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「変見自在 朝日は今日も腹黒い」髙山 正之

2018/05/16公開 更新
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変見自在 朝日は今日も腹黒い


【私の評価】★★★☆☆(74点)


要約と感想レビュー

「腹黒い」とは強烈な表現だな・・と思いながら手にした一冊です。こうした強烈な表現をした理由は、1984(昭和59)年10月31日の朝日新聞一面の日本軍の毒ガス報道「これが毒ガス作戦だ」が誤報であると指摘したときの朝日新聞の反応が強烈だったからでしょう。毒ガスの写真は「煙幕」だったのですが、インチキ写真の出稿責任者、佐竹昭美学芸部長がやってきて、「どういう了見か」「産経風情が朝日に楯突く気か」「なんだと。謝らない気か。いい度胸だ」「産経など潰してやる」と言い捨てて、帰っていったという。


朝日新聞が大学の先生の発言を掲載するときには注意が必要だという。具体的には、一橋大教授の藤原彰が中支戦線の洞庭湖のほとりで焚かれた日本軍の煙幕を「毒ガス」だと言った事例。これは嘘がばれて朝日新聞は訂正しました。早大教授の後藤乾一は「日本軍はスマトラで要塞を掘らせた地元民3000人を穴埋めにした」と証言しましたが、実際は3人の村民が物置用の穴を掘っただけでした。慰安婦問題では中大の吉見義明が「軍の関与」があったと言い出したのです。


青山大学の歴史学者ハリー・レイは自著の中で、「原爆投下は当然」で「日本軍は南京で43万人殺した」のであり、「捕虜を釘で壁に磔にした」「赤ん坊を放り上げて銃剣で刺した」ので「日本人は野蛮、冷酷、無慈悲」で「1937年には上海で非戦闘員を殺す空爆をやった」ので、反省するのは日本人だというのです。


多くのマスコミは大学の先生を権威としてうまく使っています。著者が警告するのは、大学の先生が言っているからといって簡単に信じられないということです。特に朝日新聞が絡む先生は、チェックが必要とのことですが本当なのでしょう。


北米、南米、フィリピンなどの歴史についての記述も多く、確認が必要だと思いました。一つ分かることは、弱い者は殺されるか、搾取される可能性があるということなのでしょう。髙山さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・安保法制について鳥越俊太郎が「中東では平和を築いた国として日本は尊敬されていた」と衆院特別委で答えていた。ほぼ同じ時期にテヘラン特派員だった経験から言えば、それはまったくの嘘だ。大方のイラン人は日本が負けたことも知らない(p32)


・日本人は日清戦争で初めて彼らが捕虜を取らないことを知った。彼らは日本兵を捕らえるとまず耳鼻を削ぎ、目をえぐり、男根を切って喉に押し込む。そして手足を切断して殺した。通州事件では220人の日本人居留民が殺された。男は日本兵と同じやり方で殺され、女は一日犯されたあと局部に棒杭を突っ込まれていた。性器損壊は漢民族の変わらぬ特性だ(p92)


・学者ラングドン・ウォーナーが日本の文化財保護を進言し「京都は守られた」とGHQの広報機関に成り下った朝日新聞に書かせた。人は焼き殺して文化財は保護しましたなんてペテン師だって恥ずかしくて言えない。でも日本人はコロッと騙された(p103)


・ローマのスキピオは負けたカルタゴに軍隊も軍象も軍艦もすべて廃棄させたうえ、交戦権まで奪った・・オーウェン・ラティモアは「日本の戦後処理はカルタゴ方式で」と言い、それから間もなくして軍隊の不保持と交戦権の放棄を謳ったGHQ憲法が登場している(p36)


・福島原発は大津波にやられた。しかし原子力規制委がいま原発再開の安全性の目安にしているのは地震だ・・それは東大地震研の権威、佐藤比呂志がそう言い、原発の下に断層があればダメを出しているからだ(p24)


・19世紀末、来日したラドヤード・キブリングは「日本はいずれ米国の植民地にされ、ボタンを作る工場にされる」と予言した。実際、その翌年には米国がハワイ王国を潰し、英国はビルマ王国を植民地にした。国王はインドに渡され、王女はインド兵に下げ渡された(p51)


・米軍は日本軍3万人がこもるサイパン島に4日間、18万発の艦砲射撃を加えてから第一陣8000人が大小の舟艇で上陸してきた・・日本軍陣地からの反撃に遭って、最初の1時間で1000人が死んだ・・上陸部隊がすべて黒人兵・・サイパンの戦いは24日間続いた。14日目に初めて白人兵を見た(p87)


・清教徒がここにきて最初にやったのがジェームズタウンの市場で黒人奴隷を買うことだった。翌年からは七面鳥を呉れたインディアンをぶち殺して土地を奪っていった・・北米大陸を神の約束の地カナンに見立てて、だから「そこに住む異教徒どもを皆殺しにするのは神の意思に沿うもの」という意味だ(p215)


・南米を訪れたアルゼンチン出身のフランシスコ法王は15世紀以降にスペイン人が行った先住民虐殺に触れて「謙虚に謝罪したい」と言った・・同じころ米国のサウスダコタ州ウーンデッド・ニーで第7騎兵隊が女子供を含む最後のスー族400人を皆殺しにした。これで2世紀に及ぶインディアン殺しはほぼ終わり、第7騎兵隊は連邦議会からインディアン駆除の功で勲章を受けた(p50)


・マレーには350万人の華僑がいた。後の駐日大使リー・クンチョイが語ったように彼らは英国人のよき僕としてマレー人をゴム園で働かせ、ついでに彼らに阿片を売って財をなした。日中戦争が始まると華僑は在マレーの日本人家庭を襲って殺して歩いた。ハリマオこと谷豊の6歳の妹を殺したのも陳嘉庚配下のテロ華人だった(p210)


変見自在 朝日は今日も腹黒い
変見自在 朝日は今日も腹黒い
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髙山 正之
新潮社
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【私の評価】★★★☆☆(74点)


目次

第1章 朝日の正しい読み方教えます
第2章 本当にズルい国を見分けるために
第3章 朝日が書かない本当の歴史
第4章 お隣の国も相変わらずで
第5章 とかくこの世は嘘ばかり



著者経歴

高山正之(たかやま まさゆき)・・・1942年生まれ。ジャーナリスト。1965年、東京都立大学卒業後、産経新聞社入社。社会部デスクを経て、テヘラン、ロサンゼルス各支局長。98年より3年間、産経新聞夕刊1面にて時事コラム「異見自在」を担当し、その辛口ぶりが評判となる。2001年から07年まで帝京大学教授


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