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「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」河合 雅司

2018/09/25公開 更新
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未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)


【私の評価】★★★☆☆(76点)


要約と感想レビュー

 日本の少子高齢化の現状を指摘した一冊です。江戸時代末期3000万人だった日本の人口は、2013年に1億2700万人でピークを打ち、減少に転じています。死亡率が減少し、寿命も延び、経済的に成長してきたなかで、日本人は子どもを生まなくなってきたのです。30年もすれば日本の人口は1億人を割ってしまうのです。


 そして2042年には高齢者の数が3935万2000人となり、ピークを迎えます。この高齢者をどうやって面倒をみていくのかが問題であり、著者は「日本最大のピンチ」と表現しています。逆にいえば、ここを耐えることができれば、あとは高齢者は減っていくのです。


・2015年時点において1億2700万人を数えていた日本の総人口が、40年後には9000万人を下回り、100年も経たぬうちに5000万人ほどに減る(p7)


 特に高齢者が増えるのは、首都圏です。なぜなら、ただでも労働人口が多く、この人たちが老人となる。そして、この人たちが地方の老いた親を首都圏に呼び寄せると考えられるのです。首都圏は人口が減ることはなく、老人人口が増大するのです。


 逆に見れば、地方では総人口は減少していきますが、高齢者の実数はさほど増えるわけではないと予想されます。ただ、2040年までに全国の自治体の半数が将来的な「消滅」の可能性があるのです。「日本創生会議」の人口減少問題検討分科会が2014年に公表した将来推計の結果では、県庁所在地である青森市や秋田市まで「消滅」の対象にされていたというのです。


・東京圏の高齢者が激増するのは、経済成長期以降に上京した"かつての若者"が年齢を重ねたことに加え、現在の勤労世代が地方の老親を呼び寄せるからだ(p114)


 人口の将来予測は、現状から大きな変化がなければ、確実に現実化します。このまま出生率が2より小さいと、長期的に見れば日本人がいなくなってしまいます。最低でも、人口の増減が0となるような工夫が必要なのでしょう。河合さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・(2015年)の夫婦調査によれば、完結出生児数(夫婦の最終的な平均出生子供数)も過去最少の1.94人であった。社人研は2000年生まれ世代の完結出生児数を1.79人と予測している(p101)


・すでに40%超の私立大学が定員割れ(p30)


・壮年非正規労働者の増加は把握しづらい。多くは親のすねをかじっているためだ・・・「結婚したくともできない」という人が少なからず存在する・・貧しき独居高齢者が大量に誕生するのである。こうした人たちの生活は、親が亡くなった途端に破綻する。つまり、老後に向けた貯蓄が乏しく、低年金、無年金という高齢者が将来的に増大するのだ(p121)


・政府内に、外国人労働者の大量受け入れや永住権付与の緩和を推し進めようとの動きが強まっている・・・「反日」の国が悪意を持って、自国民を大規模に日本に送り出す事態も想定しておかなければならない。いまだに外国人参政権の付与を主張する政治家もいるが、これを安易に認めれば議会や地方行政を外国人に牛耳られかねない・・(p142)


未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
河合 雅司
講談社
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【私の評価】★★★☆☆(76点)


目次

第1部 人口減少カレンダー
2016年、出生数は100万人を切った
2017年 「おばあちゃん大国」に変化
2018年 国立大学が倒産の危機へ
2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
2021年 介護離職が大量発生する
2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する
2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
2025年 ついに東京都も人口減少へ
2026年 認知症患者が700万人規模に
2027年 輸血用血液が不足する
2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
2035年 「未婚大国」が誕生する
2039年 深刻な火葬場不足に陥る
2040年 自治体の半数が消滅の危機に
2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに
2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に
2050年 世界的な食料争奪戦に巻き込まれる
2065年~ 外国人が無人の国土を占拠する
第2部 日本を救う10の処方箋 ――次世代のために、いま取り組むこと
序 小さくとも輝く国になるための第5の選択肢
1・「高齢者」を削減
2・24時間社会からの脱却
3・非居住エリアを明確化
4・都道府県を飛び地合併
5・国際分業の徹底
6・「匠の技」を活用
7・国費学生制度で人材育成
8・中高年の地方移住推進
9・セカンド市民制度を創設
10・第3子以降に1000万円給付
おわりに 未来を担う君たちへ



著者経歴

 河合 雅司(かわい まさし)・・・1963年、名古屋市生まれ。産経新聞社論説委員、大正大学客員教授(専門は人口政策、社会保障政策)。中央大学卒業。内閣官房有識者会議委員、厚労省検討会委員、農水省第三者委員会委員、拓殖大学客員教授など歴任。2014年、「ファイザー医学記事賞」大賞を受賞。


未来予測関係書籍

ひろゆきのシン・未来予測」西村博之
2040年の未来予測」成毛 眞
2030年ジャック・アタリの未来予測」ジャック・アタリ
新・100年予測―ヨーロッパ炎上」ジョージ・フリードマン
「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」河合 雅司


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