【私の評価】★★★★☆(88点)
■ベンチャー企業を立ち上げた著者は、
ネットバブルに乗って
上場をめざします。
昼は営業、夜は豪遊する生活の中で、
創業時に一緒に頑張った仲間は辞めていき、
恋人とも疎遠となっていきました。
創業時のアマゾンのように赤字でも
売り上げをどんどん伸ばし、
上場すれば大金持ち、
上場できなければ破綻という
勝負に出ていたのです。
ところが財務と営業の役員が
社長解任を要求。
それを拒否すると
二人は去っていきました。
実は二人は架空取引、横領、
業者からのキックバックを
もらっていたのです。
・クーデターの首謀者たちが会社を去った後、
「売り上げの不正計上」や「架空取引による
業務上の横領」「業者からのキックバック」
などの背信行為が次々と明るみに出た(p97)
■上場が難しくなれば、
赤字の会社と借金が残るだけです。
著者には3億円の個人補償がありました。
茫然とする著者は、
ただ街を放浪しました。
何をすればいいのかさえ、
分からない精神状態だったのです。
最終的には事業再生の専門家に
相談し、リスケ、債券放棄をすすめ、
借金はなくなりました。
著者はすべてを失ったのです。
・「いまここで諦めたら、これまでのすべてが
無駄になってしまう」とばかりに事業に未練を残し、
闇雲に資金調達に走りまわった。
失敗を認められないまま損切りできず、
さらに深い借金の穴を掘りつづけた(p116)
■著者は、あまりにも無知でした。
そして、著者は本を読み始めたのです。
そして知ったことは、
金があることが幸せではないこと。
いつでも人はやり直せること。
失敗は失敗ではなく学びであること。
好きな仕事をすれば幸せになれること。
などです。
そして著者は前からやりたかった
著作業とセミナーで成功しています。
失敗は失敗ではないと自分で実証したのですね。
水野さん
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・バカと金持ちと煙はなぜ高いところに
上りたがるのか?
だが、当時の僕も高みに上って
いい気になっていたのは間違いない(p32)
・ビュリダンのロバという有名な寓話がある・・・
ロバがどうなったかというと、結局、
どちらの道も選ぶことができず
餓死してしまうのだ・・・
ロバは僕だった(p95)
・1億借りている相手よりも、
数万円の小口の債権者のほうが
「ふざけるな」「ぶっ殺すぞ」
「人非人」などとボルテージが
高く催促も執拗であるケースが多い(p122)
・どんなに失敗しても、世の中にはもっともっと
最低の失敗をした人たちが
いっぱいいるってことだ。
本当に取り返しがつかない過ちとは
人を殺してしまったときくらいだろう(p144)
・バブル崩壊後、大企業は100億円、1000億円という
債務免除を受けたところも多かったが、
中小企業経営者に救いの手がさしのべられる
ことはなく、自殺者が続出した・・・
金のことなんかで死ぬことはない(p149)
・一説には、起業して5年後には90%が
倒産しているという。そう考えると、
起業家は失敗を前提にして発想し、
リスクをより小さくすることを
考えなくてはいけない。
最もリスクが小さいのは、
事業は自己資金でスタートし、
資金がつきたら終了するというやり方だ(p152)
・金に詰まっている会社は、ほとんどの場合、
金融機関への返済で資金が尽きてしまう・・・
一生懸命働いている従業員に給料を払わなかったり、
取引先への仕入れ代金が払えなければ死活問題である・・・
だから支払いの順序は「人→モノ→金」が
正解ということになる(p133)
・人はどうして失ってからはじめて大事だった物事に
気づくのだろうか。家族への愛や健康、金など、
お金より大事なものは、目に見えないだけに、
普段はそのかけがえのなさに気づけない(p167)
・お金があれば、銀座で寿司が
食べられるかもしれないが、
お金がないならないで、近所の魚屋で
新鮮な刺身を買ってきて
仲のいい人と食べればいい(p173)
・給与の額が自分の能力だと考えるよりは、
自分が本当にやりたい仕事について、
お客さんや世の中に貢献できているか
どうかで考えるべきである・・・
「それをやること」が喜びになるような
仕事で働けば人は幸せになれる(p203)
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【私の評価】★★★★☆(88点)
■目次
1 欲望とカネの世界
2 こうしてお金の流れは止まる
3 脱出不能の借金の穴
4 地獄で知った「お金のからくり」
5 幸福の商社、不幸のデパート