスクワ国際関係大学卒業後、プーチン大統領の元ブレーンとともに日露ビジネスコンサルティング会社IMT設立。1999年からメールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」を発行。イラク戦争、北朝鮮情勢、次はイランなど次々と予測を的中させる。モスクワに28年滞在。2018年、日本に帰国


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