「精神論抜きの地球温暖化対策―パリ協定とその後」有馬純

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精神論抜きの地球温暖化対策――パリ協定とその後

【私の評価】★★★☆☆(70点)


■地球温暖化対策については、
 京都議定書という苦い記憶があります。


 世界一の省エネ国家が
 地球温暖化防止対策として
 日本はいったいくら支払ったのか。


 電力業界だけでも毎年1000億円くらい
 支払っていましたので、
 1兆円弱が流出したと言われています。


 効果も根拠も明確でないなかで
 歴史に刻まれる
 愚かな寄付行為だったと思います。


■世界の4%しかエネルギーを消費していない
 省エネの発達した日本がさらに
 温暖化ガスを削減するのは非常に困難です。


 そもそも温暖化ガスで地球が温暖化するとしても
 その影響度は科学的に明確になっておらず、
 他の要因がが大きい可能性も捨てきれません。


 これで地球が寒冷化でもしたら
 温暖化ガスを排出を増やす政策を行うのでしょうか。
 人類がいかに愚かであるかの
 事例となることでしょう。


 有馬さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・国連交渉を通じて、「IPCCが2℃目標を勧告している」
 との言辞が繰り返されてきたことは大きな問題である。
 IPCCは、気候変動に関する科学的知見を偏りなく集大成して
 国連に報告することがミッションであり、特定のシナリオや
 政策を推奨することは禁じられている(p93)


・現実には、気候感度の想定値についての科学的
 コンセンサスはない。IPCC第5次評価報告書では、
 1.5~4.5℃の範囲のなかに入っている可能性が
 高いとされたが、最良推定値については
 合意が求められなかった(p97)


・2020年までに1990年比で25%の温室効果ガスを
 排出削減するとの中期目標を掲げている・・・
 25%目標はもともと根拠の乏しいものであったが、
 福島第一原子力発電所事故により、
 いよいよ実現可能性がゼロになった以上、
 見直しは当然のことであった。その際、併せて、
 その先に置かれた2050年80%目標も
 見直すべきであった(p139)


・地球温暖化防止に真剣ならば
 原子力発電所の新増設が必要(p152)


・炭素価格議論は国際競争力の問題と切り離せない・・
 世界均一の炭素価格を導入することが
 最も望ましい(p187)


・2016年3月までの累計買取総額3.3兆円・・
 FITによって削減された系統電力の排出係数を
 0.5kg/kWh、回避可能費用を10円/kWhと仮定すると、
 FITによるCO2削減費用はトン当たり
 約5万円程度となる(p190)


・クレジット価格が・・5ユーロ程度では、
 低炭素経済に向けた投資を促すことにならない。
 それどころか、石炭火力を燃やして安価なクレジットを
 購入しても十分ペイするすることになってしまう(p194)


・日本には、既に地球温暖化対策税に基づく
 明示的炭素価格が存在することに加え、
 エネルギー課税、省エネ規制、再生可能エネルギー導入策、
 自主行動計画など、多くの既存施策による
 暗示的炭素価格が存在する・・
 これらの施策も含めた
 全体の炭素コストで他国との
 比較を行うべきであろう(p207)


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精神論抜きの地球温暖化対策――パリ協定とその後
有馬純
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【私の評価】★★★☆☆(70点)



■目次

第1章 COP21への長い道のり
第2章 COP21に向けての争点
第3章 COP21はどう進んだのか
第4章 COP21はなぜ成功したのか
第5章 パリ協定で何が決まったのか
第6章 パリ協定をどう評価するか
第7章 世界は脱炭素化に向かうのか
第8章 26%目標達成のカギは原子力
第9章 長期戦略と長期削減目標
第10章 地球温暖化防止に取り組むならば原子力から目をそらすな
第11章 長期戦略の中核は革新的技術開発
第12章 炭素価格論について考える
結びにかえて
参考資料:パリ協定採択に関するCOP決定及びパリ協定全文



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