「部下を定時に帰す仕事術 ~「最短距離」で「成果」を出すリーダーの知恵」佐々木 常夫
2009/03/10公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(90点)
要約と感想レビュー
ゴールから逆算してやることを考える
毎日18時に退社しながら、東レで同期トップで取締役となった佐々木さんの一冊です。家族が病気で18時に退社する必要があったため、佐々木さんは効率的に仕事を進める技術を高めてきました。
佐々木さんは大企業のサラリーマンですので、3年ほどで異動があります。したがって、まず、その職場でどのような成果を出すのか、決めることからはじめるのです。ゴールから逆算して、やることを考えるのですね。
「在任中に何を成すか」を決める(p62)
大方針を決める
仕事の成果のイメージができたところで、その年の事業の大方針を決めます。これは、部下を使わずに自分で事業部の方針を決め、取締役レベルに方向性の了解をとるわけです。
この段階では、部下にはあまり相談しません。あくまで経営の視点でやるべきことを考え、限られた時間の中で何をやるべきか案を作り、上司の了解をとるのです。ある意味、上司を味方につける作戦でもあるのでしょう。
事業の目指すべき方向について、私が作ったタタキ台(この時点では現場の意見は聞かず、私ひとりでつくります)をもとに、トップマネジメント層に議論してもらう(p44)
人のデータベース化
そうした骨太方針が決まったところで、日々の仕事を計画していきます。やはり、仕事のプライオリティ、締め切りが大切なようです。締め切りを作ることを習慣化することで、定期的な仕事については、だいたいの工数が見えてくるようになるのでしょう。
私には、サラリーマンとしての、細かな仕事のコツも非常に参考になりました。書庫の整理から過去の仕事をデータベース化。上司への定期的な報告、それと付き合いのある人のデータベース化です。いくら仕事ができても、人間関係が悪ければ社内で協力してもらえないかもしれない。そんな地道な努力も必要なのです。
自分と少しでも関係のある部署の人については、入社年度別にフルネームで手帳に書き出していました。そして、入社年度、出身大学、出身地などを丸暗記(p100)
長時間労働のほうが偉くなる
大企業に働く人にとっては、非常に参考となる一冊でしょう。ただ、家族が健康な人の場合、18時に帰る度胸があるかどうかは別の課題として残るような気がしました。
著者もあまり勉強していないけれど、朝から晩まで一生懸命仕事をしている人のほうが、会社のなかで偉くなっていくケースのほうが多いと語っています。それは事実なのです。
本の評価としては、サラリーマンにお薦めの一冊ということで、★5つとします。
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この本で私が共感した名言
・プライオリティの仕事を選択し、自らデッドライン(締め切り)を決めて追い込んでいくことが欠かせないのです。(p35)
・仕事に取り掛かる前に、「この仕事は2週間で済ませる」とか「3日間で完成させる」といった具合に、その業務に費やすべき工数を明確にして取り組む必要があるということです。(p32)
・8時に出社し、・・・課員が出てくる9時までの間に、一日の自分と課員の仕事の分担、計画をたて・・・部下への指示・コミュニケーションは10時までには終わらせます(p69)
・課の書庫の書類整理を始めたのです。・・・会社の仕事の大半は同じことの繰り返し。・・・書庫の中に"答え"はあるのです。(p73)
・多くの残業を続ける結果、自分の健康を損ねたり、大切な家族とのコミュニケーション不足というマイナスが生じるリスクを考えないことに想像力の欠如を感じる(p90)
・自分で時間外の時間を記入し、上司に申請するということは、自ら所定の時間内では仕事ができないということを毎月表明していることであり、そこに羞恥心の欠如をみる(p91)
・「定期的」に報告・相談する・・・常に部長のスケジュールを確認して、最も余裕のある日時を選んで、2週間に一度くらい、だいたい30分のアポイントを入れるようにしていました(p114)
・30代のころから社内外の研修によく出かけていって、・・・社外研修は自腹で出かけていったものです(p136)
【私の評価】★★★★★(90点)
目次
第1章 計画を先行させる「戦略的仕事術」
第2章 時間を節約する「効率的仕事術」
第3章 時間を増大させる「広角的仕事術」
第4章 佐々木流「独断と偏見のアドバイス」
第5章 ワーク・ライフ・バランスが強い会社をつくる
著者経歴
佐々木 常夫(ささき つねお)・・・1944年生まれ。1969年東レ入社。長男が自閉症、妻がうつ病のため、育児、家事、看病をするため毎日18時に退社。2001年東レ同期トップで取締役。2003年より東レ経営研究所社長。経団連理事。
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