「尖閣諸島問題―領土ナショナリズムの魔力」岡田 充

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尖閣諸島問題―領土ナショナリズムの魔力

【私の評価】★★☆☆☆(68点)


■中国寄りの記事の多い共同通信の人ということで
 どんな論法を使うのかなと
 手にした一冊です。


 この手の人の論法は
 中国との対立はすべて日本が悪いと
 断言する。


 例えば、尖閣諸島の国有化については、
 中国人が購入しようとしていたのを防ぐために
 国有化した可能性があります。


 ですから、中国人が購入できればそれでよし。
 仮に日本が国有化したら
 現状を変更したと中国は反発し、
 それを共同通信などのマスコミが非難する。
 作戦はすでにできているのです。


・国有化なら問題を沈静化できるとの
 甘い見通しのもとに、タイミングを計算せずに
 踏み切った対中外交の稚拙さが
 改めて浮き彫りになった(p36)


■また、世論を操作するために書いているとすれば、
 主張している言っていることと
 反対のことをすることが正しい。


 実効支配の強化は慎まねばならない、
 と主張しているなら
 強化したほうがいい。


 中国にとって困ることは
 してはいけないと書いているとすれば、
 逆をすればいいのです。


・繰り返すが、領土問題で立場が強いのは
 実効支配している側である。
 「強化」という作為に出た印象を与えれば、
 係争の相手側から反発を買い問題を再燃させるだけである。
 実行支配の「強化」は慎まねばならない(p40)


■期待を裏切らない一冊でした。
 中国としてはロシア、アメリカ、日本、インドで
 包囲網ができるのが嫌なようです。


 もう少し研究してみたいと思います。


 岡田さん
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・中国人が島を購入しても日本の主権には
 直接影響しない。日中間に相互信頼関係があれば、
 これほど問題はこじれなかったはずだ(p37)


・海洋監視船が一度に6隻も了解に入り、
 「1000隻もの漁船が向かっている」と伝えられると・・
 それだけで「中国が武力で奪おうとしている」と、
 身構えるのはナイーブ過ぎる(p41)


・外交をはじめ経済、民間(デモ)など持てる資源を
 総動員しながら、威嚇によって妥協を迫る外交。
 武力行使をちらつかせても武力行使するわけではない。
 チキンゲームである。この点、日本の「愛国主義者」
 たちは、その意図を曲解している(p42)


・確かに台湾、中国が領有を主張し始めるのは、
 沖縄返還が日程に上り、石油・天然ガスなどの
 海底資源の存在が脚光を浴びるようになった
 1960年代後半のことだ。だが日本側が領有権を
 意識し始めたのも、彼らが領有権を主張する
 ようになったからである(p85)


・グローバル化に伴う近隣諸国との相互依存関係の
 深化という規律を無視し、ナショナリズムのみを
 追求するなら中国に勝ちはない。
 中国はいまその綱引きのジレンマの中にある。
 対外強硬路線の背景もそこにある。
 強い中国ではなく、
 弱い中国の象徴と考えるべきである(p133)


・2010年、「南シナ海も中国の核心利益に属する」
 との報道が波紋を広げた・・・
 ただ発言をよく読めば、尖閣を明示的に
 「核心的利益」と呼んだわけではない・・
 「革新的利益」を「武力行使」を意味する
 概念と単純化してはならない。
 「言ったか言わないか」で、騒ぎ立てれば
 中国側の術数にはまるだけである(p163)


・日本のメディアには、40年前、中国を味方に
 引き込みソ連を封じ込めたように、
 日米同盟強化によって中国包囲網を
 構築すべしという言説が支配的だ・・・
 一方の米国では、有力な元政府当局者から、
 米国の優位性の喪失を所与の事実として受け止め、
 中国と外交、経済を含めた総合的な協調関係を
 模索しようとする議論が提起されている(p183)


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尖閣諸島問題―領土ナショナリズムの魔力
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【私の評価】★★☆☆☆(68点)




■著者・・岡田 充

共同通信社で香港支局、、モスクワ支局、
台北各支局長、編集委員、論説委員を歴任。


■目次

第1章 最悪の日中関係
第2章 過去をふりかえる
第3章 国際関係のなかの尖閣諸島問題
第4章 領土と国家の相対化
資料 日中台が各々領有権を主張する根拠



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