「こうして店は潰れた: 地域土着スーパー「やまと」の教訓」小林 久
2018/10/04公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(83点)
要約と感想レビュー
■職場の近くのスーパーが
1店破産、1店撤退してしまったので、
手にした一冊です。
山梨県のスーパー「やまと」は、
創業百年の地元密着スーパーです。
著者は2001年に父親から
赤字の会社を引き継ぎ、
経営改革を行い
黒字転換させました。
その勢いで一時16店舗まで成長しましたが、
最終的には9店舗まで縮小し、
4期連続赤字で自己破産となりました。
・私は働きの悪い(私の言うことを聞かない)親族を次々に辞めさせていった。その中には自動販売機から現金を抜くなど多額の不正を働いていた者や、業者から個人的なリベートをせしめていた輩もいた(p51)
■スーパー「やまと」の教訓としては
次のことでしょう。
まず、調子のよい時に店舗を増やしたが、
調子が悪くなったとき
撤退判断が遅れ
撤退費用が手当てできなかった。
また、問屋を整理したことで
調子が悪くなったときに支援してくれる
問屋が少なかった。
銀行団による経営再建計画により
最後は黒字転換が見えていましたが、
最後は問屋から仕入れを引き上げられ
営業継続が難しくなり破産となりました。
・必ず複数の問屋に掛け合い、価格を競争させた。先代は親分肌ゆえにほとんどが単独取引、いわゆる随意契約状態だった。そうなると、おもしろくない業者が出てくる・・「月夜の晩ばかりではないぞ・・・」もらった電話の意味はわかっていた(p49)
■スーパー業界全体の売上は
増えているようですが、
地元密着のスーパーは苦戦しています。
地元密着で愛されていても
利益を出さなければ
会社はなくなってしまうのです。
松下幸之助の言っていた
ダム式経営のような余裕を持った
経営が大事だと心に沁みました。
小林さん
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・メイン問屋を替え、従業員のやる気にふたをしていた親族を辞めさせ、給与もわかりやすく公平な評価をしていった・・人員を補充しなくても前より作業効率が上がり、一人当たりの給与は増えたものの総人件費は各段に減ったのだ・・会社の雰囲気はどんどん良くなり、高校生の定期採用もできるようになった(p52)
・チラシ広告の新聞折込範囲を極端に狭くした・・・自社でチラシ製作を始めた・・・「卵1パック10円」などというバカげたものはやめ、競合店の価格を少し下回る価格に変えた・・・すると、売上は見る見る減った。そして、利益が増えていった(p45)
・自腹で布製のエコバッグを2000個つくり、スーパーの店先でお客さんに無料配布した・・・やまとのマイバスケットには社名を入れなかった。「助かるわ、ほかのスーパーに行くときも使えるから!」少々複雑な気持ちだった(p75)
・みんなの反対を押し切って、大盛り298円弁当の販売が決定した。自分の意思を押しつけた。その結果、納得できない惣菜担当者3名が退職していった・・・弁当1個売って50~60円の儲けになる。売り残りは許されない・・・年間なんと100万食を売り上げるまでに成長する(p120)
・2011年3月11日、東日本大震災が起こった・・・やまとでは、震災の翌日から298円弁当を300円に値上げさせてもらい、値上げ分の2円と自分の2円を合わせて4円を被災地に贈ることを表明した(p126)
・台紙にスタンプを貼っていき、貯まったらカタログの商品と交換できるスタンプサービスを行っていた。しかし、競合他社が全店でそれを採用するに当たり、やまとにそれを辞めさせることを条件にしたという・・やまとに契約解除を申し出てきた・・・貯めたスタンプはその大手スーパーでも引き続き使えるから、お客さんには迷惑はかからないって?なんだその言い草は!(p132)
・当時入手した同じ商品の某大手スーパーの仕入価格表を見て、「こんなに違うのか?それでいてこんなに高く売っているのか!」と愕然としたことを覚えている(p47)
・買物難民向けの移動販売車・・もともと採算の合わない事業だったが、地域に支えられて100年以上も商売をさせてもらった恩返しの意味もあり、6年前から始めたことだ(p27)
・これからは恩返しの気持ちで生きていこう、できることは何でもしようと私は考えていた。「頼まれたら、選挙以外は断らない」というのが私のモットーになっていた(p62)
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【私の評価】★★★★☆(83点)
目次
第1章 年末商戦師走某日、やまと突然の撃沈!
第2章 三代目の若造社長、復活をかけ改革断行
第3章 誰かが喜ぶなら、迷わず即断即行
第4章 頼まれたら、選挙以外は断らない
第5章 夢の街への出店で、見えたもの学んだこと
第6章 正義の味方やまとマン、教育委員長になる
第7章 やまと航海、終わりの始まり
第8章 生かされている身の上、感謝と恩返しで生きる
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