「統一教会とは何か―追いこまれた原理運動」有田 芳生

【私の評価】★★★☆☆（72点）

要約と感想レビュー

統一教会の内幕

霊感商法で壺を売ったり、芸能人も参加する合同結婚式で広報活動を行っている統一教会の内幕です。どのようにして人を集め、教義を信じさせ、お金を出させるのか。そこは教義を信じさせるためのセミナーが体系化されており、土地を担保に借金をさせ壺を売るのもマニュアル化されており、組織的に行動しているのです。

例えば、心が弱った人向けの「ハートクリエーション」というセミナーで人を集め、次に高額の「グローイング」（18万5400円）という土曜、日曜二日間を泊まり込みセミナーで「幸福になりたい」という決意表明を一人ずつ行わせるという。そして初日の夜には、「乗っていた豪華客船が南太平洋で沈没する」という設定のもとで、船とともに死んでいく船長の役目を演ずる「ライフボート」というワークをするという。

自己啓発系のセミナーでよくやる体験ワークのようなものですが、こうした仕組みによって自分が堕落した、罪深い人間であると信じ込ませ、それを救ってくれるのが文鮮明教祖だ、などと信じ込ませる技術はすごいと思いました。

エバ国家とは日本のことを指す。植民地統治を行なった日本は、被植民地国である韓国（アダム国）に従わなければならないと統一教会では教えられている（ｐ42）

統一教会の信者になると印鑑や壺の販売活動に従事

著者は統一教会の信者になると、統一教会の指示により、東北地方で印鑑や壺の販売活動に従事させられたという。それもすべてアベル（上司、先輩）からの指示やマニュアルどおりであり、嘘をならべて、その人の財産のすべてを統一教会に捧げさせるというものだったのです。

興味深いのは、韓国の統一教会には日本のような全財産を統一教会に捧げるといった献身制度はないということでしょう。勧告の統一教会の信者は、公職と呼ばれる教会長とか教会の関係団体の職員となるか、統一グループの企業に就職できるのです。または、圧倒的に多いのは日曜日に礼拝に行くのみの信者もおり、これに日本人の女性と結婚できるというボーナスが加えられるのです。

統一教会が日本で使っている洗脳技術をよりよい活動に使えば、世の中も良くなるのだと思いますが、そうした人には良心の呵責からとてもできない手法なのだと思います。統一教会おそるべし。有田さん、良い本をありがとうございました。

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この本で私が共感した名言

・霊能者役がやってきた。天道先生は母親に「病気の父親に因縁的な影響を与えているのは十二代前に植物人間になった先祖で、それは武士の殺傷因縁のためだ。・・その因縁を絶つためには、不動産を担保に借金して土地を浄めるために神側（統一教会）に使ってもらうことだということだ（ｐ60）

・文鮮明来日の便宜を図ったのは、自民党副総裁の金丸信なのであった。（ｐ85）
　

・クロージングトーク・・教師の因縁清算トークである。トークはゲストの財産などの状況によってＨＧ（教会が一時的に借りて返済する現金）になったりＳＫ（献金、献納）になったりする。ＨＧは教会に土地で貢献することによって人の恨みがついている土地が清まり因縁清算ができると借入を強要するが真の目的は献納化である（ｐ232）

【私の評価】★★★☆☆（72点）

目次

序 統一教会は何を狙っているか―桜田淳子・山崎浩子騒動の真相
1 統一教会に何が起こっているか―国際合同結婚式の背景
2 統一教会の知られざる素顔
3 統一教会元信者の手記
4 資料篇

著者経歴

有田 芳生（ありた　よしふ）・・・1952年、京都府生まれ。参議院議員。出版社を経てフリージャーナリストとなり、主に週刊誌を舞台に統一教会、オウム真理教事件等の報道にたずさわる。立憲民主党所属の参議院議員。高校生時代に日本共産党に入党したが、2回の査問の末に1990年に「日本共産党への手紙」の編集をしたことで除名された。 両親は日本共産党員で、父は政治運動家・労働運動家の有田光雄

統一教会関連書籍

「Nの肖像 ― 統一教会で過ごした日々の記憶」仲正 昌樹
「統一教会の内幕―なぜ若者たちは新宗教に走るのか」エール出版社
「統一教会とは何か―追いこまれた原理運動」有田 芳生
「統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福」櫻井 義秀, 中西 尋子

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