「完全版 ビッグツリー~自閉症の子、うつ病の妻を守り抜いて~」佐々木常夫
2016/02/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(79点)
要約と感想レビュー
東レで同期トップで取締役となった佐々木さんが、家庭と仕事を振り返った一冊です。男なら誰でも出世を願うもの。繊維の販売管理、取引先の再建、企画管理部門と順調に出世していきました。
・仕事の進め方10か条・・
1 仕事は計画的に重点的に
2 仕事は最短コースで効率的に
3 仕事は結果がすべて(p65)
一方で、家庭のほうは、妻と子供三人と平凡な暮らし・・とはいきませんでした。長男は自閉症児と判明し、学校でいじめられる。妻は肝炎で倒れ、さらにはうつ病になって自殺を図る。仕事を定時で終わらせ、家族の面倒を見る日々が続きました。
・父は明るく前向きなのはいいのですが、母の弱さというか、繊細なところをあまり理解していなかったのではないかと思います(p167)
人の気持ちとは複雑で、奥様は、仕事も家庭でも優等生のご主人が負担だったようです。それに対して肝炎の自分は寝てばかりで何もできない・・奥様が元気になったのは、佐々木さんが出世街道から外れてからでした。
仕事と家庭というものは、どちらか一方を取るというのではなく、両方取れないのでしょうか。佐々木さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・一村の社員は東レからの出向者を観察していて、仕事ができるだけではその人についていこうとはしない。その人の性格というか人間性をよく見ていたと思う・・仕事を遂行していくうえでは、他の人たちの共感が必要だということなのだろうか(p59)
・業務週報をベースに課員の過去一年間の実施業務の重要度とそれに費やした工数(延べ作業時間)を試算し、本来そのことに費やすべき工数と対比(p65)
・再構築プラン・・品種別採算管理の徹底と不採算品種の削減、工場の統廃合、要員を中心とする総費用の大幅削減、グローバルな展開・・(p85)
・事実というのは「報告された事実」「そうであってほしいという事実」「前提とされていた事実」などさまざまな事実があり、それは事実ではないケースがある(p85)
・妻にしてみれば、仕事、仕事と忙しがって、家族と向き合う時間などないと言っているくせに、なぜ外の人の世話をするのか、外の人の面倒ばかり見るのかということになる(p197)
▼引用は下記の書籍からです。
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【私の評価】★★★★☆(79点)
目次
プロローグ 何のための人生か
第1章 母の教え
第2章 自閉症の長男を授かる
第3章 クレイマー・クレイマーの日々
第4章 孤軍奮闘の妻
第5章 長女の自殺未遂、暴れる長男
第6章 「死にたい・・・」
第7章 妻再び自殺未遂、もう限界
第8章 長い夢から覚めたように
第9章 家族再生
第10章 人は変われる
第11章 もっと深みのある社会を
エピローグ 家族という尊きもの
著者経歴
佐々木 常夫(ささき つねお)・・・1944年生まれ。1969年東レ入社。長男が自閉症、妻がうつ病のため、育児、家事、看病をするため毎日18時に退社。2001年東レ同期トップで取締役。2003年より東レ経営研究所社長。経団連理事。
読んでいただきありがとうございました!
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