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「幸福の商社 不幸のデパート 僕が3億円の借金地獄で見た景色」水野俊哉

2018/10/03公開 更新
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幸福の商社 不幸のデパート〜僕が3億円の借金地獄で見た景色〜


【私の評価】★★★★☆(88点)


要約と感想レビュー

■ベンチャー企業を立ち上げた著者は、
 ネットバブルに乗って
 上場をめざします。


 昼は営業、夜は豪遊する生活の中で、
 創業時に一緒に頑張った仲間は辞めていき、
 恋人とも疎遠となっていきました。


 創業時のアマゾンのように赤字でも
 売り上げをどんどん伸ばし、
 上場すれば大金持ち、
 上場できなければ破綻という
 勝負に出ていたのです。


 ところが財務と営業の役員が
 社長解任を要求。
 それを拒否すると
 二人は去っていきました。


 実は二人は架空取引、横領、
 業者からのキックバックを
 もらっていたのです。


・クーデターの首謀者たちが会社を去った後、「売り上げの不正計上」や「架空取引による業務上の横領」「業者からのキックバック」などの背信行為が次々と明るみに出た(p97)


■上場が難しくなれば、
 赤字の会社と借金が残るだけです。
 著者には3億円の個人補償がありました。


 茫然とする著者は、
 ただ街を放浪しました。
 何をすればいいのかさえ、
 分からない精神状態だったのです。


 最終的には事業再生の専門家に
 相談し、リスケ、債券放棄をすすめ、
 借金はなくなりました。
 著者はすべてを失ったのです。


・「いまここで諦めたら、これまでのすべてが無駄になってしまう」とばかりに事業に未練を残し、闇雲に資金調達に走りまわった。失敗を認められないまま損切りできず、さらに深い借金の穴を掘りつづけた(p116)


■著者は、あまりにも無知でした。
 そして、著者は本を読み始めたのです。


 そして知ったことは、
 金があることが幸せではないこと。
 いつでも人はやり直せること。
 失敗は失敗ではなく学びであること。
 好きな仕事をすれば幸せになれること。
 などです。


 そして著者は前からやりたかった
 著作業とセミナーで成功しています。
 失敗は失敗ではないと自分で実証したのですね。


 水野さん
 良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・バカと金持ちと煙はなぜ高いところに上りたがるのか?だが、当時の僕も高みに上っていい気になっていたのは間違いない(p32)


・ビュリダンのロバという有名な寓話がある・・・ロバがどうなったかというと、結局、どちらの道も選ぶことができず餓死してしまうのだ・・・ロバは僕だった(p95)


・1億借りている相手よりも、数万円の小口の債権者のほうが「ふざけるな」「ぶっ殺すぞ」「人非人」などとボルテージが高く催促も執拗であるケースが多い(p122)


・どんなに失敗しても、世の中にはもっともっと最低の失敗をした人たちがいっぱいいるってことだ。本当に取り返しがつかない過ちとは人を殺してしまったときくらいだろう(p144)


・バブル崩壊後、大企業は100億円、1000億円という債務免除を受けたところも多かったが、中小企業経営者に救いの手がさしのべられることはなく、自殺者が続出した・・・金のことなんかで死ぬことはない(p149)


・一説には、起業して5年後には90%が倒産しているという。そう考えると、起業家は失敗を前提にして発想し、リスクをより小さくすることを考えなくてはいけない。最もリスクが小さいのは、事業は自己資金でスタートし、資金がつきたら終了するというやり方だ(p152)


・金に詰まっている会社は、ほとんどの場合、金融機関への返済で資金が尽きてしまう・・・一生懸命働いている従業員に給料を払わなかったり、取引先への仕入れ代金が払えなければ死活問題である・・・だから支払いの順序は「人→モノ→金」が正解ということになる(p133)


・人はどうして失ってからはじめて大事だった物事に気づくのだろうか。家族への愛や健康、金など、お金より大事なものは、目に見えないだけに、普段はそのかけがえのなさに気づけない(p167)


・お金があれば、銀座で寿司が食べられるかもしれないが、お金がないならないで、近所の魚屋で新鮮な刺身を買ってきて仲のいい人と食べればいい(p173)


・給与の額が自分の能力だと考えるよりは、自分が本当にやりたい仕事について、お客さんや世の中に貢献できているかどうかで考えるべきである・・・「それをやること」が喜びになるような仕事で働けば人は幸せになれる(p203)


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幸福の商社 不幸のデパート〜僕が3億円の借金地獄で見た景色〜
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【私の評価】★★★★☆(88点)


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目次

1 欲望とカネの世界
2 こうしてお金の流れは止まる
3 脱出不能の借金の穴
4 地獄で知った「お金のからくり」
5 幸福の商社、不幸のデパート


著者経歴

 水野 俊哉(みずの としや)・・・1973年生まれ。大学卒業後、金融機関に就職。退職後、インターネット通販関連の会社を起業し、成功するも、驕りから業績悪化、取締役解任。個人保証の借金3億円を抱える。その後、経営コンサルタントとしてベンチャー企業経営に係わる。


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